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「ケンスケさん…有難う御座います…!」
「ケンスケ、有難うな!」
二人共…
エストとイアン。
今は表情が明るい。
「人助けは当たり前だ!それで、俺は何をすれば良い?」
まずは何をするのか…
簡単な事だったら良いが…
「まずは、プネウマの主…アナトリー様とお話をするんです…が、まだこの世界に慣れていない状況から急に話をするのは色々と大変でしょう。」
確かに…
俺は此処に来てからまだ数十分だ。
「ですので、アナトリー様の所に行く前に、この屋敷を方を全てご紹介致します。 」
「お、探検か!?行こうぜ行こうぜ!」
イアンが背中をバンバン叩いて来た。
「ちょ、痛ぇって!行くから!」
イアン…
相当力が強いんだろう、背中がヒリヒリする。
「もう…イアンくん。貴方は力が強いんですから、そんなに強く叩いたらケンスケさんが困ってしまいますよ。」
「お、そっかそっか!ごめんなケンスケ!」
イアンは俺に手を合わせて謝った。
もう警戒は解けたのか…?
そんな事を思いながら、俺は彼等についていった。
「まずは…そうですね、皆さんを集合させましょう。」
「要は集めるって事だな!なら、一人ずつ回収してこうぜ! 」
イアンはその場所に心当たりがあるのか、どんどん進んで行く。
「ちょ、ちょっと待てよ!イアン!」
俺とエストは一生懸命彼についていった。
「ここだ!」
イアンがある部屋の前で止まった。
「ここは…ああ、カミルさんですか。」
「おう!カミルはどうせ此処に居るからな!」
カミル…
どんな人だろう?
イアンがノックもせず扉を開ける。
「くっふふ…さぁ、もう少しで完成だよ…待っていておくれ…」
中には、白髪の男性が居た。
何をしているんだ…?
「おい!カミル!」
「うん…?ああ、イアンちゃん。どうしたのかな?」
「聞いて驚け、テオイが来たぞ!」
「テオイ…人間の子か。話は聞いているよ。」
ん…?
話は聞いている…?
「話?何の話だよ?」
「そのテオイの子の話さ。おやおや?もしかしてエストちゃん…話してないの?」
カミルが嫌らしそうな笑みを浮かべる。
「は!?おいエスト!どういう事だよ! 」
「す、すみません…だってイアンくん、私の話を聞かずにケンスケさんの部屋に行ってしまうものですから…ですが、もう彼が人間だと言う事は話をつけてあります。 」
「くっふふ、そう。なら良いんだ。所で…ケンスケ、と言うのかな?良い名前じゃないか。」
カミルが俺をちらっと見る。
「ああ、俺は會田賢介だ。君は…カミル、だよな?」
「うん、正解だよ。」
カミルは微笑む。
「所で、何作ってたんだ?」
イアンがカミルの部屋に入ろうとした瞬間…
「足元に気をつけて。」
「え?」
イアンの足が止まった。
カミルは楽しそうな表情をしている。
「今は部屋が散らかっているからね…私でも、今何処に何があるのか分からないんだ。もしかしたら、足元に硫酸が転がっていて…気づいたら足が溶け始めていたかも…なんてね♪」
楽しそうにそれを言ってのけるカミルに、俺達は背筋が凍った。
「そ、それを先に言えよ!」
急いでイアンが足を引っ込めた。
「はぁ…相変わらずですね、カミルさん。」
エストが焦るイアンを横目に、呆れた様子でカミルを見守る。
「くっふふ、ごめんごめん♪」
「私達は他の方々にもお声をかけて来ますので、後でホールに集合して頂けますか? 」
「うん、了解したよ。」
カミルは頷いた。
「くれぐれも…お部屋を片してから来て下さいね?この前の様に、棚に薬品を乱雑に詰め込まない事。宜しいですか?」
「う、うーん…なるべく頑張るよ。」
「ふふ、ではお願いしますね。」
苦笑いをしたカミルを気にしない様に、エストはそっと部屋の扉を閉めた。
「…カミル、大丈夫なのか?」
「うーん…本当は心配ですけどね…まあ、彼を信じましょう。」
俺の質問にそう答えると、エストは歩き出した。
「次は誰の所に行くんだ?」
エストの隣を歩いていたイアンが、彼に聞く。
「うーん…次に近いのは…クルアくんのお部屋ですかね?」
「げ…クルアか…」
イアンが『クルア』と言う名前を聞いて、嫌そうな顔をする。
「クルア…って、どんな人なんだ?」
俺は気になって聞いてみた。
「あー…」
言葉が出て来ないのだろうか?
イアンが言葉に詰まっていると、エストが言った。
「ふふ、会ってみたら分かりますよ。」
エストは微笑んだ。
「そ、そうだな!会ってみりゃ分かる!」
イアンが慌てて言う。
「そ、そうか…なら次はクルアの部屋に行くか。」
俺がそう言うと…
「了解しました。ご案内致しますね。」
エストはそのクルアと言う人の部屋に向かった。
俺とイアンはその後をついて行った。
「此処です。」
エストがある部屋の前で止まった。
「クルアくん、いらっしゃいますか?」
エストがその部屋をノックする。
「あっ、は〜い!」
中から声が聞こえてきた。
扉が開くと、桃髪をした男性…
いや、女性か…?
「ん?その人、だぁれ?」
クルアは俺の事を指さして来た。
「こら、クルアくん。お客様に指をさしてはいけません。この方は、テオイの…アイダケンスケさんです。ご挨拶をお願いします。」
「へーえ!テオイの子かぁ!えっへへ、宜敷ね、ケンスケ!ボクはクルア!」
な、何と言うか…
元気な子だな…
「お、おう…宜敷な、クルア。」
「うんうん!此方こそだよ〜! 」
「それで、クルアくんは何をしていたんですか?」
「えーっとねぇ、綺麗な貝殻を見てたの!皆も見る?」
綺麗な貝殻…か。
「ふふ、気になりますね。見させて貰っても宜しいでしょうか?」
「おい…もう他の奴等の所に行こうぜ?」
イアンがエストを止めた。
「あっ、イアンじゃん!やっほ〜!」
クルアがイアンを見て手を振る。
「よ、よぉ…」
イアンがぎこちなく手を振り返す。
イアン…どうしたんだ?
何となくだが、イアンはクルアの事が苦手なのだろうか。
「それでそれで、貝殻見るんだよね!ボクのお部屋にようこそ〜っ!」
クルアはまた自分の部屋に入っていった。
俺とエストは続いて中に入ったが、イアンは入りたく無さそうだ。
「イアン、来ないのか?」
「…だってよ、クルアの部屋ん中、甘ったるい匂いがして嫌なんだ…」
…確かに、何か香るな。
「あ、気づいた?えっへへ、今日はあま〜い香りのアロマを焚いてみたんだ!」
クルアがそう言うと、イアンが鼻をつまんだ。
「オレ、鼻が良いんだよ。だからクルアの部屋の匂いはオレにはキツイ…」
ああ、だから入って来なかったのか。
「なら、無理はしなくて良い。少ししてから出て来るから、此処で待っててくれないか?」
「ああ…分かった。」
イアンは頷いた。
俺等はイアンを後に、その綺麗な貝殻とやらを見にクルアに付いて行った。
「ふむ…その綺麗な貝殻とやらは?」
「じゃじゃ〜ん!これだよ!」
クルアは俺等に色とりどりの貝殻を見せてきた。
「へぇ…中々カラフルだな。」
「でしょでしょ!お気に入りは〜、やっぱりこのピンクの可愛いやつかな!」
クルアが桃色の貝殻を指さした。
まるで彼の髪の色にそっくりだ。
「ふふ、クルアくんの髪の色にそっくりです。」
「あ〜っ、本当だ!」
クルアはその貝殻を自分の頭に付けた。
「どうどう?良い感じ?」
「ええ、似合ってますよ。」
エストがそう言い、微笑んだ。
「さて…外でイアンも待ってる事だし、そろそろ行くか。 」
「ええ、そうですね。クルアくん、有難う御座いました。」
「え〜っ、もっと見ていけば良いのに〜。」
クルアが頬を膨らます。
「すみません、それはまた次の機会に…あ、そうでした、この後ホールに集まって頂けませんか?」
「ん?ホール?分かった!」
クルアはまた直ぐに笑顔になった。
…感情の動きが激しいな…
「それじゃあ、また後でな、クルア。」
「うん!まったね〜!」
俺は部屋の扉を閉めた。
「…やっと戻って来たか…」
そこではイアンが待っていた。
「ええ、お待たせしました。次の方を呼びに行きましょう。」
「そうだな…って、まだ居るのか?」
次…って事は、最後じゃないって事だよな。
ふぅ…
この館には一体何人が住んでいるんだ…
「ええ、まだいらっしゃいますよ。因みに…ふふ、いえ、何人居るのかは秘密にしておきましょう。 」
エストは意地悪そうに微笑んだ。
「はあ…意地が悪いな… 」
「おや、すみません。」
そう言う割には、まだ笑顔のままだ。
俺はそのエストを見るなり、くすっと笑ってしまった。
「おーい、そろそろ行こうぜ!」
イアンが退屈そうに此方を見つめている。
「ふふ、そうですね。次はどなたの所へ行きましょうか…」
「コスターなら馬小屋か…森にいんだろ!」
「ふむ…コスターさんですか。確かに、あの方なら高確率で其処に居ますね…では、次はコスターさんの所へ行きましょう。」
コスター、か…
今度はどんな人なんだろうか?
俺はそんな事を思いながら、彼等に付いて行った。
「んー…問題はどっちに居るか、だよなー…」
イアンが足を止めてそう言った。
「そうですね…では、手分けして探しましょうか?私は馬小屋を、イアンくんとケンスケさんは森周辺を探して来て下さい。 」
「ああ、分かった。」
コスター…
そんな自由気ままな人なのか?
「じゃあ早速行こうぜケンスケ!向かってる途中にまたどっか行かれちゃ困るからな! 」
「確かにな…よし、さっさと探そう!」
俺達はエストと別れ、屋敷の近くにある森の中に入った。
「はー!空気が美味しいな!」
俺は思いっきり深呼吸をした。
なんせ、向こうでは残業ばかりで新鮮な空気なんて吸えなかったからな!
今は思いっきり吸っとこう…
「おいおい、ケンスケ!此方に来たからには、新鮮な空気なんて嫌な程吸う事になるぞ? 」
なんて事をイアンが笑いながら言った。
確かに…
こんな近くに森があるんならな。
「でも本当に…自然が綺麗だ。」
「あっはは!だろ?スキア自慢の森なんだ!此処ら辺は何時もコスターが整備してくれてる。森の生き物達が暮らしやすい様にってな!」
へえ、森の生き物達を…
随分と優しいんだな。
「普段なら此処ら辺に居る筈なんだが…お、いたいた!おーいコスター!」
イアンがある方向を見て手を振る。
その方向を見てみると…
森の生き物達…
リスや鳥や兎に囲まれ、大木にもたれ掛かって寝ている金髪の男性が居た。
「うわ…相当仲が良いのか…?始めて見た…」
「あっはは、初めてコスターを見たらそうなるよな。オレも最初コスターを見た時は驚いたぜ。肩に鳥が乗ってんだからな!」
肩に鳥…
アニマルトレーナーとか其処ら辺の人なのか?
「ん…んん…何…」
「お、起きたなコスター!」
コスターは目を擦りながらゆっくり起き上がった。
「イアンか…どうしたの?」
「テオイが来たんだ!名前はアイダケンスケっつーんだぜ!」
「どうも。俺が會田賢介だ。」
「へぇ、テオイの…俺はコスター。」
…なんだか、興味無さそうだな…
睡眠を邪魔されたら誰だってそうなる…のか…?
「ごめんなケンスケ…こいつ、何時もこんな奴なんだ。」
「ちょっと…こんな奴って何?」
イアン…
最初はエストに対してそんな態度なのかと思っていたが、結構皆に対してこんな感じなんだな…
「あ、そうだ。エストから、後でホールに来て欲しいってよ。」
「うん、分かった。」
「んぉ、それを伝えに来てたんだったな…すっかり忘れてたぜ…よっし、じゃあ行こうぜケンスケ!」
「ああ、そうだな。コスター、また後で!」
イアンと俺はそう言ってその場を離れた。
館に戻ると、裏口付近にエストが見える。
「おーい、エストー!」
俺は大声を出して、軽く手を振った。
「おや、随分とお早めですね。」
「ああ、直ぐ見つかったからな!」
イアンが自慢気にそう言う。
「それは珍しい…彼、普段は数十分探してようやく見つかるのが何時ものルーティンなんですが…」
「いや、どんだけ遠くに行ってるんだよ…」
俺は呆れて顔を引きつらせた。
「んじゃ、次の奴ん所行こうぜ!」
イアンがそう言って屋敷に入って行く。
「そうですね。早くしないと、日が暮れてしまいます…」
エストがそう言うと、俺はある事に気がついた。
今までの流れが普通過ぎて気づかなかったが…
地球では、丁度夜の12時だったよな?
なら、なんでこんなに明るいんだ…?
まるで、朝みたいな…
「ケンスケさん?どうかなさったんですか?」
「あっ、いや…何でも無い。行こう、イアンに置いて行かれちまう。」
気がつくとエストは、もう玄関の扉を開けて俺を待っていた。
俺は焦って今考えていた事を隠し、急いで玄関に駆け込んだ。
「さて、次はどなたの所へ行きましょう…」
「バルコニーになら、シニシャが居るんじゃねえか?」
シニシャ、か。
まだ居たのか…
「ああ、シニシャくんですか。確かに彼ならお花に水やりをしてくれていそうです。」
エストが微笑む。
「へえ、花に水やり…優しい子なんだな。」
「おう!シニシャはめっちゃ丁寧なんだ!」
「ええ、そうですね。イアンくんにも見習って欲しい程です。」
「あ!?何だと!?」
「ま、まあまあ!落ち着けってイアン!」
俺はエストに大声を出すイアンをなだめた。
「んん…チッ、さっさと行くぞ!」
イアンがずんずんと進んで行く。
俺とエストは彼について行った。
…此処がバルコニーか…
バルコニーのあちこちに花が置いてある。
きっとそのシニシャって子の親切心だろう。
その花達は、綺麗に手入れされ、伸び伸びと光に当たっていた。
「シニシャくん、お邪魔しますね。」
「…あっ、エストさんにイアンさん…!それに…そちらの方はどなたっすか…?」
綺麗なバルコニーには、緑髪の男性が居た。
「この方は、テオイのアイダケンスケさんです。ご挨拶をお願いします。」
「えっ…テオイの方っすか…!?あ、えと…その…じ、自分はシニシャって言いますっす。宜敷お願いします…」
シニシャは、緊張しているのかずっともじもじしている。
「シニシャ、宜敷な。このバルコニーは、君が手入れしてくれているのか?」
「あ、はいっす…一応、お花さんのお世話とか、屋敷のお掃除とか…させて貰ってますっす。」
「へえ、屋敷の掃除も…!こんなにデカい建物、大人数でやっても大変だろうに…一人でか?」
「い、いえ、一人では無いっす。セキとタキと自分で何時もしてますっす…」
ん…?
セキとタキ…?
「その、セキとタキって人は誰なんだ?」
「あ、えっと…あの二人は…あ、いや…あれ…?な、何から話せば…」
「会ってみたら良いじゃねーか!」
イアンが会話を割って入る。
またか…
「ふふ、そうですね。いずれ会うことですし、直接会って彼等に説明して貰った方が早そうです。」
「あ、そ、そうっすよね…!すみませんっす…」
シニシャが悲しそうな顔をする。
「いや、謝らなくて良いんだ。此方こそ困る質問をしてしまってすまないな。 」
俺がそう言うと、シニシャは少し微笑んだ。
「あ…い、いえいえ!全然!あの…行ってらっしゃいませっす。」
「あ、そうです。シニシャくん。お花の手入れが終わってからでも良いので、後でホールに集まって貰えますか?」
「ホ、ホールっすね!了解っす。」
俺達はバルコニーを後にした。
「セキとタキな…あいつ等、いつも二人一緒に居るが、いつもそこら辺ぶらぶらしてて何処に居るか分かんねぇんだよな…」
イアンが廊下を見回しながら言う。
「そうですね…彼等は気まぐれですから。」
エストも一緒になって廊下を見回す。
「…あ、あれ…あの二人、そうじゃないか?」
二人並んで廊下を歩く姿を見た俺は、そう二人に伝えてみた。
「おお!そうだ、あいつ等がセキとタキだ!」
「見つけられたのなら話は早いです。また何処かに行ってしまう前に、彼等にホールに集まる事を伝えなくては。」
エストが走り出す。
続いて、イアンも走り出した。
「え、あ、お、おい!ちょっと待てよ!」
俺は二人を追いかけた。
「ああ…?あいつ等、何処行きやがった…」
「はあ…はあ…見逃しましたか…」
全員息切れている。
と言うか、デスクに座り続けていた俺に急に全力疾走はキツイ!
「はあ…ど、何処に居るんだ…? 」
『捕まえてご覧。』
前から二つの声がした。
そこには、二人の青髪の男性が居た。
「あ!セキとタキ!」
イアンが叫ぶ。
彼等がセキとタキか!
「捕まえてご覧…?鬼ごっこか…?」
「はあ…困りましたね…」
エストが溜息をつく。
「チッ…こうなったら捕まえるっきゃねぇ!行くぞ!」
イアンが走り出す。
ええ…!?
また走るのか…!?
「イアンくんはこうなったらテコでも止まりませんよ…行くしかありませんね。」
エストが続く。
「うう…しょうがねぇか…!」
俺も走り出した。
ここから3対2の鬼ごっこが始まった。
イアンが二人を同時に全力で捕まえようとするが、二人のコンビネーションが良いのか、中々捕まえられない。
「チッ…捕まえられねぇ!」
一生懸命手を伸ばすが、それでも避けられる。
「イアンくん!片方だけを狙って下さい!イアンくんはセキくんを、私とケンスケさんはタキくんを狙います!」
エストが作戦をイアンに伝えた。
「よっしゃ!それなら余裕だぜ!」
イアンがセキを追い始めた。
「それでは、私達はタキくんを…!」
と、その瞬間。
「わっ…!?」
タキが誰かと衝突した。
「いたた…あ、だ、大丈夫っすか、タキ…!?」
タキがぶつかったのはシニシャだった。
「シニシャ!今直ぐタキを捕まえてくれ!」
「え…え?どういう事っすか…?」
「う、ううん…いや、もうシニシャにぶつかった時点で僕の落ち度だ。負けを認めるよ。」
タキが大人しくその場に座り込んだ。
よし!此方は捕まえたぞ!
後はセキのみだ!
「おう、此方も捕まえて来たぜ!」
其処には、シャツを掴まれぶら下がっているセキの姿と、セキのシャツを掴んで自慢気なイアンの姿があった。
「捕まっちゃったね、タキ。」
「そうだね、セキ。」
二人が見合う姿を見ると、まるで双子みたいにそっくりだった。
「セキとタキ…二人は双子なのか?」
『そうだよ。』
流石双子…
ハモる所も同じなんだな…
「ふう…では、このままホールに向かいましょうか。」
「お…って事は、もうセキとタキで屋敷の人達は全員か!」
「ええ、その通りです。」
はあ…凄く長く感じたな…
まあ、これでやっとこの屋敷…
スキアの人全員の顔を改めて見られる。
俺は楽しみで仕方なかった。
「では、行きましょう。」
エストに続き、皆でホールに向かった。