ダウトゲーム。
輪になった参加者によく切ったカードを同数配る。
そして①から順番に中央に裏返しで出していく。
その際に自分の順番に指定されたカードがなければ、嘘のカードを出してもいい。
またはそのカードを持っていたとしても別のカードを嘘をついて出してもいい。
ただし嘘のカードを出したことを他の参加者に「ダウト!」というコールと共に指摘された際は、その時点で中央に溜まっているカードを全て引き取らなければならない。
もしその「ダウト!」が間違っていれば、指摘者にカードは全て引き取らせることができる。
ダウト直後は、次の番号からゲーム再開となる。
手札が無くなった人の勝ち。その時点での残った枚数の少ない人から順位が決まる。
簡単なゲーム説明の後、アリスはこう付け足した。
「『同じ番号のカードは重ねていい』や、『バレなければカードは重ねて出してもいい』などの派生ルールも存在するようですが、ここではナシにしましょう。いいですね」
言い終わると、彼はトランプを手にし、目に負えない速さで切り出した。
そして皆にぐるっと手を翳すと、いつの間にかカードは9枚ずつ参加者に配られた。
「―――なんでお前も参加するんだ……?」
花崎がアリスを睨むと、彼はにっこりと笑った。
「え、だって見てるだけなんて寂しいじゃないですか。混ぜてくださいよ。大丈夫、勝ちませんから」
そう言いながら早くも手札を確認している。
「――――」
美穂はアリスを見つめた。
そして視線だけ皆の手元に走らせた。
一人9枚ずつ。
つまりトランプは54枚。
数字のカードは13×4=52枚だ。
やはり。
ジョーカーが入っている。それも2枚。
ルール説明の中でジョーカーのことは触れなかった。
だが多くの場合、ジョーカーはどの数字の時に使ってもいいオールマイティカードだ。
これが入ることで本来、計算と推理で大体読めるゲームが一気にわからなくなる。
美穂はゆっくり自分の手札を手に取った。
――――あった。
1枚は美穂のところに来た。
もう1枚は――――。
おそらく持っている本人が教えてくれる。
「……あの。聞いてもいいか」
「いいですよ」
アリスが自分の手札を掌の中で並び変えながら言う。
「ジョーカーはこの場合どうなるんだ?」
顔を上げたのは――――花崎だった。
「ああ、説明し忘れましたね。ジョーカーは万能カードです。いつ出しても構いません。ただ、ジョーカーで上がりだけはナシです。最後の2枚になるまでに必ずどこかで使い切ってください」
「ーーーなるほど」
花崎が小さく息をつく。
これでみんな花崎がジョーカーを持っていることは分かった。
そしてもう1枚を誰が持っているかはいまだにわからない。
美穂を覗いては――――。
美穂は自分のカードを改めて見つめた。
③、④、④、⑥、⑦、⑨、⑩、Q、そしてジョーカー。
―――やった。被っているカードがある。
「それでは僕から初めて時計回りで。いいですね」
アリスはトントンと手元のカードを揃えて言った。
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