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#nmnm
かめちょん
1,048
#ご本人様には関係ありません
ᑕᗩᒪ
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部活終わりの帰り道、駅前にある小さなホビーショップに立ち寄る。
かわいいいものが好きでも、家には何もかわいいものが置けない元貴にとっては、ここは天国のような場所。
辺り1面がかわいいもので埋め尽くされていて、どこかからほのかに甘い香りもする。
わくわくしながら店の奥の、お気に入りのコーナーに向かう。いろんなキャラクターや動物のぬいぐるみが大量に置かれていて、もふもふでふわふわな空間。
「 かわいいねえ 。 」
猫のぬいぐるみにひとりで人形に声をかけながら、もふもふの尖った耳がついた頭をぽんぽんと撫でる。
「 … ! これっ … これって 、 」
ふと視界の端にちらりと映りこんだ、ピンク色の小さいぬいぐるみチャーム。
これは最近大ブームで、入手困難になりかけているうさぎのぬいぐるみチャームだった。
「 え 、! まって … やばい 、かわい … 」
きゅるんとした大きい瞳にハートのハイライトが入っていて、首には赤い紐リボン。
手に取ってタグに着いた値札を見る。
「 … 1200円 … 」
親からの月のお小遣いは500円で、バイトも学校で禁止されているためしていない。 つまりこれ一つで2ヶ月分のお小遣い全てと、貯金から使うことになる。
「うぅ … でも 、… 欲しい … 」
スクールバッグから財布を取り出して、中身を見る。1000円札が1枚と、500円玉が1枚。あとは1円玉が数枚のみ。
これを買ったら残金は300円になるわけだが、やはり欲望には抗えなかった。そのうさぎのチャームを握りしめて、レジに向かう。
「 お願いします … 」
ピッ、とバーコードを機会が読み込んで、店員さんが「1200円です」と言う。元貴が財布から1500円を出して、300円がお釣りとして帰ってくる。
「 ありがとうございました 、 」
丁寧にお礼をしてから、お店を出てチャームを眺める。ずーっと欲しいと思っていたものが手に入り、嬉しい気持ちでいっぱいだった。軽い足取りで帰り道を歩く。
「 ただいまー … 」
もちろん返事はない。玄関に置かれていた、自分が頼んだ荷物を持ちあげる。今日配達なのを忘れていた。きっと母は、1階のリビングでお酒でも飲んでいるだろう。そっと2階に上がって、自室に逃げるように入る。
かちゃりと静かにドアを閉めて、早速ダンボールに着いたガムテープを剥がしてダンボールを開く。
「 うわ … ! かわいい … はじめて 。 」
元貴は勇気を出して、かわいい系のパジャマを買ってみた。かわいい系といっても、チェック柄で色がピンク色なだけの普通のパジャマ。
ピンクなんて着たらお母さんに怒られることは100も承知だったが、嬉しくて急いで制服からその服に着替える。
「 … かわいい … 」
全身鏡の前に立って、くるりと回る。オーバーサイズのパジャマが、まるでドレスのようにふわりと膨らんでまた萎む。
にこにこと嬉しそうにベッドに座って、うさぎのチャームを撫でながらじっと眺める。
その瞬間、ノックもなしにドアが開いた。
「 … は ? あんた 。何それ 。 」
びくりと肩が跳ねる。どくどくと心臓がうるさい。慌ててうさぎのチャームを背中に隠そうとした手を、がしっと掴まれる。爪が指にくい込んで痛い。
「 ち 、が 、これは … 」
「 何が違うの ? なにこのうさぎ 。服 。ねえ 」
何か言わないといけない。でも、喉奥で言葉がつっかえて出てこない。
ぱしっ、と乾いた音が部屋に響く。
「 いた … っ 、 」( 頬を抑えながら。
「 男らしくしろ って 言ってるよね 。
なんで 普通に できないの ? 」
「 … 普通 、って … なに 。 」
ぽろりと唇から漏れた言葉。
「 … 普通っていうのは 、
男は 男らしく すること 。 」
「 ピンクなんて着ないし 、こんなうさぎも
買ってきたりしない 。 」
「 … 」
何も言えなかった。いや、言いたいことは沢山ある。「 僕は僕だからなんだっていいでしょ 」って叫んで怒鳴りつけてやりたいのに。
「 こんなの捨てろ 。 」
手の中からうさぎのチャームを奪い取られて、引き止めるより先に窓の外に放り投げられた。
「 … あ 、… 」
「 2ヶ月 お小遣いなしだから 」
翌日
うさぎのチャームが付いているはずのスクールバッグには、結局なにも付いておらず、元から付いていた金具だけが、元貴が歩く度にちゃりちゃりと小さく音を立てている。
教室に着くと、もうすぐバレンタインデーだからといって、女子たちが手作りのぬいぐるみをクラス全員に配っていた。
『 あ ! 大森くん おはよ ! はいこれ 、あげる 』
元貴の手に押し付けられたそのぬいぐるみは、手作りにしてはクオリティが高く、これをクラス全員分作ったのかと思うと感心した。
手のひらサイズのぬいぐるみを眺めながら席につく。かわいい、と小さく呟きながらぬいぐるみを見ているその顔は、無意識に緩んでいたと思う。
wki side
女子たちに呼び止められて、席に向かう足を止めて振り返る。
『 ねぇ滉斗これ ! スルーしないでよもう ! 』
「 なにこれ 」
「 ぬいぐるみ ! バレンタインだから 」
「 へえ 、ありがと 。 」
どうやらぬいぐるみには3種類あるらしく、犬、ねこ、うさぎの3種類だった。ちなみに俺が貰ったのは猫。
席につくと隣の元貴がなんだかにやにやしている。
「 おはよ 元貴 。 」
「 ん ? あ ー 、おはよ 。 」
普段は暗い顔をしている元貴が笑っているのがなんだかこちらも嬉しくて、ふっと頬が緩む。
「 ご機嫌だね 」
「 にやにやしてた ? 」
「 めっちゃしてた 、笑 」
他愛ない会話をしながら、ふと元貴の手元を見るとねこの小さいぬいぐるみ。
「 … かわいいのすきなの ? 」
「 … うん 、すき っ 」
にこりとこちらに満面の笑みを向けてくる元貴に、なんだかどきっとした。こんなに可愛い顔をして笑うのに、なんでいつも暗い顔をしているんだろう。もったいない。
「 … 元貴も ねこのぬいぐるみじゃん 。 」
「 いっしょだね 」
「 そうだね 。 」
「 この猫 むすってしてて 若井に似てる 、 」
「 俺 むすってしてる ? 」
「 んー 、だって への字口じゃん ? 」
くすくすとふたりで笑い合うこの時間が、若井は何気なく好きだった。元貴の声でリラックスするのと同時に、整った顔を至近距離で見る度に心臓が跳ねる気がする。
続きをお待ちください!!
コメント
2件
まってます😭😭😭ゆっくりでいいんですからね🥲🥲
ああ、もう胸がぎゅっとなりました……。元貴くんが部屋でこっそりパジャマ着て鏡の前でくるくる回るシーン、すごくほっこりしたのに、あのあと母がノックもなく入ってきて全部壊しちゃうんですよね。でもそれでいて翌日、若井くんとの「同じ猫のぬいぐるみだね」ってやりとりが救いすぎる……。あのへんの元貴くんの笑顔、ずっと見ていたいなって思いました。かわいいものを好きな気持ちって、何も悪くないのにね。続き、すごく気になります。