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世界総人口の約8割が特異体質【個性】を持って生まれる超人社会。
そんな中でわたしは《 人形 》という個性を持って生まれた優良児。
自分の指先から出る糸と敵を繋ぎ、そのまま人形のように操れるというものだ。
案外人生は楽勝で、この個性と生まれ持ったそこそこの知能からあの名門、雄英高校ヒーロー科に入学することができたのだった。
「1年A組…1年A組…」
記憶が正しければここであっている。まあわたしが間違えるはずないのでここであっているだろう。
「お願いシマー…」
「机に足をかけるな!!!!!」
びくっ!!!と大きく体が動く。
…びっっくりしたぁ、何事だよ。
どうやらマジメくんとヤンキーが言い争ってるみたいだ。
…全く。入学早々、よくやるよなぁ。
わたしは1人で穏便に過ごしたいんだ。争い事は好ましくない。周りがワイワイ楽しんで雑談をしている。それを遮るように聞こえた声。
「友達ごっこしたいなら他所へ行け」
その声が聞こえると、みんなが一斉に振り向く。緑頭の子が絡まれていた。
「早速これ着て校庭へ来い。」
わたしは大人しくそれに従った。
『体力調査テストぉ?!』
みんなが驚いて声を上げる。
見本で選抜されたのはつんつん頭の爆発個性、爆豪勝己。
「しねェ!!!!!!!!!」
“しね……??”
まるでヒーロー科志望とは思えないような叫び声をあげてボールを投げた。
結果は705.2m
周りはドン引きながらもその結果に認めざるを得なくなった。
「これで最下位になったら除籍処分」
その言葉を聞いてしまったら頑張るしかない。やる気は無かったが、不安はあった。
第1種目︰50m走
7.06
人並みの記録だった。
第2種目︰握力
30.5
第3種目︰立ち幅跳び
順繰り順繰り順番は回ってくる。いよいよ私の番になった。このままじゃまずい。わたしが除籍処分になってしまう。
だが、個性を使った体力テストなんてしたことが無い。どうしたら最大限私の個性の良さを引き出すことが出来るのだろうか。
…糸を出すことが出来る、その糸を操ることも出来る。
そうだ!!前の木に糸を絡ませて…
こうする!!!!!!
絡ませた糸をそのまま引っ張る。腕力はそこそこ自信があるのだ。
「きっ、記録っ!!!」
「98.74m」
もしかしたら私
プルスウルトラ、出来ているかもしれない!!
「…因みに除籍はウソな。」
え。何それ酷すぎる!!教師のやることじゃないよ。
…まあいいや、とりあえず順位順番っと。
__13位かぁ。
かえるさんと同点。これから学ぶことが多すぎるなぁ、この学校。
1日が終わり、下校時間。
ひとりで大人しく帰る。わたしはこの時間が1日で1番すきだ。
「今日帰ったらなにしようかな、まずは今日学んだことをノートにまとめないと…」
学校が楽しいなんて思えたの、これが初めてかもしれない。
2日目。いつも通りの登校。
「今日はァ!!!!戦闘訓練だァ!!!」
オールマイトのその声にみんなの背筋がピンと伸びる。
「…たのしそ〜じゃん。」
わたしは小さくそう呟いた。
_ヒーローコスチューム、ちゃんと要望しておいて良かったぁ!!
人形の個性だからドールっぽい衣装をちゃんとかいたんだよね…懐かしい!!
みんなの衣装もかっこいいな、
あたりを見渡せば大人っぽい衣装の人ばっかり。
なんだかわたしだけ取り残されてるみたい…。ま、実力見せればいいだけね。
くじ引きでチームを決めるらしい。
いい人であってくれと心底願った。
「jチーム!!切島鋭児郎!!瀬呂範太!!○○!!」
わたしだ!!
相手チームはかえるさんと烏くんね。
問題なしかな。
「○○っ!よろしくなァっ!!」
「なかよくやろーぜ。」
漢気くんとぺた髪くんか。気さくで優しい人そう…。よかった。
「はい、よろしくお願いします。」
わたしたちは握手を交わし、それぞれの場所についた。
ジジジっ……
《あー、あー、聞こえる?》
「ペタ髪さん、!きこえます!」
《ペタ髪さんて。…○○さんは蛙水サンって子足止めさえしてくれればいいから。戦闘不能にしちゃってもいいよ。》
呆れたようにペタ髪さんは述べた。
「はじめからそのつもりです。」
そう言うとくすっ、と控えめな笑い声が聞こえ、頼りにしてるよ。とだけ聞こえ通信は途切れた。
「ケロケロっ、常闇ちゃん、行くわよ。」
「嗚呼、勿論だ。」
声が聞こえてくる。まずは烏くんだ。
しゅんっと糸をのばし、相手に巻き付け、外へ投げる。縛り付けたままなので恐らく当分は動けないだろう。
「常闇ちゃん!!」
舌をのばし、常闇を救いあげようとした瞬間。
「捕まえたっ!」
伸ばした舌に向かって糸を伸ばした。ぎゅううっと締めつければ舌なんて簡単に切れる。
「あ゛あっー!!!」
悲鳴をあげ、再度立ち向かってくるかえるさん。
「痛いのに、しんどいね。かえるさん。
__今終わらせてあげるからね。」
糸を相手の体中に巻き付け、それぞれの糸をひと束にして床に叩きつける。
ごんッ!!!!!!!
鈍い音がして、笛の音が鳴り響いた。
「ヒーローチーム、戦闘不能!!ヴィランチームの勝ち!!!!!」
やりすぎてしまったかな、なんて。