3話
1ヶ月がたった頃だろうか。
俺の話を聞いてくれなくなった。
思春期というものだろうか。年頃だし。
学校にも頑張れない日が度々あるようになった。
ご飯も少ししか食べてくれない。
お風呂も入りたがらない。
男の子の思春期とはこんな感じなのか。多分だが俺にはなかったと思う。親が親で厳しかったし反抗なんて出来なかったしそもそも気にしたこともなかった。
どうしたらいいのだろう。
☕「彰人。学校頑張れるか?」
🥞「…」
やっぱり話は聞いてくれないみたいだ。
すると彰人は立ち上がり服を着替えた。
☕「?!」
驚いた。彰人が好きな女性物の可愛い服を着ない。
最初予備に買った男の子用の服を着てカバンの中を漁り始めて化粧ポーチを取り出しそれを彰人は
ゴミ箱に捨てた。
☕「彰人!」
☕「なんで捨てたんだ?服も…」
🥞「…もう、要らない。」
☕「なんでだ?使い切ったのか?」
🥞「…」
☕「彰人。話してくれ。」
🥞「…」
彰人は無視をして廊下の通路に出て外に出ようとした。
☕「彰人!話が終わってない。」
🥞「うるさいんだよ!」
☕「…」
🥞「うざいんだよ、着いてくんな。」
これは、思春期なんかじゃない。
フリースクールでは服どうしたのって聞かれて…でも喋れる元気もなくて無視した。罪悪感があった。でも、何もしたくない。もう、疲れた。
先生「彰人くん。大丈夫?体調悪い?」
🥞「…」
先生「なにか不安になっちゃった?」
🥞「…」
先生「…今日はもう帰ろっか。連絡するから待っててね。」
🥞「…」
…どうでもいい。
☕「こんにちは。彰人を迎えに来ました。」
先生「お忙しい中ありがとうございます。彰人くん無表情でずっとお話も聞いてくれなくて。」
☕「すみません。なんか最近ずっとこの様子で…。」
先生「そうなんですか…。ちゃんと話し合ってあげてください。」
☕「はい。ありがとうございました。」
☕「彰人!行くぞ。」
🥞「…」
☕「彰人。」
🥞「…」
☕「はぁ、」
何も聞いてくれない。今日はしょうがなく抱き抱えて帰った。
家
☕「彰人。教えてくれ。服も化粧も、どうしたんだ?」
🥞「…も、…何も、…」
☕「ん?」
🥞「…何も、したく…ない…」
☕「…そうか。服はなんで着ないんだ?」
🥞「俺なんかが…気持ち悪いだろ、」
☕「気持ち悪くなんかない!」
🥞「もう分かってんだよ!こんな男が…女物の服なんか買って化粧道具だって…、」
🥞「心も、…女になりかけて、…もう、どうしたらいいんだよッ…」
☕「っ…」
🥞「俺は男。俺は男の子の服を着なきゃ行けない。俺は男だから男みたいに振るわなきゃ行けない。俺は男だから声が変わって…俺が…男だから…通学する時変な目で見られて…もう、」
🥞「消えちゃいたい!」
☕「…、彰人は、男でいる必要なんてない。自分の好きな物を好きなように好きになればいい。好きな物は人を輝かせるんだろ?」
🥞「違うっ!」
☕「…ごめんな。何が違った?」
🥞「俺があんな女の服なんか着るから…」
☕「何があったんだ?嫌なことがあったのか?何か言われたのか?」
🥞「どうせお前も俺の事気持ち悪いって思ってるくせに!」
☕「思ってなんかない!彰人は彰人のままでいいんだ!」
🥞「じゃあ俺が女の服着て自分のこと俺って呼んで女のメイク沢山して…なのに…トイレとか男に入らなきゃ行けないし女には無いものがついてて、俺には胸が無いし髪の毛もサラサラなんかじゃないっ…なんで…なんで俺は好きなことをしてるだけなのにっ…こんなに違うんだよっ…」
もうそればかりはしょうがなかった。
トイレは男の方に入らないとダメだし女の人にしかないものも彰人には無い。胸だって膨らんでない。髪の毛もどちらかと言われたらくせっ毛でサラサラでは無いかもしれない。
事実を突きつけられて彰人になんて声をかけるかなんてもう、ないんだ。
☕「女に…してやれなくてごめんな。この世界がもっと平和で性別が簡単に変えられて好きな物が好きって誰にでも言えるような世界だったら良かったのに。俺はそればかりは何も出来ない。」
☕「でも彰人に可愛い服を買ってやることもできるしメイク道具だっていくらでも買ってやる。」
🥞「そんなんじゃない!何も分かってない!分かれよ!」
☕「ごめんな、分からない。でも分かりたいと思ってる。だから教えてくれないか?」
🥞 「…う”ぇ”~ッ…ん”ぇ”~ん”ッ…泣」
☕「ごめん。ごめんな。何も分かってやれなかった。彰人の父親として最低だ。ちゃんと振舞ってやれなかった。ごめんな。」
🥞「う”ぅ”ッ~ッ…う”ぅ”ッ~…泣」
☕「ごめん。彰人ごめん。泣かないでくれ。」
人をこんな風に泣かせたのは何年ぶりだろうか。
親に反抗した日母親を泣かせた。
それ以来だ。
彰人をこの様な形で泣かせるなんて俺はどんな最低な男なんだ。
でもこれが発作だとわかったのは先の事。
何時間たっても泣き止まず。
背中をさすってやれば少しは落ち着くものの嫌がりもっと泣き出した。
もうどうしようも無くなった。
そろそろ夜になる。
防音だから他の部屋の人に迷惑はかからないが俺もどうしたらいいか分からずこのまま放っておくしか方法は無くて俺の心も少し限界に近かった。
やっと泣き止んだのは深夜3時の頃。
何時間泣き続けたか。
俺も心に限界が来て彰人に怒鳴ってしまった。
その時の彰人の顔が忘れられなかった。
🥞「ぅ”ッ…え”く”ッ…う”ッ~泣」
☕「…うるさい!黙ってくれ!そろそろ泣き止んでくれ!他の部屋の人に迷惑がかかるだろ?!こっちの気持ちも考えてくれ!」
🥞「ッ…ぁ…」
この絶望に堕ちた顔が忘れられなくて結局深夜3時をすぎても寝れなかった。
次の日の朝。
変わらず今日は平日で俺には仕事があるし彰人は学校があった。
けどどちらも休んだ。
彰人を起こしに行かなければ。
寝室にいる彰人の顔に当たるベッドシーツの色が涙で変わっていた。
毛布も被らずぎこちない顔で眠っていた。
☕「彰人。」
🥞「…」
☕「朝だ。起きてくれ。」
🥞「…ぅ、…、」
☕「昨日は怒鳴ってしまってすまなかった。それと、彰人の気持ちを分かってやれなくてごめんな。」
🥞「…」
☕「彰人?」
🥞「…」
彰人は怯えたようにこちらを見て震えていた。
当たり前だった。
あんなに怒鳴って怖がらない方が怖い。
申し訳ないことをした。ちゃんと分かっている。
謝っても…謝ってもきっとこの関係は戻らないかもしれない。
☕「ご飯。作るから食べれそうなら来てくれ。」
もちろん食べになんて来なかった。
ごはんがたべたくないのか。それとも俺の作ったご飯が食べたくないのか。
おにぎり1つに汁物、昨晩のおかずの残り物。
そんなものばっかりだったし食べたくないのは分かってる。
何故か、涙が溢れてしまった。
子育てって難しいんだってそんなの頭に入ってた。けどこんなに難しいなんて聞いていない。母親や父は俺を育てるのにこんなに苦労したのか。
やっとわかった。
もう、彰人を育てるのは…無理かもしれない。
まるで昨日の彰人のように俺は涙が溢れてしゃくりあげてしまった。
すると部屋から彰人が出てきた。
早く涙を拭かなければ。泣いているのがバレたら彰人に申し訳ないだろう。泣き止め。泣き止んでくれ。何故だ、ずっと涙が止まらない。
🥞「…、冬弥っ、?」
🥞「…ど、どうしたの、?」
☕「すまないっ…ヒクッ…気にしないでくれ…泣」
🥞「そ、そんな、…あの、俺のせい、だよね。」
🥞「ごめん、なさい。俺がわがまま言うから…悲しませちゃったんだよね。ごめんなさい。」
☕「違うんだっ…俺が…俺が悪くてッ…」
☕「彰人をッ…責任もって育ててやれなかったのがッ…ヒクッ…申し訳なくてッ…泣」
🥞「…冬弥は、俺のために沢山してくれたよっ、だから泣かないで…」
☕「やっぱりッ…俺には子育てなんて向いてないのかもしれないッ…ヒクッ…泣」
🥞「(俺が、追い詰めたんだ、…)」
☕「彰人ッ…こっちに来てくれ、」
🥞「え、?」
ぎゅっ…
☕「しばらくこうさせてくれッ…」
🥞「…うん。」
少ししてから冬弥はすまない。少し取り乱したな。と言っていつものように俺のご飯を温め直していた。
心が痛くなった。
あんなに冬弥は俺の事について悩んでいてくれた。それに
責任をもって俺を育てようとしてくれた
ということが何よりも俺の心に響いた。
冬弥は俺を捨てる気なんてないし俺を頑張って育てようとしてくれているのはとっくにわかってる。
後は、俺の覚悟だけ。
そうだ、俺があとは冬弥を信頼すれば…。
☕「温めたから少し熱いかもしれない。気をつけて食べてくれ。」
🥞「…冬弥。」
☕「どうした?」
🥞「冬弥…俺のお父さんになって…」
☕「…え、」
🥞「俺やっとわかっんだ。冬弥は俺のために沢山頑張ってくれた。好きなものを好きでいていいって言ってくれた。それに、最後まで捨てずに俺を責任もって育てようとしてくれた。もうとっくに分かってた。後は俺の覚悟だけなんだって。だから決めた。」
🥞「冬弥は、俺のお父さんになって。…ください。」
☕「…っ、」
☕「彰人!」
ぎゅっ…
🥞「わっ、」
☕「ありがとうッ…良かった、ありがとうッ…」
🥞「冬弥、…じゃなくて、お父さん、」
☕「もちろんだッ…これからはお父さんになる。」
🥞「お父さ~ん!」
☕「どうした?」
🥞「ね!この新作の服見てよ!めっちゃ可愛くない?!」
☕「あぁ、可愛いな。欲しいのか?」
🥞「…欲しい…かも、」
☕「ふふ、いいぞ。」
🥞「ほんとっ!」
☕「ん~じゃあ今日学校頑張れたら買ってやろうかな。頑張れそうか?」
🥞「うん!頑張る!」
俺は中学校に通えるようになった。
フリースクールにはたまにお世話になることもあるけど学校のクラスにも馴染めてるし楽しい事もある。
これも全部お父さんのおかげ。
俺を捨てずに一生懸命育ててくれたおかげ。
今俺は好きな物に夢中になってる。
もちろん可愛いもの。それに可愛いものが好き同士の友達ができた。
お父さんが紹介してくれた人。
その人が俺を前に押してくれて好きなものをすきでい続けることが出来ている。
俺にはお父さんが2人居てお母さんが1人いてお姉ちゃんが1人いる。
もう前の家族のことは引きずらないって決めて今のお父さんに大切にしてもらう。
見ててね。天国の家族。絶対可愛くなってやるから。
END
うわっ😭😭😭
やっと書き終わった~ハピエンですね!
バトエンはこの話的に書こうと思えばかけるけど少し気持ち的に心痛いよね。
後すきぴ私いたじゃないですか。蛙化して嫌いになりました。普通に私にデリカシー無い事言ってくるし傷つくことばっかり言ってきてすごく嫌だったので嫌いになってしまった…😿
てか!明日私の誕生日なんで是非コメントで祝ってください😽😽
冬弥くんと同じなんですよ~😸
でも明日部活(((((
顧問に祝ってもらおう👍🏻 ́-
おつたに!
コメント
8件
1日早いけど、お誕生日おめでとうございます🎉部活は何部に入っているんですか?!
誕生日おめでとうございます!まだ少し早いけど…明日も部活頑張ってくださいね!
彰人ッ!良かったな!!!まじでほんとに大好きです!