テラーノベル
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床についた西ヶ谷樹は今日依頼主から聞いた事を脳内で簡潔にまとめた。
最初の異変に気づいたのは4月10日ごろ、家に居てもどうも落ち着かなく不快感を持つ。
その数日後は屋根裏から足音がした気がして害獣駆除の業者を呼ぶが動物はおらず。
それから24日に浴槽から上を見上げると網状の点検口の中を何かが動いた。
…気がした。視線を感じる不快感はその時も続いていた。
何回か異変があったらすぐさま業者に行ったものの不在であったことも多く。
残念ながら理由は分からず。
警察を呼ぶのも大げさであるし今回は電柱に張られた(当然違法の)探知同好会のチラシを見て相談に来たとのことである。
運の良いことに明日は今週の土曜に予定されている校外学習、いわば遠足の振替で休みになっている。
明日は10時に東屋と教えてもらった依頼主の家前で待ち合わせている。
脳内で整理できたことだし今日は寝よう。
はっと目が覚めた。
近くの時計のコードを慌てて掴み引き寄せる。
針は9時半を指していた。目覚ましを入れ忘れた自分を省みながらバッグを肩に掛ける。
そして玄関にある家族写真に「行ってきます。」と手を合わせるとドアを開けた。
約束した場所は30分程かかるが準備をしてから出かけたため時刻は9時40分。
走れば20分で着くだろう。運動は苦手であるが待たすわけにはいかない。
しかしその場所で待っていたのは大勢のパトカーと警官であった。
しばらく立ち尽くしているとその向こうから誰かが走ってくる。東屋であった。
状況が飲み込めないらしい樹に東屋が真剣な声で話しかけた。
「依頼主さん亡くなったって。」
心臓がギュッと強く締められた気がした。
昨日まで生きていた人が突然居なくなる。
まるであの日のように。
「なんで、ですか?」と問う樹に
「…ごめん、語弊があった。」と東屋が言う。
「正しくは殺されたんだって。」
再び衝撃が走る。
同時に2人は同じ事を考えていた。
『この事件は例の視線の事と関係がある。』
「あの件は警察に相談してないって言ってましたよね、じゃあ、」
「うん、西ヶ谷君と私で探すしかないね。」
すると彼女は『keep out』と書かれた黄と黒のテープをひょいと持ち上げた。
周りの警官も呆気にとられている。当然樹もだ。
さすがにまずいと思ったのか「あのぉ、そこのお嬢ちゃん。」と近くにいた警官が寄ってくる。
「ここはちょっと捜査中だから入んないでくれると嬉しいなぁ、」
すると間髪を入れずに彼女が「えー!」と大声を上げてはぐらかす。
樹が口を開けて立ってる間、彼女は警官と話している。
その時突然彼女は道路側を向き、
「そろそろかな。」とつぶやいた。
その時、一台のパトカーが追加で家の前に止まった。
中から出てきたのは恐らく5,60代のいかつい刑事だった。場の空気が変わる。
見ればわかるベテラン感と威厳、一番この捜査で偉い人物なのだろうか。
先ほど彼女と話していた警官がその刑事の所に行くと
「なんか部外者の女子高生が現場に入ろうとしてきて、」と話す。
刑事は「どこだその娘。」と言うと東屋の元へ向かう。
場の空気が凍りつく。東屋の前で頭2つ以上違う背丈の男がすさまじい表情で彼女を睨む。
数秒顔を見つめ合うと東屋から切り出した。
「おじさん、探偵同好会って言えばわかるよね。」彼女が自信ありげな顔で刑事を見る。
「ん…。」その瞬間確かに刑事の顔からいかつさが消えた。
するとその刑事は声を上げて豪快に笑い出した。
「おお、なるほどな。言われてみりゃよく似てるなぁ。」
周りはまったく何を言ってるのかわからないため首をかしげる。
「入れ、どれくらいあの娘に推理力が似たか見極めてやるよ。」
「似たも何も私のほうがもう上です〜。」
すると近くにいた警官が「いや、部外者を捜査現場に入れるのは…!」と割り込む。
すると刑事は少しニヤつきながら警官にこう言った。
「いいんだよ、2年前のジル・ド・レ再発事件のこと覚えてるか?」
「…!」周りの警察官がざわめき始める。
「これは大変な失礼を!」と警官が道を譲る。
樹は終始置いてけぼりだった。
テープをくぐる東屋をただつっ立って見ていると刑事がこちらを振り向く。
「お前もだろ?中入れ。」
自分に言ってると一瞬わからず焦るが樹は大きな声で返事をした。
「はい。今行きます。」
前日に受けた視線の件、
それに重なるように起きた被害者の殺害。
事件は事件を引き寄せ混沌をきわめる。
樹は交差したテープをくぐり、いざ戦場へ向かう。
コメント
6件
すごすぎだろ… 相変わらず語彙力神ってますね!!
初コメ失礼します。 すごく面白いです……タイトルとあらすじを見た瞬間に面白いと思っていましたが、実際に読んでみると想像以上でした🥰 これからも応援しています✨
本職の方にも認められる推理力なのか……!