テラーノベル
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森の奥深く、木々の影がまだ濃く、光はほとんど差し込まなかった。ミライは小さな火を抱き、カイと肩を並べて慎重に歩く。
何日も続いた試練、頭脳戦、迷路のような森――二人の体は疲れ切っていたが、心の中には確かな希望があった。
「ここを抜ければ、きっと…」
ミライは小さくつぶやき、目の前の道に集中した。
森は最後の難関を二人に与えた。
絡み合う木々、落とし穴、苔むした岩、そして遠くで光るシグマのランタン。
シグマは静かに二人を見守り、冷静な計算で動きを封じようとしていた。
「また…罠があるのか…」
カイは少し息を切らしながらも、落ち葉や枝を使い、即席の探知装置をチェックする。
「でも、大丈夫だよ、ミライ。僕たちなら乗り越えられる」
カイの笑顔が、ミライの心に小さな勇気を灯す。
森の迷路は複雑さを増し、足を踏み外せば落とし穴に落ちる危険もあった。
突然、枝が軋む音が響く。
「うっ…!」
ミライは火を抱えつつ、身を低くして避ける。
視界の端に、シグマが影のように現れる。
「逃がさない…」
冷たい声が森にこだまし、二人の緊張は最高潮に達する。
だが、ミライは恐れなかった。
「科学と工夫で、突破する!」
火の熱、風の流れ、枝や葉っぱの配置――森の自然を利用した最後の装置を組み立てる。
煙と光を操作し、森の中の罠を逆手に取る。
これまで培った経験と知恵が、彼女の動きを支えていた。
装置が完成すると、煙が流れ、枝が揺れ、シグマの視界は封じられる。
「今だ!」
ミライはカイと息を合わせ、迷路の最終地点に向かって全力で前進する。
足元の泥や岩に注意を払いながら、火の光を頼りに進む二人。
やがて森の出口が見えた。
薄暗い森の奥から、一筋の光が差し込む――朝日の光だ。
「やった…!」
ミライは小さく叫び、火を抱えた手を握りしめる。
カイも笑顔で隣に立ち、二人は肩を並べて光の中へ歩み出した。
森を抜けた瞬間、二人は達成感と安堵に包まれる。
長い試練、シグマとの頭脳戦、迷路のような森を乗り越えた経験が、二人を強くした。
「これで…少しは成長できたかな」
ミライは火を見つめ、心の中でつぶやく。
だが、森の外に出たからといって冒険は終わらない。
遠くの影に、まだシグマが潜んでいるのが見えた。
「油断はできない…でも、今はこの光を信じる」
ミライは火を抱き、カイと共に新たな冒険へ歩き出す。
第一巻はここで幕を閉じる――。
森での試練、仲間との出会い、科学の力で乗り越えた頭脳戦。
この経験は、二人の未来を大きく変える第一歩だった。
光の中、森の先に広がる未知の世界が、二人を待っていた。
そしてミライは、次の試練と発明のチャンスを心に描きながら、希望に満ちた瞳で前を見据えた。
第2巻も読んでね!
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