TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「静粛に、これよりベストリア王国第二王子アーサー殿下とグローリー公爵家令嬢アメリア嬢の結婚式を始めます」


 アナウンス係のシスターがマイク型魔導具でアナウンスをすると、教会内のざわめきがぴたりとやみ一気に静寂が広がった。

 いよいよ結婚式が始まるのかと思うと、私も思わずドキドキとしていた。


「それでは、新郎であります、アーサー殿下が入場されます」


 アナウンスと共に大教会の扉がギギギと音を立てながら開き、豪華な刺繍が施された王家の服を着たアーサー様が入場してきた。

 髪もビシッと決めていて、いつもの豪快な姿ではなくかなり緊張した面持ちだった。

 前世の結婚式だったら新郎の友人が緊張しているぞと新郎をはやし立てることが度々あったが、今日は相手が王国の王子様なので誰も茶化す事はなかった。

 マリア様も兄の姿にちょっと苦笑していたが、声をかけることはなかった。

 この場で唯一アーサー様に声をかける可能性のあるニース様は、フラワーボーイの役目があるので叔父をからかう様な事もなかった。

 そして、アーサー様が尚も緊張した面持ちで枢機卿の前に立った。

 この国の隣に教会を取りまとめる国があり、王国ではあくまでも枢機卿が一番上の立場だった。

 その白髪交じりの初老の枢機卿も、豪華な司祭服を身にまとっていた。


「お待たせいたしました、これより新婦の入場となります。皆様、盛大な拍手でお迎え下さいませ」


 ギギギギ。


 再び大教会の扉が開くと、純白のウェディングドレスを身にまとい細かなレースの刺繍が施されたヴェールを身にまとったアメリアさんと、質の良い貴族服を来たグローリー公爵が頭を下げてから入場してきた。

 そして、たくさんの拍手が起こる中、ニコニコとしたニース様がスラちゃんを頭の上に乗せたシルバと共にアメリアさんとグローリー公爵を先導しながら入ってきた。

 ニース様の手にはカゴが握られていて、小さな手で一生懸命花びらを宙へ投げていた。

 スラちゃんが風魔法を使って良い感じに花びらを舞わせているので、中々幻想的な風景になっていた。

 そんな美しい光景の中を、アメリアさんとグローリー公爵はゆっくりとバージンロードを歩いていた。

 アメリアさんは背も高いしとてもスタイルが良いので、ウェディングドレスがとても綺麗に見えた。

 仮に私がウェディングドレスを着ても、アメリアさんみたいにはならないだろう。

 そして、アーサー様がバージンロードの中ほどでアメリアさんとグローリー公爵を待っていた。

 アーサー様とグローリー公爵はお互いに言葉を交わし、がっちりと握手を交わした。

 そしてアーサー様は、グローリー公爵からアメリアさんを受け取り、二人で祭壇に向けて歩き始めた。


「終わったよー」

「ウォン!」

「ええ、よく頑張ったわね」


 その間にニース様は王家の席に到着し、王太子妃様に頭を撫でて貰っていた。

 シルバも良く付き添っていたし、スラちゃんももはやスライムとは思えない程の気の利いた演出を行っていた。

 私が二匹を褒めていると、ちょうどアーサー様とアメリア様が祭壇の前に到着した。

 一斉に拍手がやみ、教会内は再び静粛に包まれた。


「静粛に。これより、神に新しい夫婦が誕生する事を報告する」


 枢機卿が結婚式の始まりを告げると、この場にいる全員が姿勢を正した。

 特に、アーサー様とアメリア様はかなり真剣な表情をしていた。


「汝、アーサー・ベストリアはアメリア・グローリーを妻とし、終生愛する事を誓いますか?」

「誓います」

「汝、アメリア・グローリーはアーサー・ベストリアを夫とし、終生愛する事を誓いますか?」

「誓います」

「それでは、互いに指輪の交換を」


 結婚式は淡々と進み、宣誓の後に互いの指に結婚指輪をはめていた。

 この世界でも、結婚式のやり方は前世のものと大差ないんだ。

 結婚指輪をはめた二人は、再び枢機卿の前で姿勢を正した。


「それでは、誓いの口づけを」


 枢機卿の合図で、アーサー様とアメリアさんは再び向かい合った。

 そして、アーサー様がアメリアさんのヴェールを頭の後ろに流し、一瞬見つめ合ったのち互いの肩に手を置いて誓いの口づけをした。


「おお、いま一組の夫婦が誕生した。盛大な拍手でお見送りを」


 アーサー様とアメリアさんは、観客席に一礼してから腕を組んでゆっくりとバージンロードを歩き始めた。

 教会内の来賓からは盛大な拍手が起きていて、王妃様とグローリー公爵夫人は夫婦となった二人を見ながらハンカチで目尻を押さえていた。

 私もアメリアさんの幸せそうな表情に思わず涙を零していたけど、二人に精一杯拍手を送っていた。

 幼馴染同士で互いに結婚間違いないと言われていたのに、アメリアさんは貴族令嬢の邪魔を受けていた。

 そんな障害を乗り越えての結婚なのだから、二人にも思うところがあるのかもしれない。


「ウォン、ウォン!」


 シルバも嬉しそうに尻尾をぶんぶんと振っていて、スラちゃんもニース様と一緒に一生懸命に拍手を送っていた。

 こうして、アーサー様とアメリアさんは無事に夫婦になることができたのだった。

転生治癒師の恋物語 〜聖女様と王子様の仲を取り持ったら、別の王子様に気に入られました〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

22

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚