太陽の光で目が覚める。起きようとするが、抱きつかれていることに気づく。見てみるとアイスランドが僕を抱きしめて寝ていた。よく寝ているのでそのままにしておきたいが、帰る準備をしなければいけないので起こす。
「アイスランドさん、起きてください」
「…ん、まだ寝る」
「アイスランドさん、起きてください」
「もう…わかったよ」
アイスランドは渋々目を開けたが、こちらを見て固まってしまった。
「なんで、なんで僕がレイリに抱きついてんの…?」
そう言って僕から距離を取った。
「昨日のこと覚えてないのですか?」
「昨日って…」
アイスランドは思い出したのか、顔を真っ赤にして布団に潜ってしまった。何か言っているようだが、声がこもって聞こえない。
「なんですか?聞こえないです」
「忘れてって言ってるの!」
ガバっといきなり布団から顔を出し、大きな声で言う。すねているのか、頬を膨らませてそっぽを向いた。
「わかりましたよ、忘れます」
「絶対忘れてよ」
「もちろんです」
さあ、ごはんを作ろう。作るといっても、昨日のスープを温めるだけだけど。
「散歩に行ってくる」
「いってらっしゃい」
朝に散歩に行くなんて健康的だな。でもスープが温まるまでに帰ってくれるのだろうか。
「ただいま、パン貰ってきた」
「おかえりなさい、ちょうどいいですかスープと一緒に食べましょうよ」
帰ってきたようだ。ちゃっかりパンまでもらってきて、誰からもらってきたのか…
渡されたパンを切り、皿に盛り付ける。スープも皿に移し、テーブルへ持っていく。
「どうぞ」
「ありがと…いただきます」
「いただきます」
無言で食べ進めいていく。帰る方法、どうしよっかな。船に乗ればいいけど、そこまでの道がわかんないし。
「ねえ…」
「なんですか?」
「港までの道わからないって言ってたよね」
「はい、そうですが…」
「よかったら、送ってくけど」
「本当ですか!ありがとうございます」
「別に、用事のついでだから」
よかった、港まではなんとか行けそうだ。
「荷物持った?」
「はい、持ちました」
「じゃ、行くよ」
居たのは1日だけだけど、離れるとなると少し寂しいな。
「なにぼさっとしてんの、早く行くよ」
「あ、おいてかないでください」
おいていかれそうになったので、急いで追いかける。そのまま真っすぐ進んでいく。
10分くらいそのまま歩くと、人が見えてきた。目を凝らすと海が見える。そろそろつくのか。
「ほら、このへんでいいでしょ」
「ありがとうございます、アイスランドさん」
「ん…アイスランドさんじゃなくていいよ、長いし」
最後らへんは声が小さくなって聞きづらかったが、さん付けじゃなくていいと許可をもらえたのかな。でもアイスランドでも長いしな、なににするか。
「そうですか、ではまた今度会いましょう。アイラ」
アイラは少しびっくりした顔をしていたが言った。
「また今度ね、レイ」