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やはりリメイク版も最高です… どこからか潔さんの可愛い声が聞こえてきました😁幻聴ですねこれまた重症😄😄
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この世界では、小学校になる頃になったら必ず、
《ドールと契約を交わさなければいけない》
という決まりが存在している。そのドールのことを人は「プランツドール」と名付けた。
プランツドールと契約することで、特定のものを愛す、ということを子供に学習させるつもりらしい。だから、それは男女関わらず与えられる。
これは、そんな世界に生まれた1人の男の子の物語だ。
[序章 出会い]
都会の騒音に包まれながら、母と手を繋ぎある店に向かっている子供が1人。その子の名前は御影玲王。今年で8歳になるのだ。
「ねぇお母さん。」
「なぁに?玲王。」
「素敵な子に出会えるかな。」
「きっと出会えるわ。気に入った子がいなかったら、他の店も探しましょうね。」
「うん!」
子にとって、初めてのドール。ドキドキとわくわくで胸がいっぱい。そんな中お店に着き、店の中に入る。ゆっくりと目を開けると、子は一瞬で胸を奪われてしまった。
ズキュンという効果音が相応しいだろう。
一目惚れだった。矢で射抜かれたような衝撃だった。深い青の瞳に、青みがかった長い黒髪、長いまつ毛に可愛らしい顔、子はキラキラとした目で
「あの子が欲しい!!製品番号041番の、あのこ!」
と、母に詰め寄った。わかった、と母親は急いで手続きを終わらせ、愛する息子にそれを渡した。
「わぁ、可愛い!」
「大事にするのよ。」
「もちろん!」
店員から説明を受けた。与えるものは1日に3回のミルクと、ひとつきに数回のお菓子。絶対ドールを愛してあげること、一生大事にすること。そう言われた子は絶対守る、と心に決めたような真剣な眼差しをしていた。
子は早速ドールと話し始めた。
「おれ、玲王!御影 玲王。これからよろしくね!」
ドールは何も言葉を発さなかった。ただ言葉を理解し頭を縦に振るだけ。それはそうだろう、人形なのだから。言葉を発する機能なんて無い。
でも、子はそのドールを愛すると決めたから、その程度じゃ子は何も感じなかった。
「うーん、名前をつけなきゃ、そうだな。041番だから、『よいち』っていう名前、どうかな?」
ドールはただ首を縦に振る。気の所為かもしれないがその顔は、少し笑ったような顔をしていた。
「え、笑った?笑ったよね!可愛いな、よいち!」
初めてドールの笑顔を見た玲王はそれはもう喜んでいました。
次の日、早速買ってもらったばかりのドールを連れ、子はショッピングに来ていた。ドールの為の品を買いに来たのだ。
「えっと、ミルクとお菓子、あと服とかも欲しいよな、」
メモを見ながらショッピングモールをあっちこっちまわっている子とドール。周りにも同じ様な大人がたくさんいた。豪華な宝石店やおもちゃ屋さんには目もくれず、ただひたすらによいちに必要なものを買った。
「こんなものかな」
と、買い物が一段落した頃、ドールが子の袖を引っ張った。その行為に子は悶えながらも、
「どうしたんだ?」
そう聞くと、ドールはとある店を指さした。その店は、ケーキ屋さんだった。新発売で「琥珀糖ケーキ」というものが発売されており、ドールはそれを食べたがっていた。子はすんなりとそれを承諾し、ドールとともにそれを食べた。
それはとても甘かった。ただひたすらに甘く、琥珀糖で見た目も綺麗。まるでドールをそのままケーキにしたような感じだった
「よいち、おいしいな!これ。」
「、、、」
いくら話しかけても答えてくれないドールに少々悲しみを覚えた子は
「いつか、話せるようにならないかな。よいちが声を出したら、きっと可愛いんだろうね。」
と、子は叶うはずも無い願いの妄想をしていた。
もう日が沈みかけて来た頃、子とドールは帰路に着いていた。手をギュッ、と繋ぎ、とことこと道を歩いていた。
「よいち、今日楽しかった?また来ような。」
「あ、あのケーキ美味かったな、今度家に取り寄せよっか!」
答えられなくてもいい、と思った子はひたすらに声をかけ続けた。
「ぅん」
「え、?」
なんと、言葉を発してしまった。声を出せないはずのドールが。なんということだ、と子も驚いていた。
まだ言葉を発し始めたばかりのドールの日本語は少しばかりおかしいが、それでも子は大層喜んだ。
「すごい!すごいよ、よいち!ドールが声を出すなんて、世界で初めてなんじゃない?!」
子はとてもはしゃいだ。今までは家系のせいであまりはしゃいだことの無い子が、そこら辺にいる普通の子供のようにはしゃいだ。
「はは、ほんとに世界で1番でひとつのドールだね!そんなドールと出会えて、俺、幸せだなぁ。やっぱりよいちは俺の宝物だな!」
家に帰っても、子はよいちが話せるとバレたらよいちと離されると考え、親にもその事を伝えなかった。
「よいち、これは俺らだけの秘密、な。」
「ひみ、つ!」
寝るために電気を消した部屋の中、2人は指切りを交わした。