テラーノベル
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気づいたら3回目の、教室の机に戻っていた。
「ごほ、ぐぉ、おぇーー」
ループした時は、痛みや直前の感覚は引き継ぐのか。クソ生々しい。俺は地面で四つんばいになって、腹の中の内容物を全て床にぶち撒けた。
オッサン教師はドン引きしたまま、慌てていた。
「おい!ミスター田中?大丈夫ですか?どうしたんですか?!?誰か保健室へ!早く!今すぐに!」
あれ、これ、デシャブか。
出し終わると、俺は口を拭い、壁際に縮こまった。当時は恐怖心から誰も信じられなくなっていたのだ。
「あの、田中君、大丈夫ですか?!」
「っ、田中さん!!」
ショットガンの赤髪と、九里ちゃんが立ち上がって心配そうにこちらに近づこうとしている。
「ちかっ、近寄るなぁあああ!!
お前ら、誰も、俺に近づくんじゃねえーーー!」
怒鳴りながらは俺はちびりそうになった。また撃たれた時の感覚を思い出しそうだ。机に転がっていた長い定規を掴むと、彼女らや周りに向けて俺は構えた。もう絶対こいつらと関わりたくない。痛いのも苦しいのももう嫌なんだ。
「ミスター田中、とりあえずおち、落ち着いてください。誰もあなたを傷つける人はいません」
オッサン教師は慎重に両手を上げて一歩一歩、俺に近づいてくる。
「動くなぁあ!!動くなって言ってるだろぉおおお!!俺に近づくなぁあああ!」
半乱狂になってオッサン目掛けて定規を振り回した。どいつもこいつも快楽殺人鬼に見える。
オッサンは足を止めると、俺を宥めようと必死だ。
「いや、た、田中君、一旦、定規を下ろしましょう。先生近づかないのでゆっくり落ち着きませんか?」
冷や汗がデブったオッサンの額から、顎に向けてすぅっと流れる。
オッサンは両手を上げたまま、ゆっくり後退りしながら教壇に戻っていく。
「みんな、僕、授業を再開するから、きぃ、聴いてね」
オッサンは冷や汗を拭ってから、授業を再開した。途中でチラチラこちらを見てきたが、俺は壁の端に座ったまま、周囲を警戒し続けた。
デレレレレ。デレレレレ。
チャイムが鳴る。
教室を早足で去っていくオッサンを目で追いながら、俺は安堵から少し漏らした。
相変わらず、二人の殺人鬼女の方を向いて警戒し続けた。
どうやら俺の態度の豹変に彼女らも少し引いているらしい。我ながら今度こそ死なないのかもしれないと思った。
お昼になり、赤髪の子も九里ちゃんも、教室からクラスの多くの奴らと一緒に出て行ったのを確認してから俺は心底から力が抜けて、脱力して壁にもたれ掛かった。
とりあえず今すぐは死なない。このまま、他の奴らを近寄らせなかったら生き延びられるじゃないか。そう思うと右手で握りしめていた定規が頼もしく見えた。
教室はもう最後列の俺と、2番目の列で呑気に眠りこけるもう一人の女しか居ない。薄っすらサイドテールの金髪が白いうなじを目立たせてキラキラと光る。かっこいいような、美しさを感じた。
だが、近寄るのはやめよう。また殺されるのは懲り懲りなんだ。気が抜けたせいで俺の体の重みに耐えかねて、寄りかかっていた後ろの棚が少し凹む。連鎖して、開けっぱなしにしていて絶妙なバランスを保っていた隣の数個のロッカーから、教科書やキーホルダー、メダル、ガラスに入ったお花が教室の地面に大量に落ちてきた。
その瞬間嫌な予感がした。
そのうちの丸いガラスに入ったお花が俺の目の前で砕け散り、破片が足に突き刺さった。
「うっ、いっだだぁぁああああ!」
俺の悲鳴に耐えかねて、教室の女は目を覚ました。
俺の方をジィーと見つけると彼女は、眠い目を擦りながら転がっているガラスの破片とお花に目を留めた。瞬時に目は大きく見開かれて、呆気にとられていた。すぐに悲哀と怒りがミックスしたような顔になり、目から涙を流しながら何処もなく、虚空から2丁の拳銃を取り出し、激しい光に包まれると、服装がまるで西部のカウボーイのような格好になって、俺の方を憎しそうに見つめていた。
「よくも、よくも、大切な人のモノを、よくも。許さない、許さない。絶対、殺す。ころす。コロス。」
空中で弾が吸い込まれるように拳銃に入ると俺に向けて、撃ち始めた。
「いやだ!くるなああああぁあ!」
手元の定規を抛り捨て、俺は本能の告げるまま、廊下へと動かない右脚を引き摺りながら教室を這って逃げようとしたが、途中で飛んできた2発に左足もやられて動かなくなる。
教室では俺の血でまるで、赤い何かを引き摺ったかのようなシミが廊下まで続いていた。
サイドテールは射撃を止め、慌てずゆっくりとした歩きで俺との距離を詰める。
ガチャガチャ。ガチャガチャ。
尖った靴がする音が、死神の足音に聞こえ、一歩毎に俺の心臓の音は跳ね上がる。
「知らなかったんだよおおおお、まじで、なんで、俺なんだよ。頼む、頼む。痛いのはもう無理なんだよおおおおお」
命乞いも虚しく、サイドテールは涙を流したまた氷点下の無表情になる。
パンパン。
無常に引かれた、2発の弾が俺の心臓の奥と、脳みそのど真ん中を正確に貫いた。
DEAD END : 3
コメント
1件
うわぁ、3回目のループか…それでさっきまで「コイツらとは関わらない」って決めてたのに、まさかロッカー倒して花を割っちゃうとはね。一番近づいちゃいけないタイプの女を起こしちゃったの、運が悪すぎるよ… でも、あのサイドテールの子、大切な人の形見みたいなものを壊されたんなら怒るのも当然かも?って一瞬思っちゃった自分が怖い。どっちもどっちで悲しいな。次こそ生き延びてほしいよ🥀