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千導 渉
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千導 渉
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如縣 遼太
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同じ魔王城の、少し離れた区画にある大広間。そこでは、完全に洗脳されたはずの残りのメンバーたちが、どこか不気味でありながらも、以前とはベクトルの違う「おかしな日常」を過ごしていた。彼らは、自分たちの仲間である翅が、今この瞬間も最高幹部の藍谷侑に膝の上で極限まで溺愛され、顎クイをされていることなど、夢にも思っていない。
「……あはは。次は、何を壊そうかな」
お笑い担当だった笠原裕人が、ピクリとも笑わない冷酷な顔のまま、禍々しい闇の魔力で手品のように黒い球体を作り出しては消している。かつて部屋中を大爆笑に包んでいた男のユーモアは完全に失われ、今はただ魔王様への忠誠だけを呟く、冷徹な道化師と化していた。
そのすぐ近くでは、野球少年の井上泰輝が、濁った紫色の瞳で壁をじっと見つめていた。その手にあるのは、愛用の白球ではない。魔王軍から与えられた、触れるものすべてを腐食させる黒い魔力球だ。泰輝はそれを、感情の消えたまあまあイケメンな顔で、ポンポンと不気味にトスし続けている。
「プレイボール……。次の試合の相手は、魔王様に逆らうネズミどもだ……。全員、一球で仕留める……」
2人の放つ空気は、かつての明るさからは程遠い。
しかし、その殺伐とした空間に、お人好しの檜村賢太が操り人形のような不自然な足取りで近づいてきた。その手には、不気味にドロドロと紫色の煙を上げる、禍々しい「暗黒スープ」の鍋が握られている。
「みんな、お腹が空いたでしょう? はい、魔王様特製のエネルギー・スープだよ。これを飲めば、もっとたくさんの人間を効率よく殺せるようになるからね……あはは」
「……あ、賢太、サンキュー」
そこに、同じく洗脳された石神秀都が、素の明るい笑顔……を完全に引きつらせた「狂気の笑顔」を浮かべて歩み寄ってきた。凄まじい運動神経を誇る彼の身体からは、常に闘気がブレて溢れ出している。
「これ飲んで、俺、もっとスピード上げて、逃げた瑠偉たちの首をはねてくるわ! 楽しみだなあ、あははは!」
4人は、完全に洗脳された「魔王軍の忠実な兵器」として、お互いに昏い言葉を交わし合っていた。彼らにとって、今の状況は「魔王様のために戦う最高の状態」であり、何の疑問も抱いていない。もちろん、
彼らの脳内には、
(そういえば翅のやつ、さっき最高幹部の藍谷侑様に『ちょっとこっちに来い』って呼ばれてから、全然戻ってこないな……。まぁ、あの冷酷な侑様のことだ。翅の鋭い刃の軌道を見込んで、前線で人間どもを効率よく惨殺するための、過酷な秘密特訓でも受けているんだろうな)
という、非常にシリアスかつ、的外れな認識しか共有されていなかった。まさか自分たちの仲間が、その冷酷な侑様の膝の上で「甘すぎる、でも美味しい」などと言いながら果物を食べさせてもらい、甘い吐息を漏らしながら可愛がられているとは、この凶悪な洗脳組の誰一人として、知る由もなかったのである。
コメント
1件
洗脳された仲間たちの不気味な日常、めっちゃ好きですわ。特に「プレイボール」って呟く泰輝とか、暗黒スープ配る賢太とか、元の明るさが完全に欠落してるのが逆に怖くて良い。でも翅だけ侑様に溺愛されてるギャップが強烈すぎる(笑)この温度差、次どうなるんだろう。