コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
(繰り返される朝)の夢を見るようになってからかれこれ1ヶ月経っただろうか。
「ふわぁぁぁ」と大きなあくびをしていた。
太輔である。
「もう1ヶ月くらい同じ夢を見てるなぁ。。」
今日も変わらぬ朝のルーティーンを始めようとしている所だ。
ただ1つ、1ヶ月前とは少し状況が違う。
夢を見始めてから1週間程経った頃、
太輔の部屋の窓に鳩が来るようになっていた。
太輔が住んでいる部屋は古い木造のアパートで、窓を開けると、手摺がついていて少しばかり物を置くことの出来るスペースがある。
そこにいつも淹れたてのコーヒーとチョコレートを持ち寄って朝の一時を過ごしている。
そこへ1羽の鳩が来るようになっていたのだ。
「おはよう、鳩さん。どうしたんだい?」
そんな風に声を掛けたらしい。
その日からその1羽の鳩は通うようになったみたいである。
「おや、今日もいらしたのかい。」
「あぁ、そうだ。一緒に朝ご飯でも食べるかい?」
と、声を掛けたまに買うパンを小さく丁寧に細かくしてあげていた。
「じゃあ、今日も行ってくるね。」
とアルバイトに行く日々が続いた。
ふと太輔はその事をアルバイトが終わった帰り道に思い返し、
アルバイトの無い日に鳩を待った。
そして、休みの日いつもと変わらぬルーティーンを始めようとしていた時だった。
(コン、コン)と音がする。窓からである。
太輔は窓を開けた。
「あら、鳩さん今日は早いね。」
そこでもう1言声を掛けた。
「少しお時間よろしいかな?」
と言って、
左手の人差し指と中指を立て太輔の口元へ当て、
右手の人差し指と中指を立て鳩の頭に当て、
ボソボソと何かを唱えた。
これは安倍家に伝わるちからで、
ここでは【法力】とでも名前をつけておこう。
この【法力】には様々な能力がある。
それを太輔は試そうとしていた。
そして太輔はボソボソと何かを唱え終えた後、鳩に話しかけた。
「少しだけあなたの成りたい姿になれる、
私と同じ言葉も話せるはずだ。」
「さぁ、話してみて」と
1羽の鳩に声を掛けた。