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答えは…
夢主:「嘘?本当にそんなこと言ってるの?
糸師くんがもがいてサッカーしてきた時間や、お兄さんと一緒に過ごした時間……それも全部嘘だったって言うの?」
糸師凛:「……」
交わらない視線と沈黙が、
もどかしくて、
必死に言葉を手繰り寄せる。
夢主:「自分以外の誰かに答えを求めても、きっとどこにも“自分の欲しい答え”なんてないよ。
……それに、頑張ったことが必ず報われるわけでもない。存在意義だってわからなくなる時だってある。」
短く息を吸って、伝える。
夢主:「でも、ただ一つ言えるのは――辞めてしまったら永遠に負け犬だよ。
結局、今までやってきたことを正解に変えられるのは、自分だけなんだよ。」
きつく噛み締めた唇に滲む苦悩が、
私の胸まで締めつける。
だけど、言葉を止めるわけにはいかなかった。
夢主:「だから、決めるのも、
何を正解にするのか選んで行動するのも
……全部、糸師くん自身なんだよ。」
夢主:「私は、糸師凛のサッカーが好きだよ。他の誰でもない、糸師くんのサッカーが。」
(少し困ったように視線を外しながら)
「……まぁ、私の“好き”なんて、どうでもいいことかもしれないけどね。」
飲み込まれるように、
ぐっと腕を引かれた。一瞬で強く抱きしめられる。
糸師凛:「……嘘じゃない……。」
すがるように、こぼれ落ちた声は。
まるで、帰る場所を無くした子供のよう 。
糸師凛「今までの時間も、サッカーも……嘘なんかじゃない。」
吐き出すように、紡がれた言葉が、
まるで泣いてるみたいで、
縋るように抱きしめる腕が、かすかに震えている。
少しでも、1人じゃないことを感じて欲しくて、
きづけば、私は彼の頭をそっとなでていた。
夢主:「うん。」
静寂のなか彼は小さく呟いた。
糸師凛:「なぁ……名前を呼んでくれないか?」
夢主:「え?名前……?」
今にも消えてしまいそうな、
彼の名前を戸惑いながらもそっと口にした。
夢主:「……凛くん?」
その瞬間、よりきつく抱きしめられた気がした。
凛side
気づいた時には、
あいつに初めて会ったこの場所いた。
混乱と消失感が消えなくて。
ただ時間が過ぎていった。
誰でもいいから、教えて欲しかった。
俺は何を信じて生きればいい?
そんな時に、またあいつの声がしたんだ。
名前を呼んでほしいなんて、
そんな馬鹿げたこと、言うつもりじゃなかった。
それでも、
勝手に言葉が溢れ出したのは、
きっと心のどこかが限界だったんだろう。
どうしようもなく存在意義をもとめてる。
俺は、もう壊れてるんだと思う。
積み上げたものが、全部”アイツ”に無駄だと言われて。
自分の1番大事だったものが、
何もかも手からすり抜けていった。
この世界に、
俺の存在意義なんてない。
…そう、思った。
だけど。
目の前にいるコイツが。
どれだけ拒絶しても、見捨てずにここにいて。
俺の名前を呼んで、繋ぎ止めてくれよ。
あんたの声で――俺の名前を呼ばれたら。
俺はまだ、
ここに存在してもいいような気がしたんだよ。
糸師冴の弟じゃない、ただの俺として
夢主:「凛くん?」
あんたの声が
耳に届いた瞬間、何かが崩れ落ちた。
そして、何かが生まれた。
俺の中に。
俺は無意識に、
こいつを抱きしめる腕に力を込めていた。
その声が、温かくて。
その声が、俺をここに繋ぎ止める。
「嘘じゃない……今までの時間も、
サッカーも……全部嘘じゃない。」
それが今俺に言える精一杯だった。
答えなんてまだ見えない。
それでも、あんたがここにいて、
俺の名前を呼んでくれた。
それだけで、俺はまだ生きてていい気がしたんだ。