洞窟が無い?
途端に汗が吹き出る。
何故?どうして?
ぐるぐると頭の中で考えるが、考えれば考える程わからなくなって行く。
腰が引けてしまいその場に座り込み石壁を見つめる。
とその時、何者かの声が聞こえてきた
『 君、どうしたの?』
振り向くとそこには薄緑の肌をしたくせっ毛の少年がこちらを覗き込んでいた
『珍しい見た目だね。どこから来たの』
ツンとした表情を崩さず淡々と質問を投げ掛けてくる
彼が人では無いとすぐにわかった。でも今の紫紺にはそんなことどうでも良い。話が通じる生物が居ることに安心感を覚えていた
すぐに自分の状況を説明しようとしたが、混乱し上手く話がまとめられない
「なんて説明したらいいのか···」
『そうか、じゃあ後で聞くからまとめておいてくれ。先に手当てをしよう。』
咄嗟に自分の身体を見る。気がつかなかったがいつの間にか左手にすり傷がついていた。ゴツゴツとした岩壁を伝って歩いたからだろうか。傷に気がついた途端ジワジワと痛みを感じ始める
「これくらいなら大丈夫だから」
『菌でも入ったら危険だから念の為だよ、私の家に包帯があるからついておいで』
「⋯ありがとう。わかったわ」
『起きれる?』
「ええ」
混乱しているのを隠し冷静に振る舞う。
(彼について行って大丈夫なのだろうか?食べられたりしないだろうか)
そんな考えが脳裏を過ぎるが今は彼に頼るしかない。もしかしたら帰り方を教えて貰えるかもしれない
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!