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僕は、もう少しで死ぬらしい。なんて、他人事に言ってるけど、僕は涙とか出てこなかった。ただ、心残りがあったんだ。かなわない心残りが。
僕は、生まれつき色が見えなかった。あなたたちの色がついている素晴らしい世界を僕は感じることができなかった。
昔は、色が見たくて仕方がなかった。みんなはどんな世界で、どんなに美しい景色に包まれて住んでいるのか。それが知りたかった。僕も、同じ色が見たかったんだ。
でも、僕の目の中で生きているモノクロの世界だって素晴らしいと思った。そう思ったら、僕だって素晴らしいものが見えてるんだって前向きに、色が見えないことを考えることができた。
そんな僕に、両親は、安心していた。僕が、ずっと暗い顔をしていたからだろう。久しぶりに両親の笑顔が見れた。嬉しくて、心がぽっと温まった。そんな人生を16年生きてきた。
僕は、病院に行き、余命を伝えられた。もうどうすることはできないらしい。
僕は、それを知りあぁ、そうなんだと。自分の中ですっと受け入れられた。
そんな僕に、両親も僕も驚いた。もっと混乱するものかと思っていた。
じゃぁ、それまで自分のしたいことをしよう。絵を書いたり、本を好きなだけ読んだり、もちろん、授業も受けたり。友達と遊んだり。いろんなことを。
僕は友達に、余命のことは話していない。きっと、話してはしまえば、気まずくなるかと思ったからだ。でも、僕の余命を知らないフリをするのができなかった。
黙っていていいのだろうか。そんなことを考えていると、余命のことは、すんなり受け入れられたのに、人と関わることだと僕は、弱くなって小さくなってしまう。
そんな自分がおかしかいと思った。
話してみようかな。どんな顔をするだろう。
というよりも、もしかしたら僕は、他人事のように思っているからすんなり受け入れられたのか。だとすると、自分の口からその言葉を放つことで今更混乱するかもしれないな。
やっぱ、僕はおかしいのだろう。いや、おかしくないのかもしれないけど。
勇気を出して友達に伝えた。もちろん僕の言葉で、僕の口で。
友達は、「じゃぁ、もっと楽しもう!後悔のないように。」って僕のしたいことを協力してくれた。いい友達を持った。
僕は、今更余命のことをどうにかしたいなんて思わない。だって、楽しもうと、やりたいことをたくさんやると決めたのだから。だから、そう言ってくれた友達を冷たいなんて思わない。余命をどうにかしようって言わずに、僕の考えを肯定してくれた友達を。
僕の周りには、あたたかい人がたくさんいる。
僕の余命は、もう近づいてきてる。したいこと、望んだことはもう叶った。
でも、一つだけかなわないことがあった。
それは、君たちと同じ景色を見ること。確かに、モノクロの世界だって素晴らしい。
でも、色がついた色んな思いでできた色とりどりで、美しい世界を。景色を。
でも、無理なのだ。見れないのだ。そんな夢を見たってかなわない。
周りを見れば、優しくて温かい人たちに包まれている僕が見える。それでいいんだ。
僕が…僕にとって大事なのは、景色じゃなくて、そんな環境で、支えてくれる人だったのだから。そんな素晴らしいものと比べると、景色がちっぽけに思えたんだ。
ありがとう。感謝してもしきれないけど。何回でも言うよ。
例え、支えてくれた人に届かなくても。
そして、僕の人生は幕を閉じた。
でも、完全に消えるわけじゃない。あなた達の心のなかでいるのだから。
僕という存在が。ずっと…
僕はもう、モノクロの世界だけど、あなたといた時間は綺麗に輝いて見えたよ。
君たちに、僕から伝言。空の上から。
馬鹿だと笑ってもいいよ。実際、これは、きれいな形で終わろうとする僕の物語なのだから。言うことも、綺麗事だよ。
僕の言う友達は一人だ。そして、両親。大切な人を、大切にしてほしい。
きっと、素晴らしい人生が待ってる。それまで待てないという人は、まぁ待ってくれ。
人が少なくても、一人でも話せる人がいるのなら、信頼できる人がいるのなら、心を閉ざさないで自分の思いと向き合って、そしてその人にも自分の思いを話してみてほしい。
向き合わなくてもいい。ただ、話してほしい。
ずっと、一緒にいる人がどんな人なのかわからない。でも、きっと大丈夫。
ゆっくり聞いてくれるよ。先生でもいい。
えーと、そうだな。これを、真に受けなくてもいい。ただ、言いたかっただけなんだ。
無責任だね。僕は。その後、君が辛くなっても僕は知らないんだから。
ちなみに、もっと無責任に言うと、僕の言ったことを信じて
辛くなっても、僕はどうしようもない。ごめんね。
行動しようと思った人は、自己責任でお願い。
じゃぁ、ばいばい。