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『都会の交差点で出会った君へ』 ④ 君に伝 えたい言葉
あの日から、蓮翔はずっと考えていた。
璃蓮が言った「蓮翔やったら嬉しい」って言葉。 それが、本気なのか、冗談なのか…答えは聞いてみ ないとわからない。
だけど–蓮翔はもう、決めていた。
***
金曜の放課後。 蓮翔は、璃蓮を公園に呼び出した。
「ええ天気やな~。もしかしてまたチョコの新作買 ったん?」
「いや、今日は… ちょっと話があって。」
璃蓮はキョトンとした顔で蓮翔を見つめた。
いつもの笑顔じゃない。蓮翔の目は、まっすぐだっ
た。
「璃蓮。」
「……うん?」
蓮翔は一歩だけ近づいて、深く息を吸った。
「最初に会ったときから、ずっと思ってた。 おもしろくて、天然で、でもまわりのことちゃんと 見てて。
璃蓮のこと、好きやねん。」
璃蓮の目が、少し大きくなった。
「最初は、ただ一緒に笑ってくれるのが嬉しかって ん。
でも気づいたら、璃蓮の笑顔見るだけで、なんか… 元気出て。
気づいたら、誰よりも大事な人になってた。」
蓮翔の手が、小さく震えていた。
璃蓮は少しだけ黙ってから、ぽつりとつぶやいた。
「… うち、そんなふうに思ってもらえるなんて、思 ってなかった。」
「…… うん。」
「けどな。うちもなーー
蓮翔とおると、笑うこと増えて。
帰り道が楽しみで、気づいたら蓮翔のことばっか考 えてて。」
璃蓮は、そっと蓮翔の制服の袖をつまんだ。
「だから、たぶん… うちも、好きやと思う。」
風が吹いた。
蝉の声も、遠くの子どもたちの笑い声も、全部が BGMみたいに聞こえた。
蓮翔は、少し顔を赤くしながら、ふわっと笑った。
「… ありがとう。めっちゃ嬉しい。」
璃蓮も、いつもの笑顔より少し照れた顔で笑い返し た。
ふたりの距離は、もう「友達」じゃなかった。