🍓(主目線)「」
✈️『』
夜。
今日は異常なハードスケジュールで、もう心身共に疲れ切っていた。
やっと帰れると思って、建物から出た外は、ぽつぽつと雨が降り出していて、
俺の気持ちをさらに重くする。傘は無い。
なんでこんなに不運なんや、。
ネガティブな感情にしかならなくて、むしゃくしゃする。
____でも、心を晴らす理由が、1つだけある。
「……碧海……。」
そう、無意識に口にしていた。
足取りは重く、水たまりが鬱陶しい。
でも頭は、もう碧海のことでいっぱいだった。
早く会いたい。
家が見えた瞬間、俺は走った。水が服に思い切り跳ねるのも
無視して。
そして、碧海の部屋の前まで来て、止まった。
息を切らしながら、インターホンに躊躇いなく手を伸ばす。
ピンポーン
「…碧海………出て…っ……」
……ガチャっ
ドアノブが動いた途端、思わず声が出そうになった。
碧海は少しドアを開いて、顔だけ出して、心配そうに俺を見る。
『………拓実くん…??』
その声に、もう涙を我慢できなかった。
俺は半ば強引にドアを開けて、碧海に抱きついた。
濡れた服で抱きつかれるなんて、絶対嫌やろうな…。
心ではそう思ってるのに、体は言うことを全く聞かない。
むしろ、さらにぎゅっと力を込める。
「…っ…碧海……ごめん……」
『…なんで謝るんすか』
「…えっ……」
『………疲れてる時くらい、わがままでええよ、。』
甘すぎる声が、頭の上に落ちて、
胸がぎゅんっと掴まれる。
「…碧海っ…………」
それ以上言葉が出なかった。
何も嫌がらずに抱き締め返してくれる碧海に、
好きが溢れてしまって、喉の奥がつまる。
どうしようもなくて、俺はまた泣いてしまった。
碧海は無言のまま、背中を優しく撫ででくれる。
心音を聞いて、少しずつ落ち着いてきた。
『…今日は俺んとこ泊まって下さい。もう帰れないっすよね?』
俺は、力をこめて頷いた。
「ありがと……。……だいすき」
『…俺もっす。拓実くん。…てか、今日も可愛いです』
「っ……急にやめてや…/ /」
ちょっとからかうように笑う彼の顔を見て、
胸の奥で絡まっていたものが、ゆっくりほどけていった。
疲れなんて、もう感じていなかった。
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