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ラムリ 戦闘と転倒


主の拙い詠唱でも悪魔の力を解放できることが分かった執事たちは、安心して天使狩りを行えると皆喜んだ。

しかし、そんな楽しい時間はほんのひと時で、久しぶりにパレスの警報が鳴り響いた。


ウーウーウー!


『!』(ビクッ)

「警報だ!」

「場所は!?」

「出撃準備を!」

「今ボスキさん、フェネスさん、ロノ、バスティンは買い物っす!」

「では、ラムリ、アモン、俺(ハウレス)、ナックで行こう!」

「とうか、気を付けて・・・」


「主様、天使が現れました。

また力の解放をお願いしますね」

『あい・・・』

「心配いりません、俺たちが必ずお守りしますから」

〈ピョン〉

『ん・・・』

不安そうにしているトリコを抱えて、ハウレスは天使に現れた村まで馬を走らせる。

ロボは馬に負けないスピードで併走している。

ロボの能力にはいつも驚かされてばかりである。

暫く走っていると空が光っている場所が見えた。

「主様、あれが天使です」

『!』

「俺とナックが切り込む!アモンはサポート、ラムリは敵の撹乱を!」

「「「はい!」」」

「主様、力の解放をお願いします!」

『あい!』

「【来たれ。闇の盟友よ。】」

『きたぇ、やみのめーぅーょ』

「【我は汝を召喚する。】」

『わぇはなんじぉしょーかんすぅ』

「【ここに悪魔との契約により、】」

『ここに、あくまとのけーやくによぃ』

「【執事たちの力を解放せよ。】」

『ひつじたちのちからぉかいほぉしぇょ』

トリコはハウレスに続いて詠唱し、4人の力の解放をした。


まず、ラムリが木の上から天使の群れに飛び込み、攻撃を引き付ける。

天使の死角からナックとハウレスが斬りかかり、倒していく。

地面とその近くに落ちた天使はアモンが処理する。

トリコはロボと手を繋ぎ、離れたところから天使狩りを見ている。


順調に天使の数を減らしていっていた執事たちだったが、トリコに向かって落下する天使を消すことができなかった。

「まずい、主様!!逃げてください!!」

「アモン君!駄目です間に合わない・・・」

前線にいるハウレスとナックの悲痛な叫びが響く。

トリコは落下してくる天使を呆然と眺める。


「主様ああぁぁぁあっ!!」

その時、木の枝の上を全力で移動して来たラムリが天使に飛びかかった。

両手の鎌を天使に引っ掛け、地面に天使ごと落ちる。

「っ!おりゃっ!!」

天使の胸を両手で切りつけ、何とか消すことができた。

しかし、高い木から受け身も取れずに落下したラムリはかなりの大怪我を負っている。

これ以上戦闘に参加するのは無理であろう。


「ラムリ!よくやりました!」

「ラムリ!あとは任せてくれ!」

前線の2人はラムリを労い、残りの天使と相対する。

「任せろ、と言ったが・・・思ったより強いぞ」

「2人で狩り尽くすのは骨が折れますね・・・」

「はは・・・」

それって物理的に?なんて言える余裕もなく、天使の攻撃を躱しながら確実に斬撃を当てていく。

下で天使の最終処理をするアモンの負担は増えるが、同じエリアに天使を落とすのは諦めるしかなさそうだ。


「っ、くぅ・・・いったぁ・・・」

ラムリはトリコの護衛くらいは、と気力で立っているが、複数箇所の骨折と全身打撲でとても戦える気がしない。

ロボはそんなラムリの片手から鎌を奪い取った。

「は?何・・・邪魔しないでよ・・・」

ロボは強がるラムリを引きずって、トリコの横に座らせる。

『いーこ、いーこ・・・』

トリコは今にも泣きそうな顔でラムリの頭を撫でる。

「へへ、ありがとう、ございます・・・」

へにゃりと笑ったラムリを確認したロボは鎌を構え、近くに落ちてくる天使に攻撃を仕掛けていく。


ガッガッ、ガキーン!


いきなり増えた金属音に執事たちは何が起きているのか、と音のする方を見やった。

そこには、鎌を片手に天使をフルボッコにしているロボの姿があった。

情け容赦なく鎌を振るい、天使を細切れにしていくロボ。

ひょっとして、アモンよりも天使を消しているのでは?と思うほどの戦闘能力の高さを誇っている。


地面に落ちている天使がいなくなると、上空の天使に向かって鎌がビュンビュンと飛んでいった。

鎌で撃ち落とされた天使たちは更に鎌で細切れにされて消えてゆく。


思ったよりも早く天使狩りは終わり、ラムリ以外は軽傷で済んだ。

ラムリはグッタリとトリコの横で座り込んでいるため、ハウレスが抱えて帰ることになった。

トリコはナックの馬に乗せてもらい、屋敷に戻る。

『っ、くしゅっ』

「おや、冷えましたか?上着をどうぞ」

ナックは馬を操りながら、器用にトリコにマントを着せてくれた。

『んふ・・・』

嬉しそうに笑うトリコ。

トリコの笑顔に釣られてナックもふふ、と笑った。


しかし、そのくしゃみはトリコの免疫力低下サインであった。

執事たちが汚染菌類の本当の怖さを知ることになるまで、あと少し。

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