テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
片付けを終えたトリトンと雲居は音をできるだけ消してソレイユが入った部屋の扉を開け、中を覗いた。そこには双子を寝かしつけてる時に力尽きたのか、双子と同じベッドの上で穏やかな息を立ててソレイユは寝ていた。トリトンは無言で中に入り、タオルケットをソレイユに掛け、部屋の扉を閉めた。
二人は音を殺して風呂に入ることにした。雲居はトリトンに頭を洗われながら、今後の自分を考えた。ちゃんと戻れるのか、翼は直るのか、不安が頭の中を駆け巡る。そしてトリトンは鎮護という名の鯨について考えていた。その昔、父と母は独自の調べでその存在を知り、鎮護を探すため、冒険に出ていき帰らぬ人となってしまった。
「俺ら、どうなるんだろうな」
雲居の頭の泡を洗い流しながら独り言のように呟く。
「トリトンお兄ちゃん、きっと大丈夫だよ!」
雲居はトリトンの不安を感じ取り、元気付けようと元気を演じる。そんな様子を見て、トリトンは苦笑いを浮かべた。
「お前は一丁前に人に気を遣いすぎだ、バカ。」
互いに不安を抱きながら、風呂を終え、トリトンはいつも泊まらせてもらっていた部屋で雲居と寝る事にした。
「お前はベッドで寝ろ。俺は床で寝る。」
「……良いの?」
「床の方が寝やすいんだ。」
トリトンは雲居にベッドを譲り、床に布団を敷き横になる。一人で広いベッド寝る…それは子供であった雲居にとって夢のようだったが部屋の明かりを消し、暗くなった部屋の中、雲居は段々と怖くなり、ベッドの上でモゾモゾと動きながら、トリトンの方を見る。
トリトンは既に眠りについているようで、耳をすませば寝息が聞こえてきた。雲居は恐る恐る、ベッドをおりてトリトンと同じ布団の中に潜った。トリトンは一瞬薄らと目を開け、背中にある温かさを感じ取り、また目を閉じ、眠りに入る。
コメント
1件
うわあ、このエピソード、静かなのにすごく胸にくるものがありましたね……。トリトンがソレイユにタオルケットを掛けるほんのわずかな動作に、彼の優しさが全部詰まってる感じがしました。それと同時に、お互い不安を抱えながらも「大丈夫」って言い合う二人の距離感が絶妙で。雲居がこっそりトリトンの布団に入るラスト、すごく好きです。親子って呼ぶには少し違う、でも確かな信頼関係が見えた気がしました。