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inmアンドロイド説です。短め。苦手な方はバックしようね
inm視点
「この世界が全部美術品で出来てる、って言ったらライは信じる?」
え、と口が開く。急に星導が発言した内容は、全く理解できずおれの頭の中を行ったり来たりしていた。いやいや、エイプリルフールじゃあるまいし。
「急にどうしたの」
「いや?別に、もしもの話ですけど」
少しだけつっかかったところがあって、おれは自分の興味を見抜かれない程度にるべをつつく。
「美術品ってなに」
「人によって作られた、作品、ですかねえ」
「ふーん」
「俺がもし、絵画の中から出てきたとしたら」
「星導はもともと動かぬ絵画だったってこと?」
「…まあ、そんなとこでしょうか」
「へえ」
「で、どうなの?信じる?信じない?」
星導はおれがアンドロイドなのを知っているのだろうか。知っていて、遠回しに「作品」と表した?
「……信じる、かなあ」
へえ、と驚いたような素振りを見せた星導。どっちの対応なのか分からなかった。
「星導、知ってんの?」
「何を?」
すました顔してこちらを見ている彼は、疑いようのない目をしていて。でも、その目に甘えたら今までが消えちゃいそうな気がして、必死に取り繕う。
「やっぱりなんでもない」
「はーい」
本来なら言うべきなのは分かってる。迷った末、おれは言わなかった。弱虫だなあ……。
「絵画なの、ほんとのこと?」
「どうでしょうね」
「それはるべの秘密?」
「秘密……かもね」
「へえ」
ばれてしまったら、絶対に関係性が崩れる。それが怖くて怖くてしかたない。
「俺、ご飯食べなくても生きられるんですよ」
自分の目がグンと大きくなったのがわかる。おれも、おれも。そう言いたかった。充電するんだ、おれは。ご飯なんか食べなくても、充電すれば、って。
「それ、ほんと?」
「さあ」
「なあんだ」
「俺の年齢、知ってます?」
「もちろん」
長く生き続けている星導は、人間とはかけ離れた存在。生き抜くためには、ご飯はなし、なのか?おれは充電だけど、星導は?どうやってエネルギーを得ていたの?聞きたいけど、これ以上聞いたらおれも必然的に喋らないといけない気がして、思考にストップをかける。
「星導が言ってることが真実か嘘かおれには分かんないけどさ」
「はい」
「おれにも秘密……がある」
「そうなんですね」
「その秘密を打ち明けられるまで…待っててくれない?」
「もちろん」
今この秘密を曝け出すと、今までがほんとになくなっちゃいそうだから。おれが納得いくまでこの人生を楽しんでから、絶対にどこかで打ち明けよう。そう思った。