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消えてしまうの?
あれから、糸師くんと全く連絡が取れなくなってしまった。
私の悪い予感は、現実になってしまったのだ。
夢主:
「修正の連絡にも既読がつかない……。」
「今までこんなこと一度もなかったのに……。」
何があったのかはわからない。
でも、彼の中で何かが変わってしまったのは、痛いほど明白だった。
連絡が途絶えてから、もう1週間が経つ。
夢主(心の声):
「なぜ?どうして?私が何かしてしまったの?」
「何度も自問自答するたび、言いようのない喪失感が鉛みたいに胸を重くする。」
彼に何か理由があったんだ――そう信じ込もうとするたび、
私は自分の滑稽さに気づかされる。
でも、逃げ場のないこの時間が私に教えてくれる。
糸師凛という存在が、自分の中でどれだけ大きくなっていたのかを。
時間が経つほどに、
最初は冷たく痛かった胸の苦しみが、だんだん体温を失い、感覚すら麻痺していくのを感じた。
夢主:
「……とりあえず、仕事行かなきゃ……。」
ただ、彼と出会う前に戻っただけ。
そう思えばいいのだ。
職場――
上司:
「夢主ちゃん、珍しくミスが続くね。同じ箇所の修正だよ。」
「今度は頼むね!」
夢主:
「……すみません。」
きっと、最初からいなかったと思えば、こんな気持ちにはならないはずなのに。
いつか、時間が解決してくれる。
そう、きっと……。
帰り道――
強い乾いた風が、低い音を立てながら吹き付ける。
夢主:
「寒い……今日は特に冷えるな……。」
(ふと足を止めて周囲を見回す)
「そういえば、この辺りって……。」
足元を見つめ、夢主は自嘲気味に笑う。
夢主(心の声):
「……案外、未練がましいんだな、私って。」
そう思いながらも、自然と足はあの日、糸師くんと初めて出会ったベンチへ向かっていた。
ーーーーーーーーー
あの日と同じ場所のはずなのに。
私たちは、何かがきっと違うのだろう。
風が止み、耳を打つ音が消えたように感じた。
その先に広がる静寂の中にいる君は、私の知っている君ではなかった。
虚ろな目で空を見つめるその姿は、
まるで魂の抜けた人形のようで。
酷く憔悴しきった糸師凛が、そこに座っていた。
夢主:「…糸師くん? ……。」
一体何が、彼をここまで変えてしまったのだろう?
いいようのない緊張感が私を襲う。
何かを言いたいのに、喉に言葉がつかえて
上手く声が出なかった。
このまま見なかったことにして帰ることは、
私には出来そうにない。
私は短く息を吸い込み、震える足を前に進めた。
夢主:「糸師くん……」
糸師凛:「……」
ピクリとも動かず、ただ空を見つめる。
まるで自分がこの世界に存在していないとさえ思っているような、空虚な瞳。)
それでも、ここで諦めるわけにはいかない――
そう、自分に言い聞かせるように息を吐く。
夢主:「こんなところで何してるの?
そんな薄着で……風邪ひいちゃうよ?」
(静かに、けれど少し震える声で言葉をかける。)
糸師凛:「……消えろよ。俺に構うな。」
(掠れた声で、視線すら合わせず、呟くように言い放つ。)
(それは、今までに感じたことのないほど明確な拒絶だった。)
夢主:「……何があったの?」
(声が自然と弱くなる。)
「あれから、ずっと心配してたのに……。」
糸師凛:「……ウルセェ。」
(少し強い口調で言い返す。)
「気持ち悪りぃんだよ。誰もそんなこと頼んでねぇ……ほっとけよ、もう。」
(静まり返る中で、彼の声だけが冷たく響き渡る。)
夢主(心の声):
なんだか、酷く惨めな気分だ。
同時に体の奥が熱くなってきて、
どんどん、それが広がっていく。
夢主(心の声):
「ああ……私、怒ってるんだ。」
「本気で……怒ってる。」
夢主:「……言いたいことはそれだけ?」
(震える声を抑えながら、彼を見つめる。)
糸師凛:「……」
(黙ったまま、視線を合わせようともしない。)
(次の瞬間、夢主は勢いよく凛の胸ぐらを掴む。)
糸師凛:「……っ!」
(驚いて目を見開き、ようやく夢主と目が合う。)
夢主:「ふざけないでよ。」
(強い口調で吐き捨てるように言う。)
「何があったか知らないけど、
その態度は何?途中で逃げ出した負け犬のくせに――私に偉そうなこと言える立場なの?」
糸師凛:「おい……離せよ。」
(低い声で言いながらも、本気で睨み返す。)
夢主:「何があったか話すまで、絶対に離さない。」
(その言葉には微塵の迷いもない。)
糸師凛:「……っ、クソが……!」
(小さく呟き、拳を握る。)
「お前……お前に分かるのかよ……っ!」
(次の瞬間、凛は夢主の腕を強い力で掴み返す。)
夢主:「……えっ……!?」
(驚く間もなく、バランスを崩しそうになる。)
糸師凛:「お前に言えば解決するのか?だったら教えてくれよ――俺がどうしたらいいのか!」
(苦痛に耐えるような、縋るような声で彼は言葉を投げつける。)
糸師凛:「信じてたものがなくなったんだよ。
今まで積み重ねてきたものが……全部嘘だったのかもしれない。」
「じゃあ何を理由にして生きればいい?…… 教えてくれよ。」
(縋るように握る手に力を込め)
糸師凛:「……なぁ…俺はどうしたらいい?」