みなさま、前回に引き続き、読んでいただきありがとうございます。
今回の投稿、ちょっと間が空いてしまいごめんなさい。
じんとのために……と試行錯誤していたら、時間をかけたにも関わらず文章が下手になってしまいました泣。
それでも許してくれる方がいらっしゃいました、ぜひ読んでもらえるとうれしいです。
うちのさのじんちゃんをあたたかく見守ってあげてください。
それから1ヶ月くらい経った、ある日の撮影終わり。
「じんちゃん、ちょっとい?」
帰り支度をしていたところで勇斗に声を掛けられた。
今日は新曲の振り入れからのYouTube撮影だったから疲れも溜まっていて、できればすぐに帰ろうと思ってたんだけどなあ、。
そんなことを考えながらも、当然勇斗に悪気はないし実際悪くないので、何もないふうに応える。
「なに?」
「うーん、大事な話になるかもだから、ちょいこっち来て」
そう手首を引っ張られ着いたのは、広いスタジオを出て右の突き当たりにある自販機のスペース。
他のメンバーやスタッフたちはもう帰るらしく、おつかれ〜なんて言葉を交わす。
「で、どうした?」
「えっとさ、なんか…」
勇斗がなぜ言葉を濁すのか、わかるはずもなくどうすることもできない。
長く感じた沈黙─実際は5秒くらいなんだろうけど、体感5分はあったね─を破った勇斗は、意を決したような顔で話しはじめた。
「えーっと、じんちゃん、最近なんかおかしくない?いや、俺の勘違いだったら恥ずいんだけどさ…めっちゃ目合うし、その割にすぐ逸らすし、、。どうした?」
────バレてた。
え。
うわ、え、どうしよう、。
たしかに最近、よく目が合うなあとは思っていけど。
それに小さく喜んだりしてたけど。
でもまさか、まさか自分が見てたからだなんて、想像もしていなかった。
恥ずかしすぎる。
思い返してみれば、最近のグループ仕事での記憶は、5人でいるはずなのに勇斗ばかりだ。
うっっっっっわ。
無自覚でそんなこと。
しかも本人から言われてしまったなんて、相当見てたんだろう。
……いや、でもだ。
俺が勇斗をすきだとかそういう話は一切していない。
勇斗は純粋に俺の異変を察して、純粋に心配してくれている。
まだ騙せる。
「……?いや、なんもないよ、?なんか心配させてごめんだけど、ほんとに最近は変わりなく平穏な毎日を過ごしてるので」
「そ、っか、じんとって溜め込んだりするから、そーゆーのかなって思ったんだけど…」
なぜか勇斗のほうが苦しそうな顔をしていて申し訳なくなる。
本当にメンバー思いの、優しいヤツ。
「えっとじゃあ、さ、なんかすきな人できたとか?ちがうか、なんかわからんけど、絶対にいつものじんちゃんじゃないよ、こんなにじんちゃんのこと見てる俺が言うんだから絶対そう!」
その通りだよ、お前がすきだよ。
心の中で叫ぶ声とは裏腹に、言葉になって漏れたのは
「ほんとになんもないって笑、すきな人もいないし体調も悪くない」
なんて、嘘。
「佐野さんのほうが疲れてるんじゃない?いつも俺らを引っ張ってがんばってくれてるし」
勇斗が感情を露わにするときによく出る早口がなぜ今、なんてことは考えなかった。
強いて言うなら、本当にメンバーのことを心の底から心配してるんだなあってことくらい。
だから。
「……え、じんと、すきな人いないの?」
「は?」
勇斗かなぜそこが引っかかっているのかがわからない。
いつまでも学生の恋バナノリが抜けないから?
いや、でもメンバーのプライベート事情は触れないもんだろ、常識のある大人は。
「てっきりすきな人ができたって読みは合ってると思ったんだけどなあ」
「なんでだよ笑。え、なになに、俺そんな話勇斗にしてたっけ?」
「いや、してない。けどなんか、最近のじんちゃんやけにかわいいし、恋してんのかな〜とか思ってた」
……は、かわいい?
かわいい???
こんなマジトーンてかわいいなんて言われたこと、人生で何回もないぞ??
これは、もしや、いやもしやしなくとも……。
いいや、判断するのはまだ早い。
普通に考えてそんなことありえないし、あのメンバー愛も愛情表現もメーター振り切ってる佐野さんだ、突飛なことも言ったりするし、、。
「えっ……と、かわいいって、」
「最近のじんちゃんほんとかわいいんだよ!目も潤んでるし仕草も小動物みたいで、かと思ったらたまに憎たらしいこというけど、それも仁人らしくてかわいいなとか……」
「あ、そ、えッ、、、、」
やばい、これは……。
目頭が熱い。
捨てようとしても捨てきれなかった恋心が、報われかもしれない。
もしそうなら。もし本当に、勇斗が俺を想ってくれているなら。
勇斗の言葉で、声で、聴きたい。
「あ゛〜〜〜っと、つまり、?」
「そりゃ当然メンバーとして大事だし大好きなんだけど!それだけじゃなくて…なんか、ほかのメンバーとは違うすきっていうか……………ちょ、じんちゃん?!」
なんとか堰き止めていた涙は、勇斗の“すき”の言葉で溢れ出してしまった。
「うそ……………、ッ、おれ、も、、ッッおれも、すき、ッ、です、、」
「ほん…とに、?」
そう聞こえると同時に勇斗は俺をきつく抱き締めてくれた。
ああ、この全てが夢なんじゃないだろうか。
一生伝えないと想っていた気持ちをあっさりと、勢いだけで零してしまって、更に両想いで、大好きな人に抱き締められているなんて、ひとつも信じられない。
喜びを処理しきれず流れ続ける涙は、勇斗の服を濡らす。
「ねえじんちゃん、泣き止んでよ、っ、おれ、すきな人には泣いてほしくないよ」
勇斗も涙声のくせに。
「じんちゃん、言わなきゃいけないこと、あるから」
そう言って勇斗が視線を合わせてくれた瞬間、全身が心臓になったように心拍数が跳ね上がる。
「な、に……、?」
「じんちゃん、すきです。付き合ってください」
赤く染まった瞳が誠実に愛を伝えてくれて、訳分からないくらい涙が溢れてくる。
勇斗からの告白。
諦めるなんて頭では思いながらも、何度も何度も想像した。
想像して、胸が熱くなった。
でも実際はそんなものじゃなくて、ふと目が合っただけでもどうすればいいかわかんなくて、すぐに逸らしてた。
そんなに恋焦がれていた人が、俺に。
受け入れないわけがない。
「………ッッ、おねがいします、っ」
あーーーーーよかったねじんと(号泣)。
じんとか幸せならわたしもうれしいです。
笑っても怯えてもひねくれてもかわいい仁人くん、さのちんにとことん幸せにされてください。。
とりあえず一段落まで書けてよかったです!
超絶遅筆のわたしとは思えないペースで書いたのですが、もともと小論みたいな説明文が得意な人種なので、感情が溢れる表現は本当に難しかったです。
でもじんとを早く幸せにしてあげたい気持ちと、「とりあえず本数書いたら上手くなるだろ!」というポジティブシンキングでがんばりました。
このシリーズの続きも、新しいお話も、少しだけ頭の中にあるので、それもちゃんとかたちにしてみなさんの目に触れるところに連れて行ってあげたいです。
ぜひこれからも見守っていただけると幸いです💞