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「さてと。今日もルイん家(ち)行くけど…どうする?」
「行きますよ」
「2人が行くんならしょうがない」
ということで2限の講義が終わり、保、歌乃、那緒はルイの家に向かった。
「んん〜…」
なぜか目が覚めたルイ。二度寝をしようと思ったがなぜか寝付けない。
「…たまにあるな、こーゆーとき」
そりゃそれだけ寝てればあるだろう。
仕方なくベッドから起き、部屋の扉を開けて廊下に出る。リビングの扉を開ける。
「眩しっ」
広いリビングのベランダに出るためのガラス製のスライドドアから煌々と差し込む陽の光。
綺麗なフローリングに反射している。
「ハレルヤ、カーテン閉めて」
とスマートスピーカーに頼む。するとリビングのカーテンがモーター音をたてながらゆっくりと閉まっていく。
「ヴァンパイアは日光に弱いからな」
たしかにヴァンパイアのように肌が白い。キッチンへ行き、食器棚からグラスを出し
冷蔵庫から心の紅茶のストレートティーを出し、グラスに注ぐ。
冷蔵庫の扉を閉め、その場でストレートティーを飲む。
冷たいストレートティーが喉を伝い、胃に入るのまでがわかる。
…
チンッ!ベルの音がする。
「実は寝る前によく眠るためにホットミルクを飲むのは間違っているんです」
とテレビで学者の方が言っていた。
「マジでか」
ルビーがルイの隣で驚く。ルイも表情には出さないが驚いていた。
「実は睡眠の導入というのは
体内構造として、一旦体温を下げてから、体温を上げることで体が睡眠導入の体勢に入るので
ホットミルクや温かい飲み物を寝る前に飲むというのは一見、寝やすそうに感じるのですが
体内構造的には寝る前には冷たい飲み物、もしくは常温飲み物飲むほうが眠りやすいとされています」
「へぇ〜。今度から冷たい紅茶飲んでから寝よ」
というルビーの横でルイもそうしよと思うのであった。
…
という出来事があり、眠りに関しては勉強熱心なルイなので
今まさにストレートティーを飲んで自分の部屋に帰って二度寝しようとしていた。
するとカチャッっとリビングの扉が開く。
「カルゥ〜ボナァ〜ラァ〜…」
と変な歌を歌いながらリビングに入ってきた保と目が合うルイ。
ゆっくり静かにリビングの扉を閉める保。
「え。待って。今オレが見たのは幻?」
と廊下でドアノブを持ちながら呟く保。
「え、どしたの?」
「幻?なにが?」
「…ヤバいぞ。オレが見たのが現実なら明日は雪かもしれん。いや、もしかしたら氷河期が訪れるかも」
「なに言ってんの?」
「いいか?開けるぞ?」
リビングの扉を開け、3人でリビングに入る。
保、歌乃、那緒がルイの姿を視界に捉える。3人とも膝から崩れ落ちた。
「「「あぁ〜…明日、雪だぁ〜…」」」
その3人の光景をキッチンに佇みながら涼しい顔で見るルイ。
「どしたん。こんな早く」
※現在の時刻、13時7分。
「いや、二度寝しようとしたけど、なんか目覚めちゃって」
「あ、ま、たまにあるよね」
もはや13時過ぎは早くないよ?とツッコむ人間はいなくなりました。
「ルイ。今日は5限あるから行くよ」
「えぇ〜」
「えぇ〜じゃない」
「んじゃ、ま、まずはお昼作りますか」
「保はー卵溶いといて」
「りょーかい」
ともはや自分の家のキッチンが如く慣れた手つきで料理を完成させた2人。
「カルボナーラでぇ〜す」
「いただきます」
「いただきまーす」
相変わらずの美味しさに静かに感動するルイ。
「ご馳走様でした。美味しかったわ」
「うふふ〜ありがと。イケメンに褒められて悪い気はせんよね」
と言いながら那緒と一緒にお皿を片付ける歌乃。
「でも私は保のものなので〜。那緒に作ってもらってくださぁ〜い」
本日も胃もたれするほどのバカップルぶりをお届けしております。
「那緒はダークマター生成するタイプの女子だけどな」
と笑って言う保に
「よおぉ〜し!行くぞぉ~?」
と言いながら笑顔でお皿をフリスビーのように投げようとする那緒。
「ごめんごめん。いろいろやめて?オレにお皿投げるのも痛いから嫌だし
ルイん家(ち)のお皿1枚割ったらいくら請求されるかわからんから」
お昼ご飯を食べ終え、しばし4人でリビングでお昼のバラエティ番組を見て
「ルイ。そろそろ着替えてきて」
と那緒が言う。
「あ、もうそんな時間?」
「3時には出るから」
「んじゃルイ。行っておいで」
と保が言うが動かない。
「動け動け」
「服、何着ればいいかわからん」
「なんでもいいよ」
「じゃあ那緒選んでよ」
と言われ
え。私決めていいの?え。ルイが私が選んだ服着てくれるの?
つまり私好みにコーディネートできるってこと?いや、でもルイならなに着ても似合うだろうなぁ〜
例えば白TシャツにGジャンにカーゴパンツでも。例えば白Tシャツにジャケットにジーンズでも。
と妄想している間に
「保ールイのコーディネートしてきてー」
と歌乃が保の背中を押した。
「ういっ。じゃ、ルイをカッコよくしてきまーす!」
「元々カッコいいけど」
とほざくルイのお尻を蹴りながらルイを部屋へ連れて行った。
数分後、まだ那緒は妄想の中、リビングの扉が開かれる。
ルイがリビングに足を踏み入れる。那緒の妄想から出てきたようなルイ。
白いTシャツに淡い色のGジャン。濃い色のジーンズ。
シンプルなコーディネートだが、顔が顔だけに、コーディネートの最上級のようになっている。
「おぉ〜さすがルイ。なんでも似合う」
と褒める歌乃。静かに頷く那緒。完全に見惚れている。
「え。オレのコーディネートなんだけど?褒めて?」
という保を他所にあくびをするルイ。
「お腹いっぱいになったら眠くなってきた」
「赤ちゃんか」
「さ、もうそろ出ましょ。ルイがちんたら歩いてたら間に合わないし」
といことで4人でリビングを出て玄関で靴を履く。
ルイがシューズクローゼットから出したのは白いスニーカー。
「へぇ〜ルイ、スニーカー履くのめんどいって、1年の頃冬でもサンダルだったじゃん」
冬でもサンダルという衝撃的なことは、この3人の間ではもう衝撃的でもないようだ。
「ん?サンダルだよ?」
と言うルイが扉を開けて待っている3人のほうに、スニーカーだと思っていた靴の踵部分を見せる。
するとつま先の方、足の甲、足首までの辺りまでスニーカーだが
踵のほうはサンダルのように履きやすい構造になっていた。
「え、なにそれ。そんなのあんの?」
「いや、誕生日にdadが作ってくれた」
「え?”作って”くれた?」
「そ。LIMEで今年の誕生日なにが欲しい?って来て、んで、既製品じゃないけどって言ったら
とりあえず言ってみ?って言われたから言ったら作ってくれた」
「ヤバすぎん?」
「めっちゃ楽」
保も歌乃も那緒もスニーカーっぽいサンダルという発想に驚いていたが
ルイと付き合いのない人が聞いたらきっと「そこまでダルがるかね」と驚くだろう。
そんなスニーカーサンダルを履いて家を出る。なぜか保が鍵を閉める。全員で大学へと向かった。
大学へ向かう電車の中、大学へ向かう道中、大学の校内でもルイの美貌への注目がすごかった。
それは女性はもちろんのこと、男性の視線ももらっていた。
「さすがですな。一緒にいるオレまで芸能人になった気分よ」
「たしかにね。私も注目されてる気分だった」
「わかる」
当の本人はというと相変わらず眠そうな半開きの目のまま歩きながら
「オレん家(ち)から大学へ直通の動く歩道設置してほしいわ」
というとんでも未来を想像していた。5限の講義がある大ホールに足を踏み入れる4人。
「あ、ルイくんじゃない?」
「ほんとだ。ひさしぶりに見た」
「相変わらず王子様感パナいね」
「それな」
「あの顔に生まれたかったわ〜」
「わかる。人生勝ち組もいいとこだよな」
と周りの生徒の話し声がかすかに聞こえる。
「さすがは有名人。とんでもイケメンだもんな」
「ルイすごいね、マジで。なんかこっちも鼻が高いわ」
「たしかに」
当の本人は
「大学来たものの、今度は帰るのダルいな。大学校内に家建てられないかな」
とまたとんでもないことを想像していた。講師の方が奥の奥の扉から入ってきて講義が始まった。
那緒はちゃんと講義を聞き、ルイはダルそうに講義を聞き、保は寝て
歌乃は聞いていたものの終始ポカーンだった。講義が終わり、生徒がゾロゾロと出口へ向かう。
混んでいたので4人はしばし座って待つことにした。
「なんかルビーからめっちゃ電話きてた」
と言っている側からルビーからLIMEの無料通話がかかってきた。
ルイは電話に出て、スピーカーボタンをタップし
耳にあてずとも通話ができるようにしてテーブルに置いたまま話をする。
「お兄ちゃん!大丈夫!?」
いきなりルビーの大声が聞こえた。
「なに。大丈夫だよ。どーした」
「なにって。いきなりいなくなるからどうしたのかと思って、心配で」
「ルビーちゃん。ルイは今、大学にいます」
と保が言うと
「なんだぁ〜…。LIMEしてよ。マジで心配したわ」
と安心するルビー。
「なんかあれだよね。引きこもりの息子、娘が親になにも言わずに出かけたときの親の反応だよね。
ルビーちゃんいつか警察行きそうだよね」
と冗談で言った保。
「うん。ワンチャン警察案件かと思った」
本気だったルビー。
「なんか買って帰るものある?」
「んん〜…ちょい待ち」
キッチンへ移動し、冷蔵庫の中を確認するルビー。
「あぁ〜、今朝で牛乳少なくなったから牛乳。あとはぁ〜…んん〜っとぉ〜…あっ。
今日金曜だからカレーにしようとしてたんだけど、なんか入れたいものある?
にんじん、ジャガイモ、タマァ〜ネギ〜♫と肉は牛肉がある。
無理か、パプリカ、コリコリ。あ、パプリカもあるわ」
と謎の歌を歌ったルビー。
「オレウインナー入れたい!」
「…たもっちゃん?今日も夜食べてくん?」
「いや、冗談だけど」
「冗談かい」
「あ、でもそうか。今日金曜。明日土曜じゃん。ルイ、今日泊まっていい?」
「ん?オレはいいけど?」
「え、たもっちゃん泊まり来んの?」
「ダメ?」
「ダメじゃないけど…あ。じゃあ、どうせ那緒ちゃんもうたちゃんも一緒にいるでしょ?」
「いるよー」
「いるいる」
「じゃあ2人も泊まりにおいでよ。あ、詩衣も呼ぼ。たもっちゃん1回帰るでしょ?」
「あぁ〜、その発想はなかった」
「マジかよ」
「いや、最初冗談で言ったからさ。ま、うん。1回帰るわ。部屋着で行く」
「部屋着で?…ま、いいけどさ。じゃ、後で。お兄ちゃん、牛乳とウインナーよろしく」
「あいあい」
テレロンッ。と電話が切れた。
「なんか、急遽お泊まり会社が決定いたしましたぁ〜パチパチィ〜」
全員で拍手をした。
「ま、ということでみんな1回帰って準備して、今日は袴田家でお泊まり会です。解散」
解散と言ったものの同じ電車に乗り、同じ最寄駅で降りる。その頃ルビーは
「ま、ウインナーは後入れでもいいでしょ」
ということでカレーを作り始めていた。スマホで詩衣に電話をかけるルビー。
スピーカーにした状態で料理を続ける。
「もしもしぃ〜?」
詩衣が電話に出た。
「あ、詩衣?」
「うん。どした?」
「いや、今日この後家来れる?」
「ルビーん家(ち)?行けるけどー、どした?」
「ん?いや、急遽たもっちゃんたちが泊まりん来ることになってさ?
んで、ま、那緒ちゃんともうたちゃんとも仲良いから
全然居心地は悪くないんだけど、でも、全員お兄ちゃんの幼馴染だからさ?
だから同い年の詩衣来てくれたらなぁ〜って思って」
「なるほどね?じゃ、行くわ」
「お。ノリいいねぇ〜」
「準備してぇ〜…」
「あ、準備の間も電話してよーよ」
「ん?別にいいけど…リュックリュック…どこだ」
「今さ、料理してんのよ」
わざとらしく包丁とまな板のぶつかる音を聞かせるルビー。
「あぁ、なるほどね。暇なわけか」
「ま、テレビ見ればいいんだけどね」
「今日なに?」
「カレー」
「おぉ〜いいねぇ〜…部屋着部屋着」
と電話をしながら料理を続けるルビー。