TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

 

 トウゴの所ではシルバだけが、寮の掌に収まる大きさの梟の置物を買った。

(ちょっとは見栄えのする物も置いて、リィファが寛げるようにしねえとな。俺の部屋は、十歳やそこらの女の子が住むには殺風景過ぎる)と考えての購入だった。

 トウゴとひとしきり話した三人は、少し歩いて服屋に赴いた。

 ドアはなく、入口は通りに開放されている。煉瓦壁の店内には、多種多様な衣服が所狭しと吊られていた。

 三人とも、特に目当ての物があったわけではなかった。だが中に入るなり、「ごめん、ちょびっとだけ待っててくれる?」と、ジュリアは両手を合わせて済まなさそうに頼み込んできた。

 快諾した二人は、店内をぶらぶらし始める。

 五分ほど経って、勘定台の奥の扉からジュリアが姿を現した。腰に手を当てて全身を強調しながら、ふふん、とでも口にしたげな力強い顔をシルバたちに向けてきている。

 ジュリアの服装は真っ赤カポエィラのユニホームだった。快活なジュリアに良く似合う、鮮やかで派手な衣装だった。

「おっ! 二人とも、あたしの魅力にぎゅんぎゅん吸い込まれてるって顔だねっ! そんじゃあこの勢いに乗って、ちょっと早めのお昼ご飯といこう!」

 どこまでも陽気なジュリアは、両手で二人の背中をぐいぐい押す。

(ったく、この空元気娘は。相も変わらず、話に脈絡が存在しねえよな)

 シルバは半ば呆れつつも、されるがままに歩を進める。隣のリィファは、困惑と嬉しさが半々の微妙な笑顔だった。

月の庭の格闘家【ピエロ】

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚