TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

離婚します  第一部

一覧ページ

「離婚します  第一部」のメインビジュアル

離婚します  第一部

36 - 第36話 旦那とシェアハウス?

2024年10月30日

シェアするシェアする
報告する

帰って晩ご飯を用意する。

にゃーんとタロウがやってきた。


「あんたのご主人、ゴミ袋と猫を間違えて事故っちゃったんだよ、ドジだよね?でも、優しいとこ、あるよね」


は!何言ってるんだろ、私。

自分で自分にツッコミを入れる。

離婚届はまだバッグの中にある、果たしてこれをどうしたものか?


「こんな時は洋子さんだな、やっぱり!」


独り言を呟きながら、洋子さんにLINEする。


〈お久しぶり!元気?また時間があったら話を聞いてほしいんだけど〉


ぴこん🎶


《お?とうとう離婚した?いいよいいよ、話聞くよ》


〈じゃあ、いつ、どこにする?〉


ぴこん🎶


《来週なら何曜日でもいいよ、場所は最近できた和食のお店、どう?ほら、国道沿いの》


ということで洋子さんと、話ができる。

それだけで少し気分が落ち着いた。

こんな風に気持ちがフラフラする時は、第三者に聞いてもらう方がいいと思うから。



「ただいま」


旦那が仕事から帰ってきた。


「おかえり、ご飯できてるよ」

「あぁ、ありがと。汗かいたからさきに風呂行くわ」

「え?あ、そう、どうぞ」


いま、ありがとって言った!

ご飯を作ってありがとって言われたのはいつぶり?もう記憶にもない昔かもしれない。

先に食べようかと思ったけど、なんとなく待っていることにした。


「今日は暑かったな、ビール、ビール、と」


言いながら自分でビールとグラスを出す旦那。


「未希ちゃんも飲む?」

「うん、ありがと」


おおっ、私からもありがとが出た。

ありがとの連鎖だ。

その晩ご飯は、テレビもつけず事故の時の話や、仕事の現場での話で盛り上がり楽しい時間になった。

楽しいとご飯の味も美味しくなる気がした。





「そっか、離婚届までは書いたわけね、旦那さんも美希ちゃんも」

「うん、いつ出してもいいからって言われてさ。そしたら反対に、まだ出さなくてもいいかな?とか思っちゃって」


天ぷら定食、洋子さんと二人して同じもの。

カツや天ぷらって、主婦は家庭ではなかなか揚げたては食べられないから、こういうとこではやっぱりそういうものを食べてしまう。


「話を聞いてて思ったんだけどね…」

「うん、なんでも言って」

「離婚届は提出して、そのまま同居したら?」

「え?同居?」

「いやだってさ、住むとこもなかなか決まらないし引っ越すのも大変でしょ?」

「そうだけど、それじゃ意味がなくない?」


美味しいね、人が作る天ぷらは!とか言いながら。


「離婚の?意味はあるよ、責任がなくなるじゃん!」

「責任て?」

「妻としての、というか奥さんとしての?家事もできるだけそれぞれがやってさ。同居する代わりに、未希ちゃんはちゃんとその分の家賃や光熱費を払う。そうすれば旦那さんもローンが助かるでしょ?」

「なるほど…」

「引っ越すのはもっと後にして、離婚届だけ出せば?あ、その時にちゃんと一筆書くようにね、家賃や光熱費や食費や家事のこと。そうやって、あくまでシェアハウスにすればいいんじゃないの?」


憎みあっての離婚じゃないみたいだしね、と付け足す。

私だけじゃなくて、旦那にもメリットがあるわけか、一考の余地はある。


「それにね…」


と続ける洋子さん。


「その、彼氏?結婚しちゃったらさ、寂しいと思うよ。だから誰かと一緒にいた方がいいって。でも、未希ちゃんは誰かに縛られるのは窮屈になるのかもね、お互いに熱烈なときはいいけど」

「洋子さんは一人暮らししてるじゃん?」

「一人だけど、今は元旦那と仲いいからまったくの一人ってわけでもないよ」

「そうか…」


でも、そんな私の身勝手なこと、旦那は認めてくれるかな?とも思う。


「一つ屋根の下だと、距離を取るのは難しいかもしれないけど、離婚届だけきちんと出していれば気持ち的にはラクでしょ?その上でどうしても嫌なら引っ越すことにして」

「そうだね、考えてみるよ」

「なんなら、あと2、3人ルームメイトを探してみる?」


ニヒヒ、といたずらっぽく笑う。


話し合いは必要だけど、いい考えかもしれないと思った。

世間的に見れば、結婚してるのか離婚してるのか判断できない生活だけど、自分の中での気持ちは軽くなる気がした。

旦那とのシェアハウス?

それって、いいとこ取りじゃん!と思った。

loading

この作品はいかがでしたか?

0

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚