コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「俺、…に会えて本当に良かった。」
柔らかな昼下がり、誰かにそう言われた夢を見た。曖昧だが夢の中のその子は笑っていて、俺の手を引いて走っていた気がする。大切で、唯一無二で、俺にとって特別な人。それだけは分かるのに記憶に霧が掛かっていて、もっと思い出そうとすればするほど深い暗闇に沈んでいく。その言葉を思い出すだけで胸が締め付けられ、もうどうしようも出来なくなる。段々と消えてゆくその子を引き留めようと一心不乱に足掻いた所で夢は途切れた気がするが、その後の記憶は定かでない。カーテンから差し込む光と囂しい蝉の声で、今朝も嗚咽とともに目を覚ます。
「あっちぃ…」