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<side昇>
「昇もホストなの?さっき名前?言ってたし」美晴に質問された。さっきまでの悲しそうな顔とは一変、少し気を使ったように喋り出した。
「うん。源氏名のことだよね。」
「いろいろあってさ、ホストしてるんだよねー」理由は言えないけど。
「そうなんだ。でも、私には甘くしたらダメだよ?そうやってつけ込まれたら、私弱いから。」少しゆっくりと喋った美晴。なんだか顔が紅潮していて、恥ずかしそうだ。
美晴を見た瞬間、ホストのみんなから歓声が上がった。なぜかって?可愛すぎたから。雪のような白い肌に、すこし丸めの大きな目、それに絹のような滑らかな髪が美晴のにこりと笑う表情によく合っている。
まさか、僕の妹になるなんて、思ってもいなかった。可愛いから、きっとアブナイ人に狙われるだろう。それに、つけ込まれたら弱いなんて、あんなに強そうな物言いだったのに。
だからこそ、僕たちは巡り合ったのかも。
昇はホストだから、十分注意しないと。でも、これから義兄妹になるんだから、きっと大丈夫。
「そういえば、もうすぐ学校だよね。」私がそう言った。
「そうだね。僕たち、どういう関係ってことにする?」すごく難しい。だって、もう高校2年生だし、なかなか誤魔化せない。それに、昇は顔がかっこいいけれど、私とは全く似ていないし。
「再婚した義兄弟ってことでいいんじゃない。面倒くさいしね。」私はそう言った。
「美晴がそれでいいならね。」昇はこんな感じで肯定してくれる。それは私にとって嬉しいことなのだ。そうしてくれたら、反抗なんて、しなくていいのだから。
そこから2時間ほど時間が過ぎた。私たちは雑談をして時間を潰していた。
「この後どうする?」昇が聞いてくれた。
「ここで2人で寝るのは無理じゃない?狭いし。」嫌なだけなんだけどね。それにタバコと香水の匂いが混ざって変な匂い。
「じゃあ寮くらいしか行くとこないな。」
「嫌だよ、男ばっかりでしょ?怖い。」
「まあ大丈夫だよ。ほら、行くよ。」
昇はそう言って私の手を引き、走り出した。
なぜか、前の暮らしよりも楽しいことが待ち受けていそうで、楽しみ。そんなふうに感じるなんて、よっぽどおかしくなっちゃんたんだなと実感。さっきまでの気分とは打って変わって、今はこれからが待ち遠しく思う。この数時間で何が変わったかなんて、分かんないけど。