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56. ◇三浦くんを『お父さん』と呼ばれるようにしてあげたい
私は特に真樹夫のことが気掛かりだった。
真樹夫はもちろん三浦くんが実の父親でないことを知っている。
私よりも真樹夫のほうが先に三浦くんと仲良しになった。
あとで聞いた話だけれど、私にプロポーズしてくれる少し前に
実は三浦くん、真樹夫にラヴコールされていたのだとか。
家族として一緒に生活するようになってからも真樹夫と
三浦くんは上手くいってると思う。
自然にお父さんと呼べる日がきたら──
なんて悠長なことを考えていたのだけれど。
職場へは秘密にしておきたいっていう私の思惑もあって、彩乃が真樹夫の
影響で三浦くんのことを『にぃにぃ』と呼ぶことは、職場バレを考えると都合が
良かったこともあり、ついついここまできてしまった。
でもどこかで区切りをつけないと、そう思うようになった。
私には見せないけど、三浦くん影で泣いてるんじゃないだろうか。
折角真樹夫と彩乃のお父さんになってくれて、私の夫になってくれた
大切な人なのだ。
私も彼を大事にしてあげたい。
そこで私は一計を案じることにした。
ゲーム感覚で家族で呼び名ゲームをすることにした。
今日は私のことを家では『お父さん』と呼ぶこと、言い間違えが一回も
なければ、好きなおやつを買ってあげる。
その次は三浦くんのことを『お父さん』と呼ぶこと……ンでその次の日は、
真樹夫をお父さんと呼ぶことっていう感じ。
とにかく4人順繰りなんだけど、呼び名は『お父さん』のみっていうゲーム。
順番は私が操作して、三浦くんにたくさん番が回るようにした。
ゲームだからねぇ~、真樹夫も気負わず言えるようだった。
56-2.
1ヶ月した頃、私は真樹夫と彩乃にちゃんと言った。
この先、ずーっと三浦くんのことを『お父さん』と呼ぼうねって。
真樹夫が私に聞いてきた。
他所でも、例えば病院の関係者がいる時もそう呼んでいいのかって。
ごめんねぇ~ 真樹夫、やっぱりいろいろと気を遣ってたんだよねぇ~。
私の我儘で職場に内緒にしてたもんだから。
「もちろん、いいよ。
積極的にまだいつ発表するかは決めてないんだけど、自然に知れたら
それはそれでもういいかなって思ってるから」
「にぃにぃ、俺にぃにぃのこと、とうさんって呼びたい」
「とうさんか、こそばゆいけど、うれしいぞっと」
「あたしはねぇ……にぃにぃ、おとうさんってゆう」
「あはは、おとうさんか、泣けるねぇ~」
「三浦くん、私の我儘で今までごめんね。
それと私も家では冬馬さんって言えるようにガムバルぅ」
「冬馬さんか、なんかぞくぞくする。
楽しみぃ~、ははっ」
今のところ職場では表向き私は名前を八木亜矢子で通している。
近い将来、三浦亜矢子に変えないとと思っている。