ヒョウたちは、ずっと、まるで龍のようにうねってぐねって争いました。
ただ、一匹だけほぼ誰とも争わない子がいました。長女のハウメアです。縄張り争いで、両方のヒョウが死んでしまった場合、その縄張りを奪って誰とも争わず、縄張りをちゃくちゃくと手に入れていました。
こうして瞬く間に時間は過ぎていき、姉妹は逐電、または命を散らし、唯一、残ったのは、長女のハウメアだけでした。ハウメアは一度、メイカと数時間に渡る争いを繰り広げ、尻尾の先と歯を一本、失いました。メイカは首に一発喰らい、驚いて猛ダッシュで逃亡。しばらく経ってまた姿を現しましたが首にできたその傷は後遺症となって残り、一生消えることはありませんでした。
ある日の早朝。輝く朝日がずうっと浮き上がってくる時刻に、長女、ハウメアは母、カルーの縄張りに一歩、踏み出しました。どこからか、風が吹いてきます。そしてハウメアのハッハッハッという息遣いだけでした。もう一歩、ハウメアは踏み出しました。
女王を失った縄張りは草食動物の王国へ変わり果てていました。
ハウメアは、空に向かって吠えました。
その声が、わずかにこだまします。草食動物たちが、はっと顔をあげます。カサカサと草がかき分けられる音がします。
もう、女王を失った縄張りではありません。カルーの跡継ぎとして、長女ハウメアが女王に君臨したのです。
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ひさしぶり~