テラーノベル
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その日は本当に、懐かしい夢を見た。昔の夢だ。私はそう……四、五歳くらいだったと思う。もう本当に、そういうことを思い出すのも難しいくらい、昔の夢。
その頃はまだ孤児院で暮らしていて、貧しかったけれど、でも静かで、今思えば幸せな暮らしをしていた。そんな頃、私はどういう経緯だったのかはもう思い出せないけれど、男の子と出会った。
その子はずっと俯いて、暗い顔をしていて、私はそれが気になってしまって、話しかけたのだと思う。私は多分、その子を励ますようなことを言って、そしてやがて、その子は笑顔を見せてくれた。
そのときの表情がとても印象的で、でもその表情は、私の記憶の中でぼやけてしまっている。夢の中でははっきり見えたような気もするけれど……覚醒しそうな今は、もう全然、思い出せない。
……そう。私は今、夢を見ていて、もうすぐ、覚醒しようとしている。暖かな空気に包まれた体が、水の中を浮かんでいくように浮上して。やがて水面へ浮かび上がるように、意識が光に包まれていく。
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みけたん書籍になったら買うぞ

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