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そして、途中から父は、お父様と日本酒を呑み始めた。
「あ〜あ、大丈夫かしら?」と言うと、
「ハハッ、大丈夫でしょ」と匠も父を見て笑っている。
「あれ? 匠ビール? ノンアルじゃないの?」と聞くと、
「うん」
「え、帰りはどうするの? 代行?」と、聞くと、
「今日、ココで泊まろ!」と言った。
「え? そうなの?」と私が驚くと、
「うん、部屋とってある」と言う。
「ありがとう。でも、着替えないよ」と言うと、
「大丈夫!」と言う。
「お父さんとお母さんも?」と聞くと、
「あ〜そう言ったんだけど、お婆ちゃんが1人だから帰るってお母さんが。だから、タクシーの予約してある」
「そうなんだ、ありがとうね」
「うん」
すると、父が
「いや〜実はね、綾瀬さんに会うのをドキドキしてたんですよ」と言う。
「どうしてですか?」とお父様、
「匠くんが幼稚園の頃、綾とよく一緒に遊ばせていて」と言う父、
「その節は、本当にありがとうございました」と、お母様。
「いえいえ、私も嬉しかったんですよ。それでね、その度に、そのまま匠くんもウチに連れて帰って来てたものですから、妻に怒られて……」と言うので、母が……
「違うわよ! |朋子さん《お母様》に言わないで、『誘拐して来た』って連れて帰って来るから、まあ慌てましたよ!」
と言う母に、
「ハハハハッ」と笑われているお父様。
「いえいえ、預かっていただいて本当に助かりました」と、お母様。
「いえ。だからね、綾瀬さんに会ったら怒られるんじゃないかと……」と父。
「えっ? それでお父さん、来るとき静かだったの?」と私が聞くと、
「ハハッ」と笑っている。
「「「ハハハハっ」」」
「ハハハハッ、そうでしたか、とんでもない! 妻はいつも中谷さんご夫婦にとても感謝していましたよ。私が仕事で留守がちでしたからね。きちんとお礼も言えずに今頃になってしまって、申し訳ありません。本当にお世話になりありがとうございました」とお父様。
「いえいえ、そんな……」と4人で話している。
私は、匠に、
「そうだって」と言うと、
「うん。親父も感謝してたんだ」とボソッと言った。
「そりゃあ、そうでしょう! どこに居ても我が子のことが気にならないわけないじゃん!」と言うと。
「うん」と、少し微笑んでいた。
私は、匠が『俺は、パイロットにだけはならない! と思ってた』と言っていたので、お父様のことを良く思ってなかったのかと感じた。
なので、お父様の言葉が聞けて良かったと思った。
すると、やはり私たちの幼い頃の話になり、
「いつも匠くんには、キャッチボールに付き合ってもらって」と喜ぶ父。
「匠も喜んでいました。小学生になった頃、少年野球に入りたいと言って〜」とお母様。
「そうなんですよね、それがとても嬉しかったです」と父は、本当に喜んでいる。
そして、話は私の話へと変わった。
「綾もいつも匠くんと遊んでもらって……」と母が言うと、お母様が、
「そうそう、いつも帰って来るとね、匠が『今日もあちこち切られたよ』って笑ってるんですよ」
──ギクっ! あ〜その話は、や〜め〜て〜
容赦なくお話になるお母様、
「最初は、『切られた』なんて言うものですから、驚いたんですよ! でも、笑ってるし……そしたら、
『綾、いつもお医者さんごっこなのに、急に、《《しゅるつ》》します!って、《《メス》》! って、あちこち俺を切るんだよ』って笑ってるんですよ」
──あ〜それを言うのね〜言うよね〜
もう、皆んな大爆笑している。
匠も、「そうなんですよ! 綾のお医者さんごっこは、独特でしたからね。で、いつも切るだけ切って縫ってくれないんですよ」と、また、爆笑をさらう。
──人を話のネタにして……もうやめてよ……
「ただ、《《メス》》!って言いたかっただけなんでしょうね、それが可笑しくて……」と匠。
母が、
「ホント、ごめんなさいね〜うちの娘があちこち傷つけて〜」と笑っている。
「付けてないわよ!」
「「「ハハハハッ」」」
「いえいえ、楽しかったですから」と匠が言うと、
「いつも泥団子や草を食べさせられたもんな」と笑う父。
──おいおい! もうその話は、よくないかい?
まだ続けるの? 父よ!
「そうなんですよ〜いつもおままごとでは、砂や泥団子を食べさせられて、でもパンダごっこってのがあって、なぜかいつも俺がパンダ役で綾は、飼育員なんですよ! で、ちゃんと『はい、どうじょ』って草を取って来てくれるんですよ」
──あ〜あ、全部言っちゃうのね〜
私、今どんな顔してる? 穴があったら入りたい!
「おお、綾、パンダには《《ちゃんと》》草だったんだな」
──うん、褒められても嬉しくないわ! もうそろそろやめようか……
「ハハ」と愛想笑いをする。
「でもね、いつも俺と《《お父さん》》がキャッチボールをしてる周りを三輪車で走ってる綾は、とっても可愛かったんです」と言う。
──匠! それで上手く締めたつもりだな!
もう、遅いわよ……人を笑いものにして……
と、私は、ずっと引き攣り笑いをしていた。
でも、まあ、皆んなが大笑いしてくれたから良いか……
楽しかった。
そして、食事を堪能した後、お父様が、
「突然のことで、結納金もご用意しておりませんが」と、おっしゃると、
「いえいえ、もう、それは、それぞれ子どもに渡しませんか?」と母。
「ええ、そうですよ」と父もきちんと言えている。
──まだ酔ってないのかなあ?
「分かりました! では、そのように致しましょう」ということになった。
「「ありがとうございます」」とお礼を言った。
そして、匠が
「挙式、披露宴は、どうした方が良いですか?」と聞いてくれた。
「花嫁姿は、見たいわね」と母。
「式だけでも良いし、フォトウェディングもあるでしょう?」と私が言うと、
「あ〜そうね〜貴女たちがそれで良いなら」と母。
「僕は、本当は、挙式披露宴をしたいのですが……」
「え、そこに大金を使うなら新婚旅行に使いたいし……」と私が言うと、
「でも、一生に一度ですよね?」と、母に同意を求める匠。
「ええ、まあ」と言う母。
「お父さんたちは、どちらでも良いの?」と私が父に聞くと、
「ええ、まあウチは……。綾瀬さんは、どうですか?」と聞く父。
お父様とお母様が顔を見合わせて、
「本人達のしたいようにで、よろしいかと……ね?」と、お母様。
「うん、そうだな。このご時世、絶対にしなきゃいけないとは思ってないから、匠たちがしたいようにで良いぞ」
とおっしゃってくださった。
「そうなの?」と匠
「うん」
「ありがとうございます。じゃあ、フォトウェディングで良いんじゃない! 友達は、呼んで軽く二次会的なパーティーで良いし……」と私が言うと、
「そう?」と、
「うん! このホテルで聞いてみようよ、どんなプランがあるか」
「そうだな」と、2人で話しているのを、4人がニコニコと微笑みながら見ていた。
「「え?」」と、思わず笑うと、
「匠くん、もうしっかり綾の尻に敷かれてるわね」と母が言うと、皆んな笑っている。
「匠くんが尻に敷かれてるのは、幼稚園の頃からだよな」と言う父。
「あは、そうですよね」と匠が言う。
「私は、ほとんど覚えてないからね」
「綾は、都合の悪いことは、覚えてないね〜」と言うので、
「そんなの3歳とか4歳なんだから覚えてないわよ」と言うと、
「「ふふふふ」」
「「ハハハハ」」と、笑い声が聞こえた。
「ホントに仲良しね〜」と又、母に言われて恥ずかしくなってしまった。