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トウゴの所ではシルバだけが、寮の掌に収まる大きさの梟の置物を買った。
(ちょっとは見栄えのする物も置いて、リィファが寛げるようにしねえとな。俺の部屋は、十歳やそこらの女の子が住むには殺風景過ぎる)と考えての購入だった。
トウゴとひとしきり話した三人は、少し歩いて服屋に赴いた。
ドアはなく、入口は通りに開放されている。煉瓦壁の店内には、多種多様な衣服が所狭しと吊られていた。
三人とも、特に目当ての物があったわけではなかった。だが中に入るなり、「ごめん、ちょびっとだけ待っててくれる?」と、ジュリアは両手を合わせて済まなさそうに頼み込んできた。
快諾した二人は、店内をぶらぶらし始める。
五分ほど経って、勘定台の奥の扉からジュリアが姿を現した。腰に手を当てて全身を強調しながら、ふふん、とでも口にしたげな力強い顔をシルバたちに向けてきている。
ジュリアの服装は真っ赤カポエィラのユニホームだった。快活なジュリアに良く似合う、鮮やかで派手な衣装だった。
「おっ! 二人とも、あたしの魅力にぎゅんぎゅん吸い込まれてるって顔だねっ! そんじゃあこの勢いに乗って、ちょっと早めのお昼ご飯といこう!」
どこまでも陽気なジュリアは、両手で二人の背中をぐいぐい押す。
(ったく、この空元気娘は。相も変わらず、話に脈絡が存在しねえよな)
シルバは半ば呆れつつも、されるがままに歩を進める。隣のリィファは、困惑と嬉しさが半々の微妙な笑顔だった。
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