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キャバ嬢。その仕事は馬鹿にされることが多い。
ーキャバ嬢?やめときなよ。
ーキャバ嬢!下品よ!今すぐやめなさい!
「麗さん指名で。」
「かしこまりました。」
待合室に向かう足音が聞こえる。
「麗。指名だ。」
「はーい」
私のキャバでの名前は麗(れい)だ。
客席に向かうと1人顔がタイプの男の人がいた。
そしてなんと私が今から接客するのはこの男の人だった。
「君が麗ちゃん?」
「はい!ご指名ありがとうございます!」
「写真よりも可愛いね。」
「照れるな〜。ありがとう!」
「あ、好きなお酒ってある?頼もっか。 なんでもいいよ!」
私はお酒についてあまり詳しくない。
もちろん味も名前もよく分からない。
「決められなそうならこの店で1番高いの。頼んじゃおうかな!」
男の人が言った。
「えー!いいんですか?」
「うん。No.1にしてあげる。」
No.1?私は1番底辺なキャバ嬢だというのに。
私をNo.1にするには 3000万以上必要だ。
本当に払えるというのだろうか?しかも今初めて出会ったばかりだ。
何時間経ったのだろうか。
そろそろ話が尽きて来たな。
「あのさ。麗ちゃんってアフターいける?」
男が聞いて来た。
私はアフターOKで、なんならホテルも可能なのだ。
「うん!アフターいける。」
目が覚めるとホテルだった。
涼介さんはまだ寝ているみたいだ。
昨日接客中に名前を尋ねると、四宮涼介(しのみや りょうすけ)らしい。
涼介さんが寝ている間に帰ろうと思った時、涼介さんが目を覚ました。
「もう行っちゃうの?」
「うん。そろそろ帰らないと親に怒られちゃう。」
「実家暮らしなの?」
「そう。実家でお母さん、お父さん、妹で暮らしてる。お兄ちゃんは今東京いるんだ。」
「へー。人数多いんだね。」
「うん。すごいよね。それじゃあ。またお店きてね。」
「もちろん行くよ。またね。」
そう言ってホテルを出た。
何時間かたち、私は仕事に向かった。
「よろしくお願いします」
「はい。よろしく。昨日の人。また来てるからドレス着替えて来て。」
また来てたんだ。約束守ってくれるとやっぱり嬉しいな。
私はドレスに着替え、涼介さんについた。
「また来たよ。今日も1番高いヤツね。」
「ありがとうございます。本当感謝しかないです。」
「いいんだよ。麗ちゃんをNo.1にしたいっていう俺の願いってだけだから。」
やっぱり優しいな。少しロマンチストだなとは思うけど。
そしてしばらく客と店員という関係でいたが、私たちは親友になっていた。
「涼介!No.1。なれたよ!」
「まじか。おめでとう!今日終電やばいし俺ん家泊まる?」
「うん!そうするね。」
「わかった。部屋散らかってるけど。」
「いつもそうでしょ。」
「はいはい。」
こうしてたわいもない会話を続けることができると思っていた。
「梨恵!めでたい話だ!!」
私の本名は松本梨恵(りえ)
「なになに?」
「俺さ。彼女できた。」
「え?」
私は密かに涼介に恋をしていたのかもしれない。
泊まるときは手を出してこなかった。
お金をいっぱい貢いでくれた。
…あれ
私が涼介といたのはお金を貢いでくれたから?
私の金ズルだったの?
なんで私は今。
涼介の顔がお金にしか見えないの?
「おい。梨恵?」
「あ、ごめん。おめでとう。」
「お前も早く作れよー?」
「分かってるって!!!!!」
私は感極まって強く言ってしまった。
「おい。どうしたんだよ。」
「もういい。私は涼介のこと金としか見てなかった。涼介と一緒にいる時は楽しかったけど結局私にとっての涼介は金ズルだったの!彼女できちゃったんだから絶縁しよう。彼女さんだってこんな私が涼介と友達だって知ったら嫉妬しちゃう。」
あーあ。
思ってないこと言っちゃって。
私って可愛くないな。
本当は大好き。だから今、涼介の彼女に嫉妬して。涼介に八つ当たりしちゃって。
私。クズだな。
「そうだったんだ。梨恵がそうしたいなら。さようなら。」
待って。行かないで。本当は好き。好きなの。待って。お願い。
本当は言い返して私の意識を戻して欲しかった。だけど。
もう私たちは何も関わりがないんだな。
涼介。さようなら。
第2章へ続く