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「ぬるいサッカーだな。球蹴りクラブかよ」





その新入生は肩で息をする俺らを見下し、言った。

その言葉に反論できる者はいなかった。交流試合の惨状がそれを物語っている。俺たちレギュラーは、一年生相手に一点も決めることができず、正確にはこの「糸師凛」ただ一人の新入生に全く歯が立たず、圧倒的な力の差を見せつけられた。


仮入部期間には一度も見ることのなかったその人物は、強烈な殺気を放って俺らの前に立っていた。


入部初日ということもあり、一年生たちを途中で帰らせたあと、二年生以上の部員はいつも通りの練習をこなした。疲れた身体に鞭を打ち、ロッカールームで汗に濡れた身体を拭う。

いつもなら部員達の話し声で溢れているこの場所は、今、重苦しい空気が漂っていた。


「なんで今日、あいつ来てないんだよ」


棘の篭った苛立った声がした。三年の先輩だ。


「おい多田! お前、今日のこと伝えたんだろうな」

「い、いや〜 俺はちゃんと言ったんですけど……」

「くそっ、蜂楽さえいればこんな結果にはならなかったのに」


先輩達が口々に不満を言い始めると、級友——多田は、つい数時間前に教室で言っていたことを忘れたかのような態度で、それらに深く頷いていた。蜂楽は今日、部活に来なかった。先輩たちは「蜂楽がいれば」と口にしているが、俺には、そうとは思えなかった。


「いくら蜂楽がいても、糸師にはかなわなかったんじゃ……」


恐る恐る口に出すと、先輩たちは反発した


「うるせえ、あいつが俺らにちゃんとパスを出しさえすれば、後はどうとでもなるんだ!」

「てかあいつ、生意気なんだよ。少し上手いからっていつまでも自分勝手なプレーばかりしやがって」


その言葉を皮切りに、先輩達は益々とヒートアップしていく。


「いつも言って聞かせてるんですけどね……サッカーは『ワンフォーオール・オールフォーワン』なんだからって!」


そしてそれに便乗するように、多田が堂々と語る姿が目に入る。

本来、糸師に向けられるべきだった不満の数々が、どう言うわけか蜂楽へと向かっていた。

先輩たちは、それが当然であるかのように、次々と言葉を吐きだし続けている。俺は、そんな先輩たちの声を遠くに感じながら、あの、糸師凛の強烈な眼差しが頭から離れず、どこか落ち着かない気分に包まれていた。









next.


♡…500




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なんか♡の数増えてね、、?


って思ったそこの君ッ!!


頑張って押して((


じゃ、また次回!


♡待ってるぜ!




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