テラーノベル
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朝の光がカーテンの隙間から差し込む。
まだ眠そうな目でキッチンに立つのは、もちろんイギリス。
少しだけくせ毛が跳ねていて、本人は気づいていないらしい。
仏「……あ~、目の保養。寝起きの私服イギリスって感じ、いいよね」
英「うるさいですよ……せめて顔くらい洗ってから言ってください」
仏「いやだね。だって寝起きでもかわいいかわいいイギリスを、僕が独り占めできるんでしょ?」
英「……ほんと朝から飛ばしますよね」
仏「え? じゃあ今ならまだキスしてないから“朝の一番最初のキス”いけるけど?」
英「……卵、焦げますよ」
仏「ちっ……朝ごはんに嫉妬するとか、はじめてだわ……」
結局そのあと、仏は洗面所へ追い出されるが、
戻ってきたときにはテーブルにふたりぶんの朝食が並んでいた。
英「……トースト、ちょっと焼きすぎました」
仏「大丈夫、それより嬉しい。……ねえ、いただきますの前に、手」
英「……」
仏「ほら、繋ご?」
英「……ほんと、甘いんだから」
そう言いながらも、英はそっと手を差し出した。
その日、焼きすぎたトーストと、少ししょっぱいベーコンは、
ふたりにとって、ちゃんと“はじまりの味”になった。
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