TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

水視点


最近のないちゃんは、どこかおかしかった。


笑ってはいる。けど、その笑顔はどこか浮いている。

僕たちと目を合わせてもすぐに逸らすし、会話も続かない。


「ねぇ、しょーちゃん。ないちゃん、なんか変じゃない?」

「……うん。なんやろ、笑ってんのに……泣きそうな顔しとる」


僕たちだけじゃなかった。

りうちゃんも、いふくんも、あにきも――皆、同じ違和感を抱いていた。


「学校での噂、ほんまはウソなんちゃうか?」

誰かが呟いた。

けど、それを認めてしまえば、今までないちゃんを疑った自分が許せなくなる。

だから、口を閉ざすしかなかった。


あの日


ないちゃんの部屋のドアが閉まった音がした。

何か嫌な予感がして、俺は胸がざわついた。


「……様子、見に行こや」

いふくんの声が震えていた。


ドアノブを回す。鍵は――開いていた。


「ないこっ!!/ないちゃんっ!」


そこにあったのは、ロープに首を掛けた兄の姿。

力なく揺れる足先。冷たい体温。

目に焼き付いて離れない光景。


叫んだ。泣き叫んだ。

何度も名を呼んだ。

でも、兄はもう動かなかった。




葬式の後、誰も口を開かなかった。


「……信じてやればよかった」

最初に声を出したのは、りうちゃんだった。小さな肩が震えていた。


「僕らが追い詰めたんや」

しょちゃんが嗚咽を堪えきれずに吐き出す。


「兄貴やのに、守れへんかった……っ」

いふくんが拳を壁に叩きつけた。


「俺ら……最低や」

あにきの低い声が響いたとき、全員が泣き崩れた。


僕も涙が止まらなかった。

ずっと頼っていた、強くて優しいお兄ちゃん。

――本当は誰よりも弱くて、誰よりも傷ついていたのに。


そのことに気づけなかった僕たちの罪は、一生消えない。


だから、俺たちはこれからも背負って生きるしかない。

ないちゃんが残した痛みと、後悔を――。



この作品はいかがでしたか?

451

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚