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「おれがここにいるのは今日、物騒な連中が大勢屋敷の中に入っていったという情報があったからだ。詳しいことは分からないが、これから屋敷の中で何か大きな事件が起きようとしていると見て間違いない。悪いことは言わない。面倒なことに巻き込まれる前にさっさと立ち去るんだ」 敵は余のために大勢の精鋭を用意してくれたようだ。ここで立ち去るという選択肢はない。この世界に転生してから戦う相手がみんな弱すぎて力を持て余していたところだ。余は戦いに生き、戦いに勝つことを至上命題と考える最強魔王。強敵との戦いは望むところだ。
「警部さん、向こうから銃を持ったヤクザものが!」
「何!」
彼が余の指差す方に目を向けた隙に、余は音を立てずに三メートルの塀を一気に駆け上がり、飛び降りて塀の向こう側に飛び降りた。真琴も慌てて余のあとに続いたが、塀のてっぺんで有刺鉄線につまずいて、頭から真っ逆さまに落下してきた。
「ドジなやつめ」
と呆れたが、敵と戦わずに犬死にするのも哀れだろう。落下してきた体を抱きとめてやった。真琴の首の後ろと膝裏を手で支えて立っていると、真琴が上目遣いにささやいた。
「陛下」
「なんだ?」
「好きです」
その瞬間全身に鳥肌が立った。真琴を助けたことを余が後悔したのは言うまでもない。そばに池があったからそこに放り投げてやろうかとも思ったが、その物音で余の侵入を敵に知らせるのも愚かすぎるのでなんとか踏みとどまった――