テラーノベル
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「今日は何を…ッ⁉︎」
「こら、落ち着けw」
パソコンを見ている風雅さんの肩からニョキっと顔を乗り出すと、呆れたように風雅さんが俺の頭に手をやる。
「今日はなぁ、これ!」
パソコンに表示されていたのは、新しい動画編集ソフトのホーム画面。
評判が良かったから買ってみたらしいけど、使い方がわからなくて困っていた。
「あ、それ使い方分かったんですか⁉︎」
「ふっ俺は天才やからなッ」
「…そうですか。早く見せてください」
「ルイくん冷たぁいぃぃ泣」
そう嘆きながらも 風雅さんは俺に新しい事を教えてくれる。
こうやって家事を手伝ったらバイト代に加えて新しい事を教えてくれる。
お金はとにかく必要だし、今後の活動の為にもこういう技術も必要。
俺が言い始めた事だから、俺はグループの為に尽くす。
俺も高校生だし、大変な生活だけどそれが最近の俺の楽しみになってきている。
「じゃ、来週もお願いな。」
「こちらこそ、お願いします」
「ほんと、助かっとるよ」
「自分でも家事出来るよーになってくださいね〜」
「…クビ」
「嘘です。」
21時くらいになったらまた自転車に乗ってシェアハウスに帰る。
「じゃ、失礼します」
「ん、雨降っとるから気ぃつけてな」
「はい」
返事をしつつも気分は憂鬱。なんでこんな時に雨は降ってくるんだ。
自転車を走らせて家に向かっていた。途中で連絡を忘れていた事に気付いて歩道に乗って自転車を止める。
慶一郎さんのトーク画面を開くと電話が一件と「雨降ってるけど大丈夫?」という文が送られてきていた。
「大丈夫だよっと…」
…雨は嫌いだ。思い出したくもない事が頭に浮かぶから。
どんよりとした空を見上げた後にまたスマホに目を落とす
通信が悪かったのか、慶一郎さん宛のメッセージがまだ送られていない。
送信を取り消してまた同じ内容を打ち直す。
スマホをポケットにしまってまた自転車にまたがる。
「…帰ろ。」
皆が心配している。無意識に服の上から胸を触っていた。
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