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「え、こんなとこ書いていいの?」
「ええよええよ、これ結構失敗してもたし」
滝原くんは筆と、墨の入った入れ物を持ってきてくれた。
「んーそやなあ、とりあえず名前とか書いてみる?凪って」
私は空いたスペースに少し小さめに『凪』と書いた。
「えっめっちゃ上手いやん、書道やってた?」
「あ、一応、、中学から書道部やってて」
「えそうなん!?なんやめっちゃ恥ずかしいやん、名前書いてみる?とか言って」
滝原くんはけらけら笑いながら言った。
「じゃあさこれまだ完成してないからさ、続き書いてや」
滝原くんはスマホで文章の全部を見せてくれた。あと1文だけ続きがある。
「構成は自由にしてくれてええよ」
────────。
ちゃんと筆を走らせたのは久しぶりだ。
書いている間、滝原くんはじっと静かに見ていた。
書き終え、筆を墨入れに入れた。
「すごいわ、、、文字の大きさとか線の強弱とか、、全部即興やのに、、」
滝原くんは私の隣に座った。
「どこの高校から来たん?」
「◼︎◼︎高っていう、静岡の、、」
県が違うから、きっと言ってもわからないと思ったが、高校名を聞いた滝原くんは、はっという顔をした。
「◼︎◼︎高、、?って、◼︎◼︎◼︎高校?」
「う、うん」
高校の正式名称を知っていることに驚いた。
「めっちゃ書道部強いとこやん!!地方大会で優勝してたよな?」
私が前通っていた高校は書道部の強豪校だった。部員も多く、顧問も学校の先生ではなく外部からの指導員だった。
「いや、でも私は1回しか大会出たことなかったし、、」
「こんなにすごいのに1回しか出れへんねや、、レベル高いんやなあ、、」
滝原くんは私が書いた文字を見つめながらそう言った。
「なあ、他になんか気になってる部活とかある?」
「、、いや、特には、、」
「よし、じゃあ今日から書道部員やな」
滝原くんはにこっと笑った。
「おんちゃん、、あ、顧問の先生が恩田先生って言うねんけど、俺から言って入部届もらっとくわ」
「え、あ、ありがとう」
「明日は部活あるから、部員みんなと会えると思うわ」
そう言われると緊張してきたが、いい人そうな部長で良かったと安心した。