──────いえもん視点──────
1度死んでいる。その言葉は俺たちに衝撃を与えた。
俺はその言葉の意味を、理解することができなかった。死んでいる。死んでいるのに目の前にいる──────ならば幽霊?でもそしたら俺に噛み付く事は出来ない。しかし、他の案も思いつかない。なら、どういう。そもそも1度、とはどういう意味で言ったのだろうか?疑問が脳内を埋める。
その真実を話すかのようにめめさんは語り出す。
「ぜんさんは悪魔と契約してたんですよ。ベルゼブブっていう暴食の悪魔と。」
「え?ぽれが?そんな記憶ありませんよ?そもそも悪魔と契約したという証拠もないし、そしたらどこにいるのという話ですけど。それ以前にぽれの記憶が欠けてる可能性もあるから。それを考慮しても──────」
ぜんさんは半パニックと言った感じで早口に饒舌に話し始める。しかし、言っていることは支離滅裂で自分でも何を言っているか分からないのだろう。両手で頭を抱え、耳を塞ぎながらそれでもなお、口を動かし、自身の感情を饒舌に話す。
「1度死んでいるんでしょう?なら殺せば治るんじゃないかしら?」
相変わらず物騒な意見を言う菓子さん。菓子さんはそう言いながらギロチン台を設置し終えていた。キラリと刃が光る。…菓子さんの冗談のような言葉は基本的冗談ではない。そもそも、簡単に処刑器具を出さないで欲しい。
「菓子さん、それとこれとは別です。ぜんさんの肉体はもう戻ることはありませんから。」
「え…?それってどういう?」
めめさんがバッサリ言い切る。それに対して、先程まで饒舌に話していたぜんさんの動きが止まる。そして、めめさんに聞き直す。
「ぜんさん、その肉体、既に死んでいるんですよ。それに魂が入っているイメージです。」
「?それなら普通に生きてるのと変わらないんじゃ?」
ぜんさんがそう聞き返す。めめさんはため息混じりに「わかっていませんねぇ…」と呆れながら情報を保管していく。
「体が死んでいる。つまり血が流れてないんですよ。筋肉も動かない、臓器も動かない、骨すらも動かない。つまり、本当は動けてないんですよ。」
「え!?じゃあなんでぽれ動けてるの!?」
「話は最後まで聞いてください。殴りますよ?」
「もう再生しないのに!?」
シリアスな話をしているはずなのに、何故か和んでいる雰囲気に俺はついていけなくなる。もはや漫才を見ている気分だった。しかし、内容が笑えない。
「ぜんさんの肉体は悪魔のおかげで衰えなくはなっています。しかし、骨や、筋肉を動かすために命…つまり生命力が必要って訳です。」
「なるほど?その生命力を得る方法は?」
ぜんさんがふむふむ、と納得した様子でめめさんに聞き返す。めめさんは少し躊躇ったあと、意を決したように話し始める。
「人間の生命力…ですねぇ」
「ふむふむ、人間…人間の!?」
ぜんさんがそのまま屋根を突き破るのではないか、とひやひやするほどの勢いで飛び跳ねる。そこまで驚く必要があるのだろうか。人間なんて俺以外にも腐るほどいるのに。しかし、菓子さんが気まずそうに
「…人間、絶滅させちゃったわね…」
と言う。その瞬間、俺はことの大きさを知る。つまり、俺が、俺こそが──────
「いえもんさんが死んだ場合、ぜんさんも同じく死にますね!」
めめさんが満面の笑みで言う。しかし、そんなことではぜんさんは納得する訳もなく、理不尽を主張する。
「嘘でしょぉぉぉ!?人間…人間じゃないとダメなんですか!?」
「ダメですね〜残念ながら」
「ニヤニヤしながら言わないでくださいよ!?うわぁぁん!!なんで人間絶滅しちゃったんですかぁぁぁ!?」
「私達が殺したからですね〜」
「そんなサラッと言わないでくださいよ!?こんなことになるなら人間保護したのに…!!」
慌てるぜんさんと笑うめめさん。正反対の構図にカオスな展開が起こりつつある。さっきまでのシリアスを返せ、ともいえず。危機感無さすぎるだろ、ともいえなかった。そもそも、これ、俺圧倒的に被害者な気がする。うん、理不尽は俺にも降りかかるらしい。
「そもそも!なんで人間じゃないといけないんですか!?」
「あなたは元々人間程度しか狩れなかったから悪魔なりの優しさですよ。それに人間美味しいですし。」
「その悪魔さん…!!助けてくれてありがとう…!!だけど状況を考えてよ〜ッ!!」
「あ、ちなみにぜんさん?」
「なんですか!?ぽれの慌てる姿が滑稽とか言いたいんですか!?どうぞ哀れんでくださいよ!!」
「ぜんさん、違います。いえもんさんの生命力吸いすぎるといえもんさん死にます。」
「のぉぉおぉぉ!!!!???」
「でも、ぜんさん1週間以内にまた吸わないとぜんさんの肉体が死にます」
「どうしろっていうんですかぁ!?」
「なので、いえもんさんに生命力つけさせてあげてくださいねw」
「…え、俺が生命力あげないといけないんですか?」
静かに傍観していたら何やら俺にも関係があるらしい。ぜんさんの方に目をやれば既に両目に大粒の涙をためて懇願してくる。
「協力してください…!!」
面倒くさそうになる予感がする。
ここで切ります!昨日は投稿休んでしまってすみません。小テストがありまして…今日は提出物があるので頑張ります!!
それでは!おつはる!
コメント
4件
大変なのにそんな感じ一切しないねぇ
のぉぉが好きすぎるw 大変になったね…