テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
おはよう、と空虚に向けて挨拶をする。悲しい人なんじゃないよ、する相手がいないのさ。自業自得かもしれないけどね。
何度眠っても、何度目覚めても、目の前に広がるのは暗闇と鉄格子だけなんだ。たまにご飯…ソーセージの入った味の薄いスープが置いてあるけれど、とても私の口には合わない。ビールでも置いてくれればいいのだが。まったく、気が利かない!こんな生活にはもううんざりだよ。聴覚と嗅覚はまともに仕事をしないし、立ち上がろうとしても鮮少なご飯じゃ力も出ないから、ふらついて転んでしまう。手も動かしづらくなった。
でも不気味なのは、こんな場所でも、一切不衛生ではないこと。蜘蛛の巣一つないし、なんなら虫さえ見たことがないかも。敷いてあるマットレスも、気づけば洗われて綺麗になっている。
初めはこれまでの行いが神様に怒られて、死んでから牢屋に入れられたのかと思った。そんなこと起こりうるかな?なんか起こらない気がしてきた。…とにかく!私は今、たぶん死んでいる。生きていないと、本当に暇だ。何もすることがない。おかげで、昔に思いを馳せることに制限は無くなったけど…
彼_厳密にいえば違うのだけれど_は、私に告白した。同じ国になってほしい、と。はじめは拒否した。私は、オーストリア=ハンガリーに憧れていたから。「三重帝国」の構想を抱いていたから。でも、彼はめげなかった。真っ直ぐに、私に想いを伝え続けた。私は、「妥協」した。彼と一つの国になった。
そこから、全て間違えていたんだ。私は、彼を愛した。一緒にいるうちに、どんどん好きになっていった。穢れを知らない綺麗な眼も、動作の一つ一つも、全てが愛おしかった。彼は私に、敵意を孕んだ表情を向けるようになった。あの頃の私は、理解しようともしなかったけれど…私は、彼を痛めていた。傷つけていた。議会には呼ばなかったし、農業だけさせた。それがどんなに辛いことか。今ならわかる気がする。謝りたい。彼に、深くお詫びしたい。
でも、それは叶わなかった。彼は、独立しようとした!ああ、そうだ。ナチスに誑かされて!!私の、私だけのスロバキアだったのに!あんな奴の言うこと、全て戯言なのに!そう決まっているのに!実際どうだ、私は殺され、彼は「保護」という建前で併合された。そうだ!とても言葉では表しきれない!!憎たらしい…
…少し思ったことがある。私は今まで、天罰が下ったのだと思っていた。自分を愛してくれる人を傷つけたので、神がお怒りになったのだと。でも、もしかすると、神様は私になど興味はなくて、それは神なんかじゃなくて___
コメント
5件
えっっっありがとうございます……(震え)テラー登録する前にめっちゃ見てました。続編に驚きを隠せない。あいむはっぴー 不穏の!史実の!チェコスロバキアは美味しい!!ちょうど史実足りてませんでした!!これで10日は生きれる。文章からわかる🇨🇿ちゃんの狂い具合が大変愛おしい。🇨🇿が🇸🇰に振り回されてる感も大変大好き。文才がありすぎる!素晴らしい作品をありがとうございました!!!
あーもう、この第2話、めっちゃ重くて切なくてやばかった…!!😭💔 「私の、私だけのスロバキアだったのに!」って叫び、もう胸がギュッてなったよ…。愛してたからこそ傷つけて、気づいたときには手遅れだったんだね…。神様じゃなくて“何か”がいるってラスト、続きが気になりすぎる!!次話も絶対読みに行くね!📖💕
夏休みの宿題投げた@🍋☕さん
1,777
りんご
177
#カントリーヒューマンズ
水依存症💧宝石売買💎
1,422
花より団子🎑
3,010