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母が、
「じゃあ、フォトウェディングのプラン聞いてきて! そして、花嫁姿だけでも見せてくれたら」と言うので、
「うん! 分かった。挙式するなら神前式? チャペルでも良い?」と父に聞くと、
「うん、もう拘らなくても、どちらでも良いですよね?」と父が言ってくれた。
「「ええ」」とお父様、お母様。
「ありがとうございます」
旧家だからと、気にしていたのは、私の方で、もう時代は流れているようだ。
そして、楽しかった宴はお開きとなり、私たちはホテルのウェディングプランナーさんにお話を聞きに行くと言うと、父と母、匠のご両親は、まだ少しお話がしたいらしく、4人で別のお店へ移動すると言う。
タクシーを2台、夕方に予約してあるので、それに乗って帰るように伝えて別れた。
「楽しそうで良かった」
「うん、ホントに」
「ありがとうね匠」
「ううん、こちらこそ、良かったよ」と、手を繋いでウェディングコーナーへ
早速お話を聞くと、
フォトウェディングでも、挙式付きというプランもあると言う。
「良いですね、それ!」と匠が前のめりになる。
──やっぱり匠は、式を挙げたいんだな
私もせっかくウェディングドレスを着るのなら、やっぱり式は、挙げたいなと思った。
それなら、披露宴をするより、とてもお安く出来る。
それに、チャペルにも両親やお友達にも入ってもらえるし、その後、ホテルのお部屋を借りて二次会的なパーティーをすると、気心の知れた少人数だけで楽しく過ごせてお安く抑えられて、とても良いと思った。
私は、ずっと大人数での宴会は、しなくて良いと思っていた。昔ながらの形式に囚われなくても良いと思う。
もちろん考え方は、人それぞれだし、嫁ぎ先での置かれている立場によっては、開かなければならないこともあるだろうと思う。
でも、そうでなければ大金を遣ってまで、自分たちが今後も直接関わりを持たないような人たち、恐らく二度と会うことがないような方々を呼んで披露宴を開くというのは、なんだか違う! と思っていたから。
気心の知れた間柄の人たちだけなら、気を使わずに楽しく過ごせると思っている。
なので、チャペルには、両親と来てくれると言う友達だけで良いと思っている。
「もう親戚も上司も呼ばなくて良いかな、少人数で良いと思ってるの」と言うと、
「そうだな。上司とか呼んだら、どこまで呼ばなきゃいけなくなる? って感じだもんな」
「うん、親戚にわざわざ来てもらっても披露宴はしないし、なんだか足を運んでもらうのも申し訳ない。両親が呼ぶならお任せするけど、なんなら、両家の両親と私たちだけでも良いと思ってるんだけど」と言うと、
「いや、絶対美和は来るぞ!」と言う匠。
「あ、そうね。美和は家族みたいなものだから絶対来てくれるよね」
「そうするか?」
「うん! あとの人はパーティーからでも来てくれたら嬉しい」
「そうだな」と話していると、
プランナーの方が、
「チャペルには、たくさんの人数が入れますので、お友達も挙式にご招待されて、ご出席いただける方は、挙式から出席される方も多いですよ」と言われた。
「そっか、一応連絡だけしておいて、挙式から来られる人には来てもらえば良いか」という匠。
「そうね、お任せすれば良いのね。来てくれれば嬉しいし、最初から両親だけって思っていたら、出席者が少なくても驚かないし……」
「ホントに誰も来なかったら、寂しいけどな」と匠。
「確かに! 悲しいね……」と笑い合う。
そして、別のプランを見せていただくと、沖縄でフォトウェディングというプランもあった。
「え?」と思わず私が食いついてしまった。
「砂浜での挙式と撮影になっております。ご家族
様もご一緒に行かれて皆様で撮影されたり、もちろんお2人だけというプランもございます」
──家族? 言ったらついて来そうだけど……
「なるほど〜こちらの場所は、沖縄本島ですか?」
「左様でございます」
「あ〜本島なんですね……」と言うと、
「新婚旅行のご予定は、沖縄ですか?」と聞かれて、
「ええ、沖縄に行きたいのですが、出来れば離島の方に……」と言うと、
「左様でございますか……宮古島はじめ八重山諸島、色んなプランもございますが」と言われ、再び前のめりになる。
写真を見せていただくと、とても素敵だ。
すると、匠が
「でも、外での撮影で、もし雨になってしまうと……」と言うと、
「あ、そうだよね」
「そうですね、雨季の時期ですと雨が多いですが、それ以外は、スコールのようにすぐに止むことも多いです。それに、雨天保証が付いていますので、新婚旅行期間中のお日にち変更も可能です」
「なるほど〜」
「前撮り、後撮りの写真のみプランもございます」
前撮りは、不可能だが記念に後撮りは、有りだなと思った。綺麗な海で、それもドレス込みで写真撮影だけなら格安になっている。
「素敵〜」
しかし、これに関しては、先に新婚旅行を抑えてからでないと、本当に行けるかどうか分からない。
「とりあえず、チャペルで挙式して、パーティーして、新婚旅行が抑えられたら、これもお願いしようよ」と匠。
「うん、そうだね」
「かしこまりました。
では、実際にチャペルやパーティー会場をご覧いただきたいのでご案内いたします」
と見せていただくことにした。
いよいよ、現実味を帯びてきて、とてもワクワクしてきた。
エレベーターでチャペルまで上がる。
なんと、チャペルは30階!
そこから海が見える絶景だ。
「うわ〜綺麗〜!」
「どうぞ前の方まで」と促され、私たちは、教会の前方まで歩く。
チャペルは、とても広く前方がガラス張りになっているので、海が見えてとても美しい。
「綺麗だね〜」
「うん、綺麗だな」
自然に笑みが溢れる。
挙式後には、テラスに出て、ブーケトスをしたり、フラワーシャワーを受けたり、バルーンリリースをしたりと、いろんな演出ができるようだ。
「うわ〜どれも素敵ね、全部やりたくなっちゃう」
そういう色んなプランを聞いてしまうと、やっぱり迷ってしまう。
「うん、お安くなった分、やりたいことは全部やろうよ」と匠は言ってくれる。
──嬉しい
そして、パーティー会場となるお部屋も見せていただいた。
少人数だとチャペルが、そのままパーティー会場に変わるお部屋もあるというが、さすがに少し狭いかなと思った。
それに、チャペルは、海の見える30階の方が良い。
そして、パーティーのみの会場を見せていただく。
これも、小スペースから仕切りを開いていただくと、中くらいのスペース。更に仕切りを開くと大スペースになると言う。
「うわ〜広い! う〜ん、中くらいので良くない?」と匠に言うと、
「うん、そうだな。これでも余裕がある感じなので良いと思う」
チャペルと中スペースの会場に決定!
あとは、日にちだ。
「では、デスクの方でプランをお出ししますね。新婚旅行は、どうされますか? こちらの旅行代理店もございますが……」と、
なんでも揃う便利な世の中だ。
あちこち移動するのも大変だし、それに、宮古島の後撮りフォトも捨てがたいので、匠に相談して、
「では、お願いします」と言ってくれた。
「少しお時間良いですか? ちょっとお手洗いに……」と言うと、
「もちろんでございます。担当の者を呼んで参りますので、どうぞ、ごゆっくりなさってくださいませ」
その間に2人でトイレに行った。
匠が、「他のホテルは、もう見なくて良いの?」
と聞いてくれた。
「うん、ココのチャペルが気にいったの! 匠は?」
「綾が良いなら、俺も良いよ」と言う。
「ありがとう」
トントン拍子に話が進んでいるが、肝心の日にちは、まだ決めていない。
それぞれ空いている日を予約しなくてはならない。
『結婚式』って大変だなあ〜と思った。
でも、もう今日決めてしまいたい!
旅行代理店の男性スタッフさんも同席していただいて、
まず、チャペルと中スペースの会場が空いている日をいくつか出していただく。
披露宴をする方なら1年待ちなどのようだが、
挙式とパーティーだけなら、1番早くて3月に空いているようだ。
「今日が、12月2日だから……
あっ! 婚姻届は、いつ出すの?」と匠に聞くと、
「それは、もうすぐにでも、先に出そうよ」と言う。
「そうなんだ」
「じゃあ、挙式希望日はどうする? 匠の誕生日は?」
匠の誕生日は、3月2日、来年は土曜日だ。
「あ、ダメだ! 来年は仏滅だ!」と私が言うと、
「やっぱ、そこは拘るんだ」と笑う匠。
「うん、一応……」
「じゃあ綾の誕生日は?」と言う匠。
私の誕生日は、3月3日なのだ。
何を隠そう2人の誕生日は、1日違い。
ちょうど日曜日。
「うわ! 大安吉日! じゃあ、もう空いてないですよね?」とスタッフさんに聞くと……
「それがですね、つい先ほどキャンセルの連絡が入ったようでして……」と、
「え〜! そうなんですね。ラッキー!」と笑う。
「でも、宮古島は、そんなに上手く空いてないですよね?」と言うと、
「3月4日ご出発ですね、何泊でしょうか?」と男性スタッフさんが見てくださっている。
「ねえ、日曜日に挙式なら、匠、月曜日から4日間も休めないよね?」と言うと、
「う〜ん、そうだな。なら新婚旅行だけ違う日に行く?」と。
「そうですね、沖縄の海開きは、3月後半辺りになるかと思いますので、その頃に行かれる方も多いですね。2024年でしたら、3月23日頃かと。
ただ、学生さんも多くなる時期ですね」とスタッフさん。
「そうですよね、春休みですものね。匠どうする? 23日〜26日は? 忙しい?」と聞くと、
「行けると思う! いや、なんとかする!」と言う匠。
そして、私はもう一つ我儘を言ってみた。
「あの〜ちなみになんですが、宮古島のフォトウェディングを24日にして、1日目は、那覇から与那国島へ行くということは、出来ますか?」と、聞くと、タブレット端末を見ながら調べてくださるスタッフさん。
「与那国島へも行きたいの?」と匠。
「うん、ずっと行ってみたかったの。テレビドラマで見て。日本最西端に行ってみたいの」と言うと……
「なるほど〜えっ? そっち?」と匠は言った。
「ん? 何が?」と言うと、
「《《メス》》!」と指を立てて笑っている。
「違うよ!」と真顔で言った。
「あ、やっぱ違うよね」とボソボソ言っている。
テレビドラマが診療モノだったから、《《メス》》! は、そこから覚えたのだと思ったようだ。
─違う!