【作者からのコメント】
300話が最終話やで
黄泉を支配した後、ラヂは新たな目的を持っていた。それは、失われた80億人の命を蘇らせること。だが、その復活は簡単なものではなかった。彼は、自らの死者蘇生術を駆使して、死者たちを一人一人よみがえらせていた。
ラヂ「すべてを戻す。死者たちは私の手の中で再生される。80億人…全て。」
ラヂが手を広げると、空に無数の光の粒子が集まり、彼の周りを取り囲む。その光は生命の息吹を宿し、死者たちの魂を引き寄せている。そして、彼の言葉に反応して、光の粒子が空間を切り裂き、死者たちを復活させるための儀式が始まった。
ラヂ「蘇れ、全ての命。死者よ、再び生を得よ。」
その言葉と共に、遠くから目を閉じた者、今はもう死んだ者が目を覚まし、そして新たに生き返る瞬間を迎える。人々は無意識のうちにラヂの命令に従い、恐れながらも復活していった。
ラヂはその様子を冷徹に見つめながらも、どこか満足そうに微笑んでいた。彼が掲げた死者蘇生術は、彼にとって単なる力の誇示ではなかった。復活させることで、彼は失われた世界を取り戻すと同時に、より大きな計画を果たそうとしていた。
一方、黄泉はラヂの行動に驚きと不安を覚えていた。彼女はすでにほぼ無敵の存在として君臨していたが、この死者蘇生術に関しては一歩遅れを取ったような気がしてならない。
黄泉「…まさか、全員を蘇らせるつもりなの?」
ラヂの術が進行する中、黄泉はその力に対して複雑な気持ちを抱えていた。彼女にとって、ラヂの再生能力は圧倒的なものだったが、それでも黄泉の意識には死者たちが蘇ることに対する不安が広がっていく。
黄泉「死者たちが蘇ることで、何が変わるというの?もう人類は必要ない。私の世界では、すべてが私の支配下で完結している。死者の復活など、ただの徒労にすぎない。」
だが、ラヂの目はすでにその先を見据えている。彼はただ人々を蘇らせているわけではない。彼の目的は、これから起こる壮大な戦いを有利に進めるための布石に過ぎなかった。
ラヂが目を閉じ、深い呼吸をする。その瞬間、彼の周りの光の粒子がさらに強くなり、死者たちの体が完全に蘇生する。だが、その復活した者たちの目には、もはや人間らしい感情は残っていなかった。彼らはすべてラヂの命令に従う、無垢な兵士となっていた。
ラヂ「この力があれば、私は黄泉に挑むことができる。復活した者たちの力を借りて、私はあの不死の存在を打倒する。そして、すべてを私の手中に収める。」
彼の計画は明確だった。80億人を蘇らせ、その中から従順な者を兵士として仕立て上げ、黄泉に対抗する。ラヂはただ支配を求めていたのではない。彼の目的は、すべての生命、すべての力を集めて黄泉という絶対的な存在を倒すことだった。
ラヂ「そして、黄泉を倒した後、この新たな世界を作り直す。自分だけの支配で、すべてを再編成する。それが私の目的だ。」
そのころ、景井と透はラヂの行動に気づき、彼のもとへ向かっていた。二人はそれぞれ異なる理由でラヂと対決を決意している。透は、自らの過去と向き合うため、景井は自分の信念に従うために、ラヂを討つ覚悟を決めていた。
透「ラヂが死者を蘇らせている…一体、どこまでやるつもりだ。」
景井「だが、それは単なる序章に過ぎない。ラヂの目指すものは、黄泉に対する挑戦だ。」
透「それを止めるには、俺たちも動かないといけない。」
二人は、ラヂの復活した軍勢を迎え撃つ準備を進める。だが、ラヂの死者蘇生術がもたらす衝撃は、すでに人類を大きく変えつつあった。