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君の記憶が戻った時には
君の記憶が戻った時には、もう僕らは一緒にいれない
ピッ、ピッ、ピッ。無機質な電子音が鳴り響く部屋で少女は目を覚ました。ここは、レミナ軍の第五病床。シラロ軍との戦いによって負傷した戦士たちの中、少女は異色の輝きを放っていた。少女は美しく白色の長い髪を、白というよりかは銀色に近いような色のリボンでまとめていた。儚げで綺麗な雰囲気や美しい顔、髪からは、可憐なか細い声が聞こえてきそうだった。
「シュルド!!早く!あの娘が起き上がってる!!」
少女の耳に記憶にない女性の声が聞こえてきた。
———いや、少女に記憶など無い。
-第一章-
白衣姿の女性が少女を覗き込む。
「どう?見える?」
「ちょ、メリカさぁん、置いてかないでくださいよぉ」
男の叫ぶ声が聞こえる。少女を覗き込んでいた白衣姿の女性はメリカと言うらしい。
「シュルド!静かに!座ってなさい!」
「はぁ…」
シュルド、と呼ばれた男はメリカと同じく白衣姿であったがメリカとは打って変わって、頼りがいのなさそうな男だった。
「うぅ…ここ、どこですか?」
右手で頭を押さえながら少女が尋ねる。やはり、少女は美しい声だった。
「ここは、レミナ軍の第五病床よ。あなた、戦場で倒れてたの。覚えてる?」
少し怒った様子でメリカが説明するが、少女は赤子のような何も理解できないと言ったような目で辺りをキョロキョロしている。
「あの、メリカさん…。もしかしたら記憶が無いんじゃ…?」
シュルドが自信なさげにメリカに言った。またしても、メリカは怒っているような(呆れているようにも見えた)感じでシュルドを黙らせようとした。
「なーに?また、SFみたいな考え方して…。そんな訳ないでしょ。第一、あんたは漫画とかアニメの見過ぎ!そのよくわかんない知識でどれだけの時間を今まで取られたことか…」
さっきまでメリカに何か言われるとすぐに口を噤んでいたシュルドだったが、本当に少女が記憶喪失だったら、という期待に早口で説明をした。
「いや、あの。だから、、メリカさん。目立ったものはかすり傷しかないのにずっと昏睡状態なんてありえませんよ。頭を打ったりしない限りは…。だから、彼女はきっと頭を打ってから記憶喪失なんですよ!」
シュルドにしては、しっかりと筋の通った説明をした。メリカも納得するだろうとシュルドは自信しかなかった。しかし、
「だから、何だって言うの?頭を打ってたとしても記憶喪失になる事なんて少ないんじゃないの?そんな無駄口叩いてるんだったら早く仕事に行きなさいよ。いつまでも、血が怖い、とか言ってないで!」
と、メリカに一喝される。ちゃんとメリカに叱られたシュルドは涙目になりながらその場を離れようとした。その時、少女が口を開いた。
「私、記憶喪失です。」
少女は言葉を続けなかった。メリカは予想外の事で驚きを隠せず、赤くなっていた。一方のシュルドは、やっぱりそうなんだ!といった様子で目をキラキラと輝かせている。
「いや!待ってよ!!何であんた自分が記憶喪失だなんて分かるの?!」
「…あれじゃないですか?自分の事とか思い出は分からないけど、知識的なものは分かる……。みたいな。」
メリカとシュルドが少女について話す。
「そうかも…しれないです…。」
少女は自信なさげに言った。自分の現状を理解するので精一杯のようだった。当の少女とは変わって、この展開に興奮を隠せず少女に色々な事を聞いた。
「名前ってわかりますか?」
「名前………ま、みあ——」
少女は名前すら分からず、何とか捻り出した言葉をメリカとシュルドに伝えた。すると、メリカがこの状況を整理するのが終わったようで
「ミア?ミアって言うのね?」
と聞くと、少女は曖昧に頷いた。メリカは納得したようで自己紹介をする。
「私はメリカ。ここの医師をしてるのよろしく。それで、こっちはシュルド。ほら、自分の自己紹介ぐらい自分でしなさい。」
メリカは、ショートカットで白衣を着ており、いかにも頼れそうなしっかりとした大人っぽい人だった。いきなり自己紹介を振られたシュルドは自分でできる、とでも言ったような不服そうな表情で、
「シュルドと言います。ここで、メリカさんの助手をしている医師です。よろしく。」
と、少女——ミアに右手を出した。ミアはその手を掴んで微笑んだ。シュルドは癖っ毛ようで眼鏡をかけていて、ナヨナヨした男だった。
「シュルド。ミアをダルズさんのとこに連れてってくれない?」
「嫌ですよ!!!ダルズ総督めっちゃ怖いじゃないですか!!」
シュルドはメリカからのお願いを断固として拒否した。しかし、メリカはシュルドの叫びを無視するようにミアを立たせ、ミアの腕をシュルドに掴ませた。観念したシュルドは落ち込みながらも歩き始めた。
「ミアさん。行きましょう。」
シュルドが言う。ミアは頷いてシュルドと病室を離れて行き、メリカは二人を見守ってから自分の仕事に戻った。
主です🙌
この度は『君の記憶が戻った時には』をお読みくださりありがとうございます😖💘
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