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夕方頃に仁人から『今日そっち行く』とだけ連絡が来ていた。それに気付いたのは、通知が来ていた二時間も後のことで。
『いつ来るの』
別々の仕事であったため、マネージャーに予定を確認すると大体同じ時間に終わると伝えられた。とりあえず返信するも既読は付かず、結局そのまま携帯を伏せて撮影に戻った。
スケジュール通り順調に撮影は進み、チェックも完了し、楽屋へと戻る。仁人からの連絡は無く、未だ既読にもなっていない。
衣装を脱いで、私服に着替える。撮影に使っていたアクセサリーが自分好みの物で、どこの物か聞いておこうと顔を上げてスタイリストを探した。
「わー、雨ひどくなってきた。雷も鳴ってますね」
スタッフの声に窓を見る。地面を叩きつけるような大雨と共に、遠くで空がピカっと光り一足遅れて雷の音が部屋に響いた。
「あいつ、大丈夫かな……」
「えっ?」
「いや、なんでもないです」
「この雨ですし、佐野さんタクシーで帰りますよね?裏に呼んどきますねー」
「すいません、お願いします」
キラリと手元に光る撮影用のリングを外しながら、着替えを再開する。スタイリストに聞くのはまた今度にしよう。それより今は、少しでも早く帰りたい。
今日の深夜から雨が降るという天気予報を鵜呑みにして、傘を持たずに出てきてしまった。あいつは、どうなんだろう。俺と同じようにタクシーで帰ったんだろうか。あまり身体は強くない方だから、濡れて帰ってないといいけれど。
いつもより乱雑にバッグに荷物を詰め込んでいく。ファスナーを閉めているタイミングで、さっきのスタッフがまた声をかけに来てくれた。
「あっ、もう下に呼んでます。いけそうですか?」
「はい。すぐ行きます」
「これ佐野さんの私物ですか?イヤホンと指輪」
机の端っこに置き去りにされていた、俺の物たち。入れ忘れがあったのかと、もう一度バッグのファスナーを開ける。
「俺のです。すいません、ありがとうございます」
「いえいえ。急いでますもんね。この雨ですし」
窓の外を指さして苦笑いするスタッフに、曖昧に頷きながらイヤホンをしまう。勝手に仁人とお揃いで買ったリングを指に嵌め、またその顔を思い出す。
バッグを持って立ち上がりながら携帯を再度確認するも、音沙汰無しだ。焦る気持ちを、この雨のせいだと言い訳して、俺は足早にエレベーターに乗り込んだ。
無意味に、何度も開く画面。誤魔化すように深くキャップを被り直す。
雨の音は一層ひどくなる。それが余計に、心をざわつかせる。
今だけ、自宅のドアと繋がるどこでもドアが欲しい。なんて現実逃避に似た、子どもの夢のようなことを思いながら、タクシーの後部座席でずっと窓の外を眺めていた。
「じんとー、居るのー?」
ただいま、より先に俺は愛しい人の名を呼んだ。玄関にはぐっしょり濡れて若干色が変わったスニーカーが置かれていたから、ここに居ることだけは確かなのに。その隣に、俺のでかい靴を並べて脱いで、そのサイズ差にふっと小さく笑った。
リビングに置かれた仁人の荷物。風呂場から、シャワーの音。
家主の了承も得ず、そして俺に連絡も返さず。この雨のせいでずぶ濡れで帰った仁人は早々に風呂に入った。特に推理することもない、分かりきった結果が当たり前に転がっているだけ。
これでも、ちょっとは心配したんですけど。なんて拗ねた気持ちを抱えたまま、俺も脱衣場へ向かう。
「じんと。俺、帰ってきたんだけど」
曇りガラスの向こう側から、強めのシャワーの音と、微かに聞こえる仁人の鼻歌。
なんでこいつ、こんなご機嫌なんだ。今だって俺の声なんて仁人の耳には届いてない。俺はずっとモヤモヤしっぱなしだ。
ちょっとした悪戯心で、脅かしてやろうと思った。俺は適当に服を脱ぎ散らかし、ノックもせず扉を開けた。
「仁人!」
「っうわああ!なにっ、えっ!勇斗!?」
大袈裟なリアクションと、飛び出そうなほど見開いた瞳。なんだかそれを見て、抱えていたモヤモヤが軽くなった。
「びっくりしたぁ……帰ってたの?ごめん気付かなくて」
少し身体を縮こませながらも、仁人は変わらずシャワーを浴び続ける。しかし、もう一度俺の方を見て、上から下まで全部見て、大きく瞬きをした。
「勇斗……なんで、裸?」
「俺もシャワー浴びたい」
「え?いや、そうだけど……」
「いいじゃん。一緒に入ろ。もう脱いじゃったし」
「お前が勝手に脱いだんだろ」
仁人は呆れたように呟いて、シャワーヘッドを俺に渡す。
「待って。仁人、まだ泡ついてる」
湯船に浸かろうとして背中を向けた仁人の腕を掴み、強引に俺の方に向ける。咄嗟のことで足元がフラつき、俺の胸元へ倒れかけた仁人がパッと顔を上げた。
その距離の近さに驚いたのか、すぐに逸らされた顔。耳元だけうっすらと赤く色付いていた。
「危ないから、急にやめろって」
「えー?慌てんぼなのは仁人の方でしょ。ほら、まだ全然泡残ってんのに」
「わっ、もう……自分でできるからっ」
「はいはい、暴れないでくださーい」
「はやとっ……!」
向かい合ったまま、仁人の背中にお湯をかけながらその肌に触れた。本当はただ触れたいだけだった。仁人がそんな俺に気付いてるのかは分からないけれど。
肩や二の腕、肩甲骨、そして腰とたどっていく。雨で濡れたであろう身体は充分温まっているようで、安心した。腕の中に居る仁人は、羞恥から視線が右往左往している。
帰ったら真っ先に顔が見たかっただけなんだけどな、って自分に言い訳しながら、すっかり大人しくなってしまった仁人の頬を撫でる。顔を上げた仁人は、拗ねたように唇を尖らせた。
「うそつき」
「なにが?」
「泡、残ってないじゃん」
「そんなことない」
「触りたかっただけでしょ」
「んー?」
「……なにそれ。否定しろよ」
「仁人が濡れてないかな、風邪引いてないかなって、心配だったのは本当だよ」
きゅうっと抱きしめながら言えば、仁人が遠慮がちに口を開いた。
「……ありがと」
シャワーの音にかき消されてしまいそうなほど、小さな声。でも俺の耳にはしっかりと届いていて、抱きしめる腕に力を込めて返事をした。
すっかり俺のペースに乗せられていた仁人がハッと我に返り、腕を突っぱねて俺と距離を置こうとしている。その筋力差の前に、ほとんど変わらないままだけど。
「急にどしたの」
「もうあったまった。上がる。勇斗はゆっくりしてて」
絆されてくれていたのに、すっかり正気を取り戻してしまったようだ。赤い顔でそんな可愛い抵抗をされても、無意味なのに。
手に持っていたシャワーヘッドをフックに掛け、今度はしっかり両手を組み、その手を仁人の腰に置いた。俺の腕の中で逃げ場を失くしてやれば、キッとこちらを睨む仁人の瞳とかち合う。
全身で抵抗する姿勢を見せているのに、なんだか威嚇している小動物と重ねてしまって、少し笑ってしまう。
「あー……ほんと、かわいいね」
「はあっ!?おい、いいからこの手離せって!俺逆上せる!」
「もうちょっとだけ」
「嫌だって、もっ……、んんっ!」
きゃんきゃんと騒ぐ口を塞いでしまえば、途端に大人しくなる。何度しても下手くそな呼吸は変わらないままで、苦しくなる前に口を離してやれば必死に肩で息をする。落ち着いた頃合いを見計らって、もう一度唇を重ねる。いつもより熱い仁人の口内とこのシチュエーションが、興奮に拍車をかけた。
ぐっと肩を押して必死の抵抗をする仁人の意志を汲んで、渋々だがキスを終わらせてやった。若干の酸欠でぽやんとした顔の仁人を壁側に寄せる。
俺が愛用しているシャンプーやボディソープの香り。それが仁人から漂っているというだけで、これは俺のものだってマーキングしているみたいで、独占欲が満たされる。
そんな俺の気持ちなんか一ミリも気付いていない仁人は、喋らなくなった俺にもう終わったのかと勝手に安心しているようだ。
まだ何も始まってもないのに。
「んふ、かーわい。キスだけで反応しちゃって」
「ぇ、あっ……やっ!」
上を向きかけている仁人のそこを手のひらで包んでやれば、可愛らしい反応が返ってくる。
「やだっ……はやと、ちがう」
「なにが違うの。俺の手、きもちい?」
「あぅ、んん……っ!」
裏筋を撫でてやれば途端に反応する身体。俺を押していた仁人の手が、口元を隠して必死に声が上がるのを抑えている。
徐々に溢れ出す先走りがその興奮を物語っている。幹全体を緩く刺激するとびくんびくんと身体が跳ねて、足が震え始めた。その足の間に膝を入れて無理に立たせると、涙で膜を張った大きな瞳が信じられないと言うように睨んでくる。
「仁人のここはこんなにも素直なのに、なにが違うの」
「うぅぅ……っ、ちがぁ、う」
必死に首を振って否定して、濡れた髪から雫がぽたぽた飛んで。こんな逃げ場所も無いところで、まだ逃げようとしていて。
「なあんにも違わないよ。ほら、自分でするより俺の手のがきもちいでしょ?いっぱい濡らして、かわいい……仁人」
「ちぁう、のぉ……ぁあっ」
耳元で囁きかけ、言葉でも逃げ道を失くさせる。
うわ言のように、ちがうちがうと小さい声で否定し続ける仁人は、もう何を否定したいのか定かではない。
ぐちぐちと濡れた音と一緒に愚図る子どもみたいな声を聞く。欲に従順な身体と、理性を保ち続ける頭。
その均衡が早く崩れてしまえば楽になるのに。いっそのこと……俺が崩してしまえばいい。なんて、心の中の悪魔が笑っている。
張り詰めて限界を訴えるそこから手を離すと、目を白黒させた仁人が顔を上げて俺を見つめる。
「そっか。仁人、よくないんだもんね」
「ぇ……っ?」
「さっきから嫌とか違うとかばっかじゃん。仁人に気持ちよくなってもらおうと思ったけど、もういいわ。後ろ向いて」
「あの……はやとっ」
「なに?さっさとしてよ」
仁人の足の間に入れていた膝を抜いて、今度は壁に手をついて至近距離で仁人を威圧した。すると居心地悪そうに、下唇をぎゅっと噛んだ仁人はおそるおそる俺に背中を向ける。
白く引き締まった腰と、つんと上を向いたまあるいお尻。先走りでぐちゃぐちゃに濡れた手でお尻に触れると、大きくびくんと揺れる。仁人の赤くなった耳に舌を這わせながら、その割れ目に沿って指を擦り付ける。
あぁ、と。声のトーンを落として、わざとらしく笑ってやる。
「嫌々言うくせに、なんでここ準備してんだよ」
握った拳をさらに強く握り、仁人は俯いて黙ってしまう。このプライドが高い男は、期待してたなんて口が裂けても絶対に言わない。答えないことなど分かりきっているのに、その羞恥を煽るように聞いてしまう。
重い沈黙を裂くように。僅かに綻んだその蕾に、ぐっと指先を侵入させる。
「ん、んっ……ふぅ」
握った拳を口元にあて、また声が出ないようにしている。
「そんなん無駄だって、仁人」
「ぁ……や、あぁっ!」
「ほら。仁人の好きなところ、いっぱいしたげる」
難なく受け入れた二本目と一緒に、仁人の弱点をぐりぐり突いた。
「あっ、だめ……んんぅ、はや、とっ!」
甘く鳴いて、俺を呼んで。そうやって俺の理性を揺さぶるのは簡単なくせに、どうして仁人の理性は崩せないんだろう。
前立腺を責める手は止めず、仁人の白い頸や肩を甘噛みしながら微弱な快感を与える。全身でびくびく感じる身体が愛おしいのに、もっと余すことなく、仁人のすべてが欲しくなる。
あたたかい仁人のナカから指を抜いた。出しっぱなしのシャワーが床を叩く音すら邪魔で、キュッとその栓を締める。浴室は一定の温度が保たれる仕様になっているし、湯冷めすることはおそらく無いだろう。
振り向いたその顔、垂れ気味の大きな瞳が……切なく揺れていた。
「ベッド、行こ……っ?」
震わせたその声は、俺に慈悲を訴えかける。
「ごめん。もう遅いわ」
大きな瞳が一瞬にして絶望感に染まる。そんな色、今日は見たくなかったのに。
頼りなく震える足を無視して、細い腰に両手を添える。か細い、だめって仁人の声。それがやけに浴室に響いた。
「ぁあ、あ、ぁ……っ!」
仁人のナカに飲み込まれていく俺の半身。俺から見た景色は、グロテスクで、妖艶で、どこか現実味が感じられない。まるで夢の中にいるようなふわふわとした感覚に陥った。
強く握られていた仁人の拳は解けて、壁のタイルに縋りついていた。俺は、助けてあげなきゃって気持ちだけで、その手に己の手を重ねた。
半歩踏み込んだと同時に、下半身からぐちって音がした。あぁ、ついに全部飲み込まれてしまったんだって他人事みたいに思った。
「はっ、ぁ、ぅ、あぁ……」
俺と壁に挟まれた仁人の身体は俺にも壁にも縋れなくて、足元が覚束ない。
「仁人、苦しい?」
「っひぁ、ぁあ、……!」
その下腹部は微かに膨れていて、軽く撫でるだけでまた快感を拾ってしまう。ぎゅうっと切なく俺を締め付け、小さく息を詰めた。
浴室に二人の呼吸音と仁人の甘い声が充満する。いつもよりずっと大きく聞こえる仁人の声。
だめだ。昂ってしまう。仁人は、こんな体勢苦しいはずなのに。
「んぁ、あっ、あっ……!」
ゆっくり腰を前後に動かすと、仁人が声を上げる。抜けていく時も、前立腺に触れる時も、奥に押し込まれた時も。そのたびに可愛い反応を見せてくれる。
快感を逃がそうと前に逃げようとしても、壁には縋るところがない。がくがく震える足で必死に立っているが、そう長くは保たないだろう。
爪先でカリカリと壁を引っ掻く姿はどこか猫に似ている。そんなことを思いながら尾てい骨あたりをくすぐった。
「あっ、やぁ!はやっ、それ、うぅぅ」
「嫌だった?ごめん、もうしないから。それより仁人さ、腰落ちてきてるけど大丈夫そ?」
震える足じゃ立っていられなくなったのか、だんだんと前のめりになっていく身体。必然的にお尻を突き出して俺を誘ってるみたいに見えて、より本能が刺激されてしまう。
「ぅ……あぁ……っ」
分かっていてもどうしようもなくて困っている。振り向いた仁人は、多分そんなことを言いたそうな顔をしている。
いたずらに綺麗な腰を撫でながら、気付かれないように小さく笑った。
落ちていってしまいそうな腰を両手でしっかりと掴みながら、不意に腰を回して奥をぐりぐりと刺激して。気持ちよさそうにとろけた顔を見せた仁人に上半身を寄せて、無理な体勢で触れるだけの軽いキスをした。
「仁人って、ずるいよなぁ」
「あぅ……ん、なにぃ?」
浴室の中で響き渡る、ぐちゅん、ぐちゅん、って音。いつもよりゆっくりした動きだからか、粘膜が擦れる音が大きく感じる。
頭の中は沸騰しそうなほど興奮していて、それなのにどこか冷静な自分も居て。ずっとこの時間が永遠であればいいのに、なんて仁人からすれば最低なことも考えてしまう。
「なんでさ、連絡返さなかったの。俺、ずっと待ってたのに。いっつも家着いたら、着いたよって連絡くれるのに……今日はそれも無かったよな」
「ふぅ、あっ……ん、ぁ、ごめ、ってぇ」
「こんな大雨だしさ。なんかあったんかな、仁人が風邪引いたらどうしようって、ずっとそんなこと考えてた。いつでも俺がそばに居れたらいいのに、それができないのがもどかしい。なあ、俺……勝手かなあ」
「はや、と……っん、そこ、うぅあっ」
「はいはい、ここね。いっぱいしたげる、ね」
「あぁーっ、なん、でぇ?っだめ、ってばぁ!」
最奥の壁。仁人が好きなそこを執拗に突いてあげれば、分かりやすくひんひん鳴いてナカが締まる。
ふっと吐いた息は溜め息に近いもので。こうやってまた仁人を許してしまうんだなって、なんだか自分に呆れてしまう。
「明日起きたら、もっかい言うからね」
「うぅ?はゃ、はやとっ……も、おれ、やぁ」
そんな涙目で、涙声で、俺の気持ちなんか知りもしないで……俺に縋らないでよ。
「……仁人、ちゃんと立ってられる?そろそろイこっか」
俺に会うために、俺が帰ってくるまでにきっちり準備までして、身体も綺麗にして。そんな仁人が望むようなセックスではなかったのかもしれない。でも、その快感でぐずぐずになった顔を見たら、結果的に仁人の手のひらの上で踊らされていただけなのかなって思ったりもして。
スローセックスは、より長く、より深い快感に酔ってしまう。どこかの飲みの席で誰かから聞いた話を思い返していたら、もう一つ大事なことを思い出した。
人によっては、クセになってしまうかもしれない、と。
「あっ、だめ、イっ……!」
「うん、イって?仁人」
ぐりって、より深く貫いた瞬間。仁人の頭が後ろに大きくがくりと揺れた。
「あぁっ……♡こぇ、イ゛っ♡う゛うぅ……っ♡」
強く強く締まる、ナカ。直接欲を昂められるような刺激に、はぁっと肺の中の空気が押し出され、重く息を吐いた。
それでもまだ止められない。不規則に蠢く窮屈なそこを、ずるり、ずるりと、更に快感を与えてしまう。
仁人は懸命に首を振る。まるで、許しを乞うように。
「いって、う♡からあっ♡っ、ん゛ぁ♡」
「ん、知ってて、やってる。はぁっ、きっつ……!」
「や゛ぁら♡あだまぁ……っおかし、♡」
天井を向いた仁人が、ぼろぼろと涙を流しながら壁に縋る。触れずとも、仁人の前は勝手に、押し出されるみたいに白濁を溢している。
惜しげもなくエロい姿を晒す仁人を前に、もう我慢が効かなくなる。くねらせる腰を両手で強く固定して、無理やりそこに押し付けて。何度も奥の壁を叩けば、そのたびに仁人もイっていて。
タイルに爪を立てた仁人の手。壁に身体を押し付けて、その上から重ねて指を絡めると、熱に浮かされてぐちゃぐちゃな顔をした仁人と目が合った。
「ごめ、出すわ……っ!」
ぐっぐっと最後にきっついナカを味わえば、目を閉じてもそこは真っ白な世界に変わる。
いつもより、深くて長い。どこに溜め込んでいたんだと不思議に思うくらい、仁人のナカの隅々まで白く汚していく。終わらない、終わってくれるなと願ってしまうほど、病みつきになってしまう。そんな、頂きの景色だった。
「ぅ……♡っあ゛、ぁ゛……っ♡」
ついに掠れた異音しか出なくなった仁人の声。目だって、もう焦点も合わない。
ぐらりと、仁人が膝から崩れ落ちていく。後ろに居た俺が支えながら、仁人をゆっくりと床へ座らせた。
埋めていたものが抜けてしまったそこから、どろりと白い粘液が溢れ落ちた。
「ごめん。無理させちゃった」
「んぅ……っ」
顔だけ振り向いた仁人に口付けすると、素直に受け入れてくれた。
「はぁっ……いい、よ……?」
肩で息をしながらも、ふにゃりと微笑んで俺を許してくれる。そんな仁人が愛おしくて、鼻先を擦り付けてもう一度キスをした。
仁人の身体を労わるように背中を撫でると、絶頂の余韻が抜けきっていないのか、びくんと跳ねる。仁人はかあっと赤くなった頬を隠すように顔を逸らした。
やばい、可愛い。いやでもこれ以上無理をさせるのは、さすがに可哀想だし。惑わされるな、落ち着け、俺。
そんなことを考えながら立ち上がり、シャワーからお湯を出しながら、再度背中を向けたままの仁人の前にしゃがみ込む。
「後ろ綺麗にしよ。お尻上げれる?」
「……やだ」
「仁ちゃんお腹壊すよ」
「自分で、できる」
「んもー……ここで駄々捏ねないの」
何故か急に俺の手を拒み始めた仁人が、静かにこちらを睨む。
背中のお湯をかけてやりながら、俺は仁人のお尻に触れた。事後のふっくらしたその縁を指でなぞり、不服そうなその唇にまたキスをして誤魔化した。
「ね、すぐ終わるから」
無意識なのかもしれないけれど、仁人は俺の甘やかすような声が好きなのか、そういう声を出すと嫌々言っていても聞き入れてくれることが多い。現に今も、きゅっと唇を噛んで小さく頷いた。悪用しているわけではないが、あまりにもチョロ……、まぁそれが仁人の良さということにしておこう。
くぷんと侵入させた指が白く汚れていく。背中からかけたお湯と共に、排水口へ流れ落ちる。ただ作業のように、そう思いたい、のに。
「あぅ……っ、ふ、ぅ……」
漏れ出す仁人の甘い声が、さっきまでの性行の記憶、その声とリンクする。
全部出し切って萎れていたはずの俺のそこが、少しずつ起き始めた。あまりにも素直な息子に苦笑いする。
「……仁人」
「ぁ、ごめ……っこえ、出ちゃう……!」
そうだ、仁人だってわざとじゃない。
「っんか、いつもとちがう……おれっ、おかし?ずっと……んっ」
わざとじゃ……わざと……じゃ……。
「あぁっ……勇斗の、ゆびっ、……きもちぃ」
もう我慢の限界。血管ブチ切れそう。
「っ、お前さあ!?」
「んっ!ちが、だってぇ……おれっ」
「もう黙れって、こっち向かないで。ほんっと勃つから」
「うぇ……?ご、め……っん」
濡れた唇をはくはくと震わせ、疑問符を浮かべながら仁人はまた壁の方を向く。指を動かすたびにぴくんと跳ねる肩、快感から逃げるようにくねらせる腰。
欲に忠実な俺は、直視してしまう。
「やば……えっろいわ、まじで……」
脳のフィルターを通さずに溢れた俺の本音に、仁人は途端に顔を赤くさせる。ちらりと後ろを振り返ったその瞳が淡く色付き、誘われる。
逆上せたから、なんて言い訳もできないほど……欲に濡れた仁人の瞳が俺を刺す。
「じんと……」
興奮で掠れた声が漏れ出した。埋めていた指を抜けば、仁人が小さく身体を震わせた。
仁人が視線を彷徨わせながら、シャワーヘッドを持つ俺の手に触れる。
「もう、ベッドがいいって……おれ、言ってる、のに……っ」
精一杯のそのお誘いが、普段ツンツンした仁人らしい。
胸に抱えた愛おしさをそのままに、その身体をぎゅっと抱きしめた。
「優しくする」
「ん……先に、水飲みたい……」
「じゃあ、ベッドの前にキッチン?」
「うん。連れてって」
「仰せのままに」
噛み付くようなキスをする。撤回させない、もうそれ以上何も言わせたくないから。
俺とのキスに夢中になっている仁人を薄目で見ながら、頭では必死に次の段取りを考える。朝起きた時に仁人が文句を言わないように、ベッド横にあれこれ置いて準備しておきたい。朝食は何が喜ぶだろう。雨で着ていた服は濡れてしまったようだから、明日は俺の服を着せて他のメンバーに自慢してやろうか。
幸福な未来。仁人がそばに居てくれるだけで、明日がこんなにも待ち遠しくなる。
名残惜しく離れていく唇。それを見つめるとろけた瞳に向かって、俺は口の端を上げる。
「じんと」
「ん……?」
「雨が止むまで、ここに居て」
これは俺を心配させた、仁人への甘い罰だ。こうして口実をつくって、仁人を俺の檻の中に入れて、安心して。
本当にずるいのは、俺の方なのだろう。
「ふふっ……止むまででいいの?」
仁人は、俺の踏み込めないところまで、踏み込んでしまう。でもそれが、本音を言っていいんだと許されているようで……泣きたくなるほど、嬉しい。
「ずっと……居て」
「ん、わかった」
俺の答えに満足そうに笑って、腕を伸ばして俺の首に絡みつく。
「ずっと、ね?」
これは俺と仁人の言葉遊びだ。現実にならないとどこかで分かっていても、その夢を見てしまう。
はぁっと熱い息を漏らした仁人の可愛らしい口。誘われるように、また口付けする。小さな舌を懸命に伸ばして、俺を求める。
もう、朝が来ても……離してやれる自信がない。
でもそんな気持ちを誤魔化すように、仁人の舌を絡め取りさらに口付けを深くする。何も知らない仁人は、俺の髪を撫でながらこの甘い空間に酔っていた。
ずっと。何気ない言葉が頭の中で反芻して……いつまでも、先に進めないでいた。
#AI
生茶
138
#ご本人様には関係ありません
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コメント
10件
没入感が半端なかった… ありがとうございました✨ 最高です💞
2人の掛け合い、感情の動きの描き方が本当に秀逸ですよね。めおさんの作品が大好きです♥
わああつばめですかパロとしては!! かわいいですほんとどうしましょう課題が進まない…… 💛さんが気づかなくてモヤモヤしてる🩷さんかわいすぎやしませんかね これがそうなんですかね蛇に喰われる猫 笑笑笑