*金スマのSSです。
*恋人同士、同棲。
*sm視点→kn視点。
カチカチ、と秒針が動く音が鮮明に聞こえてくる。ぼーっとする意識もしばらくして据わってきた。
寝る前につけていた暖房も活動をやめて眠っていた。もうすっかり湯冷めした身体では体温をあげることは簡単ではなくて、布団の中で身体を縮こませて丸めても身体の芯から温まることは無かった。
仕方なく、枕元で充電しているスマホで時間を確認する。暗闇に慣れた瞳にはブルーライトは眩しくて何度か瞬きをして。今は3時26分だということが分かった。もう一眠りするか、諦めて起きて活動を始めるか、何とも悩ましい微妙な時間。はぁ、っとひとつため息 をして寝返りを打つ。
ふと隣のベッドで眠るきんときに視線をずらす。
背を向けて、規則正しい寝息をたてて眠っていた。
魔が差して、しゅるりと布が擦れる音をたて、ベッドから立った。そして、暖房を入れ直すのではなく、何を思ったのかきんときの方に歩みを進めて彼のベッドに潜り込んだ。
ギギッと重く軋むセミダブルのベッド。1人の時は余裕があるけれど、2人だとやっぱり狭くて、落ちそうになる。
それが怖くてきんときの服をきゅっと控えめに握って身を寄せた。きんときの体温が熱移動して凍てついた身体を芯から溶かす。夢と現の境目で、微睡みに呑み込まれてしまいそうだった。
すると、布が擦れる音が空気を揺らす。そして目の前でぐるりと視点が反転した。
kn「…眠れない?」
喉が乾燥で乾いていて、いつもより低い声が頭の上で聞こえてきた。
sm「うん。…ごめん、起こしちゃって…。」
申し訳なさそうな声で細々と喉を震わす。そう言えば、口端を緩ませて笑みを浮かべるきんとき。彼の指先が俺の冷たい頬に触れる。
kn「いいよ。…ほら、おいで」
マットレスを軽く叩いて近寄るように合図された。誘われて、腕の中に飛び込む。ドクドク、ときんときの心音が鼓膜を揺らす。
sm「…あったかい」
今にも消え入りそうな声で呟けば、きんときは喉でクツクツと笑って、頭を撫でてくれた。それが心地よくて、大きくて暖かい手に縋って擦り寄る。
kn「……おやすみ」
深く腕に飛び込んでいけば、強く抱きすくめられて安心感に満たされる。背中をさすられ、眠気が募っていく。限界を迎え、暖かいきんときの腕の中で重たい瞼を閉じて意識を手放した。
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同棲をするにあたって、相談した寝室のレイアウト。新しいダブルベッドを買うか、と提案したが、わざわざ買い直すのも勿体ないし、今のままでいいとスマイルは言った。ベッドを搬入して配置を決める時も、睡眠の質を保ちたいから、と同じ部屋で寝るものの、ふたつのベッドは離して設置した。
広々としたダブルベッドで眠るのもありだが、このまま狭いベッドで2人で身を寄せ合いながら眠るのも悪くは無い。
さらさらとスマイルの髪を梳く。閉じた長いまつ毛にほんのり笑みを浮かべるあどけない口元。眠りの世界に入る彼に肩に布団を被せて目を瞑る。
暖房はついていないけど、体温が上がっていくのを感じてまた睡魔に導かれた。
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