逃げて正解だった。
あれから何ヶ月か経った、セラ夫がテレビに出るほど有名になっていて私はお腹をさすりながら、セラ夫におめでとうとテレビに向かって言った。
少し経ってお腹も大きくなった。
仲間たちや先輩達、後輩達とはメールは全くしてないというか…メールの受信を拒否した
もう私は二度とそっちには戻らないつもりだから。
でもSNSで彼らの情報は時々見ている、そんなSNSで最近セラフダズルガーデンに似ている男をよく電車で見かけるというのを見た。
あいつ、旅行でもハマったのか?なんて呑気に私は考えていた。
今日は、体調もいいし散歩に行こうか…____そんな軽い考えが間違えだったなんて、私は知らずに近くの海を見に行った。
今日はいい天気で潮風が気持ちいい。
「今日はいい天気ですよ…早く君に会って、この綺麗な景色を見せてあげたいです。」
お腹をさするとポンっと蹴った感じがした。
君も早く外に出たいんですね、そろそろ出られると思うから、もう少し私のお腹でいい子にしててくださいね。
『え~…凪ちゃん、俺も一緒がいいー…』
ふわふわしてるセラ夫の声…
「最近疲れてるんでしょうね…、そろそろ帰りましょっか。」
お腹をさすり後ろを振り返ると私の好きなエージェントが立っていた
『凪ちゃん…久しぶり、もうめっちゃ探したよ』
「…な、なんで…お前が…」
ほんとなんでいる、忙しいはずじゃ…
…頭が明らかに混乱している、まずい
「…ひ、人違いです、私は…あなたを知りません」
セラ夫に迷惑をかけたくないという気持ちが一気に来て
嘘をついた。だけど
『俺が間違える訳ないじゃん、大切な運命の番、相棒のこと。ねぇ、凪ちゃん…俺らのところに戻ってきて。』
「いやっ…!!!」
『……なんで?』
「私はセラ夫の…あなたの人生の邪魔をしちゃいけない、私は今貴方の人生に邪魔をするようなことをしているから、貴方の前から消えなくちゃいけない。」
『邪魔なわけないよ、俺は凪ちゃんのことを大切に思ってる、どんなことがあったって邪魔とは思わない。
____それが例え凪ちゃんが妊娠してたとしても』
…あぁ、こいつには敵わない、なんでもお見通しなんですね。
でも
「今はセラ夫は大事な時期だから、私はそんな大事な時に邪魔することはできません」
『…今までの俺と凪ちゃんの関係ってなんだったっけ?』
は?、なんだ…いきなり…
「相棒、番、…??」
『そうだよ、俺たちは相棒、相棒ってのは支え合っていかなきゃって俺は思う、辛い時も嬉しい時もどんな時も相棒がいるから俺は頑張れる…凪ちゃんは違う…?』
「…」
違わない…そうだ…
私も昔辛いことが何度かあった、けど彼がいたから乗り越えられた…
昔のことを思い出し泣きそうになるのを堪える
『俺も今辛いことに直面してる、そんな時に大事な相棒がいなくて辛いよ、ランドリーに行っても大好きな人はいないし、
仕事に行っても隣にいるはずの人がいない…寂しい…だから
アキラ…俺のために帰ってきて…アキラがいないと俺…だめ…みたい…だから…』
あんな表情のセラ夫は初めて見た、本当に辛かったんだなって一目で分かる
「ごめん…なさ…うっ…わ、たし…自分のことしか考えてなかった…妊娠って言われて…周りに迷惑かけるんじゃないかって…それが怖くて…」
『全然大丈夫だよ、全然迷惑じゃないし…凪ちゃんといつか生まれてくる赤ちゃんがいると思うと俺は幸せだし、お仕事も頑張れる』
その言葉が嬉しくて咄嗟にセラ夫に抱きついた
最初は固まってたが優しく笑い頭を撫でてくれる
『…凪ちゃん…遅いけど俺の恋人になってほしい、なってくれる…?』
「うん…ほんと…遅いですよ…」
『ごめんって笑、じゃあ帰ろっか、車待ってるよ』
「……は?く、車…??」
『うん、雲雀と奏斗が待ってる』
「…あいつらにもお礼言わないとな…まぁ今日は暗いですし私の今住んでいるところに行きましょうよ…明日…あ、でも仕事ありますよね?大丈夫そうですか?」
『大丈夫ー…今日から3日くらいオフを貰ったってきた、凪ちゃんを探すために』
「…そっか」
『そんな顔しないの、別にどうってことないし休めてラッキーだと思ってたぐらいだか』
セラ…
「あーきら!!!!こらっ!!!お前…勝手にいなくなってるんじゃねーよ!!!ばか!」
「おまっ、僕らがどれぐらい心配したか分かる???」
言葉の続きを紡ごうとセラ夫と私が口を開いたところで思いっきり誰かに抱きつかれ…、あ、これ
「…奏斗…たらい…」
「ばーかぁ、ばーかっ!!ほんとに…おれ、お、おれ…しんぱ…い…したんだかんな…」
「…こっちの気持ち考えて…っ、」
わー、すごいスピードで涙と鼻水で服が濡れていく…まぁ…でも心配かけたのは事実
『ずるーい…俺もぎゅーする』
何も言えないでいると一人また増えた
『…凪ちゃん…俺は幸せだよ』
「えぇ…私も、奏斗とたらいが子供だと思うと子育ても上手くいきそうですね」
『ははっ…ねー笑』
「んだとぉおおおゴラァぉあ??ひば、馬鹿にされてるぞ僕ら」
「あ゛ぁ…????……でも…もどってきてくれたから…いっか…っ、うわぁぁ泣」
『…いこっか、凪ちゃん家。』
「そうですね、おい置いてくぞ、たらい」
私は三人を連れて帰り明日に向け帰る身支度をし始めた、心が一気に軽くなって今まで一人で重く考えていたことが嘘みたいに心の中から消えた、…あぁ明日が待ち遠しい。
コメント
2件
ガチで涙出た😭神作品をありがとうございます😭
大好きです …… 😭😭