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______……
「誰か他にそういう相手でもいんの?」
元貴の言葉……。
そう言われたところで、元貴だって物理的にそんな時間がない事は分かっているだろうと容易に想像がついた
ほとんど直接的な意味をなさない元貴の挑発だと、頭ではわかっていても、流石にむっとしたし、悲しくなった
……あー…。
……喧嘩になっちゃった
“元貴が好きだから”なんて、理由になっていない理由…
元貴、結構怒ってたな…
……というかちょっと傷ついてた…、?
俺も圧倒的に言葉が足りないでしょ…と自分で思いつつも、どうしても、なんか言葉がでてこなかった
…嘘は吐きたくない。恋人がいた過去は変えられない。
それに……
……”恋人の元貴”の前では格好つけたい…。
仕事では常に先を行って、純粋に俺に”この人と肩を並べて歩きたい”と思わせる格好いい元貴のように、”恋人の俺”は元貴をちゃんとリードして余裕をみせて”ミステリアス、大人、かっこいい”とか思われたかった
「………はぁ。」とため息がこぼれる
元貴制作中なのに……。
このタイミングで、喧嘩……
変なプライドよりも、元貴との仲が一番大事…
でも、でもっ、、
…元貴、今浮気してる訳じゃないのにちょっと怒りすぎじゃない?
……それに、結構酷いこと言った!
そう思ったら、俺の足がどうしても、すぐに元貴のところに向かなかった
それに、やっぱりどうしても、”恋人の俺は格好よくいたい”という気持ちは消えなかった
「…………はぁー。」とまた、ため息がこぼれた
_____………
「ねー、若井、、涼ちゃんまた誰かとしゃべってる……」
「見て、、怖い…」
一人でぶつぶつ会話する涼ちゃんをちらっとみて、”今日は一段と声でかいな…”とか思いながら、元貴と目を合わせ、お互いに苦笑いする
「涼ちゃん…お疲れ…?…さすがになんか見えてんの…?」
「…どこまでいっちゃうの…」と問いかける元貴に”…3人とも一緒だよなぁ…”と思い、更に苦笑いした
元貴と寝室での一件があってから、相変わらず多忙なスケジュールをこなしながら、今日のレコーディングに向けて隙間があればギターを触る生活をして一週間が過ぎていた
あのあと、やっぱりどんな言葉を言えばいいか分からず、元貴と顔を合わせるのが気まずかった
だけど、 答えを持たないまま顔を合わせた元貴の態度は、拍子抜けするくらいに普段通りだった
俺はえっ…と内心思って、戸惑いながらも、とりあえずは一旦それに合わせた
元貴が普通に振る舞っているという事は、変に俺からほじくり返すような事をしたら元貴のプライドを傷つけるだけかもしれない…とか思ったりもした
でも、やっぱりこのままじゃ絶対すれ違ってくよな…と思い直して、一日たった頃に気持ちを伝えようと、
「元貴。あのさ、昨日…」と言い掛けた俺に、元貴が
「…ぁ、…若井まって………」
と言って少し言い淀んでから、元貴の手を取っていた俺の手を取り直し、自分の腰に巻きつけて、自分も俺にぎゅっとしたあとで
「…昨日………ごめんね。、、…」
「……あんなこと思ってる訳、ない…。」
と謝まってくれた
口下手な元貴が、俺の言葉を遮って元貴から素直に謝ってきてくれたことに、純粋に心が温かくなった
人一倍感受性が強い元貴の中で、わだかまりが全く消えた訳ではないだろうとは思ったけど、やっぱり過去は変えられないし…
ずるいかもしれないけど、、
本音を言えば、やっぱり俺は過去に焼く程度の多少のヤキモチなら元貴に焼いていて欲しかった
…やっぱり、元貴の前で、”嫉妬してしまう様なかっこいい恋人”でいたかった
「…うん…//…元貴、大好きだよ…。」
と返事をして、両手で元貴の頬を包み込み、目を見て
「ちゃんと仲直り…?」と俺が聞くと、
「…うん。/…ごめん」と照れるので、俺の頬が緩んで、しばらくぎゅうっと抱きしめ合った
この一週間、SEXはしなかったけど、スケジュールと体力的に本当にお互い無理だということは分かっていた
その分お互いにスキンシップはいっぱいしていたし、一度、額を突き合わせて抱き合いながら
「元貴に触れたいな…」といったら、
「……俺も。」と言っていたから寂しくはなかった
コメント
4件
かっこつけたいwkiさん‥ 十分過ぎるかっこよさです、大丈夫です‼️
かっこつけたい……わかります、わかりますよスパダリ井さん。でもあなたは既にかっこいいんですよと言ってあげたいです。笑