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魚の塩焼き
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みー🐻
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#アナログイラスト
68
■読まれる前の注意書き
・本作は「カントリーヒューマンズ(CountryHumans)」の二次創作(ファンフィクション)です。
・実際の歴史、国家、政治団体、宗教、および実在の人物とは一切関係ありません。
・かつて対立していた国々が、現代風の平和な世界線でひとつ屋根の下、あるいはご近所さんとして仲良く「ほのぼのとした日常」を送っているパラレルワールドを舞台にしています。
・キャラクターの口調や性格に独自の解釈(マイルド化)が含まれます。
・以上の点をご理解いただける方のみ、お進みください。
■第17話
題名:魔性の家具『コタツ』、あるいは怠惰の四重奏
ジャンル:日常・冬のこたつほのぼの
クリスマスが過ぎ、本格的な冬将軍が屋敷を包み込んだ一月の朝。
リビングの中央には、日帝が物置から引っ張り出してきた、ある「最終兵器」が鎮座していた。四角いテーブルに分厚い布団を掛け、内部にヒーターを備えた日本の冬の伝統家具――コタツである。
「皆さん、今日からはこれを使って暖を取ってくださいね」
日帝に促され、最初に恐る恐る足を滑り込ませたのはイタ王だった。
「……うわぁ! なにこれ、すごくあったかい! 下半身が天国みたいだよ!」
イタ王は一瞬で目を輝かせると、そのままずるずると上半身まで布団の中に滑り込み、まるで蓑虫(みのむし)のようになってしまった。
「フン、ただの局所的な暖房器具だろう。部屋全体を均一に暖めるセントラルヒーティングに比べ、非効率的極まりない」
ナチはそう言い捨てて、いつものように厳しい表情で書類に目を落とそうとした。しかし、部屋のあまりの寒さに耐えかね、しぶしぶコタツの端に腰掛け、細い足を中へ入れた。
「……っ!?」
その瞬間、ナチの身体がビクンと強張る。
「どうした、ナチ。我が国の極寒の冬に比べれば、このような生温い玩具――」
ソ連もまた、大きな身体を窮屈そうに折り曲げながら、ドサリとコタツに潜り込んだ。
「……ぬ、むう……」
三分後。
リビングには、完全に魂を抜かれた三人の元大国たちの姿があった。
ナチは「熱の対流速度が……私の思考を……鈍らせる……」と呟きながら、書類を机に置いたまま、顎をコタツの天板に乗せている。軍帽はすでに床へ転がっていた。
ソ連にいたっては、巨体を横たえて布団を胸元まで引き上げ、すでに「スースー」と気持ちよさそうな寝息を立て始めている。シベリアの寒波を生き抜いた男も、日本のコタツの魔力には一撃で敗北したらしい。
そこへ、日帝がみかんの詰まったカゴをお盆に乗せてやってきた。
「おや、皆さんさっそく捕まりましたね」
日帝はクスリと笑うと、天板の真ん中にみかんのカゴを置いた。
ピリリリリ、ピリリリリ。
その時、部屋の隅にある固定電話がけたたましく鳴り響いた。いつもなら、規律を重んじるナチが即座に立ち上がるか、ソ連が「私が受けよう」と動くはずの場面だ。
しかし、誰も動かない。
「……イタ王、貴様が立て。一番若いだろう」
ナチが、目だけをかろうじて動かして囁いた。
「ええーっ、無理だよナチ! 今ここを出たら、僕の足が凍りついちゃうよ! ソ連お兄ちゃん行ってよ!」
「断る……。我が連邦の重力は現在、この布団によって通常の三倍に強化されている。一ミリも動けん」
「皆さん、押し付け合わないでください」
結局、見かねた日帝がコタツからトコトコと立ち上がり、電話を受けに行った。
「はい、もしもし……ええ、みんな元気にしております。はい、失礼いたします」
日帝がコタツに戻ってくると、三人はまるで救世主を見るような目で日帝を見上げた。
「日帝……貴様、あの絶対零度の外界へ自ら進み出るとは、凄まじい精神力だな」
「大袈裟ですよ、ナチ殿。ほら、みかんでも剥いて食べましょう」
日帝が慣れた手つきでみかんの皮を剥き、房を分ける。
「おい、イタ王。その、日帝の剥いた果実を私の口まで運べ」
ソ連が、布団から手すら出さずに口を開ける。
「えー! ソ連お兄ちゃん、贅沢すぎるよ! じゃあ僕が食べてあげる!」
「待て、イタ王。そのみかんのビタミンCは、現在の私の疲弊した肉体にこそ優先的に配分されるべきだ」
ナチまでが、子供のような理屈でみかんを欲しがり始めた。
「はいはい、皆さん喧嘩をしないでください。全員分ありますから」
日帝は微笑みながら、三人の口元へ平等にみかんを運んでやった。口いっぱいに広がる甘酸っぱさに、三人は同時に「ほぅ……」と満足げなため息を漏らす。
外では冷たい冬の風が窓を叩いているが、コタツの中はどこまでも温かく、優しい世界だった。
かつて世界を揺るがした彼らが、今は一枚の布団を分け合い、小さなみかんの争奪戦を繰り広げている。
「ねえ、もう今日のご飯も、ここで食べようよ」
イタ王が完全に目を閉じながら提案する。
「……肯定だ。移動にかかるエネルギーの消費を抑えるためにも、合理的と言える」
ナチもついに、怠惰を受け入れた。
「うむ。日帝、今夜はコタツの上で、あの熱い『ナベ』というやつをしてくれ」
「ふふ、分かりました。では、今夜は皆さん大好きなすき焼きにしましょうね」
日帝の言葉に、コタツの中から三つの歓声(うち二つはひどく眠そうな声)が上がった。
お互いの足がコタツの中でぶつかり合い、そのたびに文句を言い合いながらも、誰もそこから抜け出そうとはしない。
日本の小さな魔性の家具は、かつての敵たちの距離を、今度こそ物理的にも精神的にも、完全にゼロにしてしまうのだった。
コメント
13件
コタツは出られないよぉ……暖かいもん。日帝さんつよいっっ寒いのに簡単に出られるのか…ソ連とナチさん結局コタツに捕まってる笑

ソ連達の言い訳にほっこりした~!
いやー、めちゃくちゃ良かった!コタツの魔力にやられた元大国たちの姿、想像しただけで笑えるわ。ナチが「熱の対流速度が思考を鈍らせる」って言い訳しながら軍帽落としてるとことか、ソ連が「布団で重力三倍」って動かない言い訳してるとことか、キャラの崩れっぷりが最高すぎる。みかんの争奪戦で口開けて待ってる様子も、かつて世界を揺るがした連中とは思えない可愛さで、ほっこりした。日帝がみんなに平等にみかん食べさせてあげるのも優しいし、すき焼きの話になった時の三人の反応、完全に子供だよね。こういう日常回、大好きだわ🔥