キラキラと、夜とは思えないほど眩しい街灯で照らされている夜の街
そんな街のとあるホテルの一室
部屋には俺ともう一人
甘ったるい香りを纏わせている化粧が濃い女
名前は忘れた
「ね〜、次いつ会えんの?」
耳が痛くなる甲高い声を発しながら俺に近寄ってくる。
薄い下着1枚でこちらに擦り寄ってくる姿に思わず顔を顰める。
「…あーまぁそのうち」
適当に受け流しながらさっさと着替えを済ませ、床に放ってあった鞄を拾う。
後ろでなにやら女が喚いているが、気にせずに部屋を出る。
現在時刻は23時。
流石にそろそろ帰らなければ。
可愛い可愛い俺の恋人が待ってる。
…今日はどんな顔を見せてくれるのかなぁ
「ただいま〜」
家の扉を開けると、俺の恋人・若井滉斗が玄関に座り込んでこちらをじっと見つめていた。
おそらく俺が帰ってくるのを待ちきれなくて玄関まで来て待っていたのだろう。
そんな健気な姿に思わず笑みが零れる。
「ここにいちゃ寒いでしょ?ほら、中いこ」
もう2月も終わりかけとはいえエアコンもない玄関は冷えている。
何時間ここにいたかもわからない滉斗が風邪を引いてしまっては困る。
だが、中に入ろうと語りかけても滉斗は不貞腐れたような顔をして座り込んだまま動こうとしない。
しゃがんで目線を合わせると、俺の顔を見るなり今にも泣きそうな顔をしながら震えた声で言葉を紡ぐ。
「こんな時間までどこ行ってたの…?」
「ッ、」
あぁ、可愛い。
不安そうな滉斗の顔を見て、どうしようもないほどの興奮を覚える。
俺のことで不安になって泣きそうになっている姿が可愛くて可愛くて仕方がない。
滉斗には俺しかいない。
俺しかいなくて、俺に縋るしかない。
その事実に興奮を抑えられない。
この顔が見たくて、俺はどうだっていい女と身体を交える。
わかってるよ、滉斗が悲しむことくらい。
でもやめられない。
もっと不安になって欲しい。もっと俺だけを求めて欲しい。
「ちょっと、ね」
滉斗からの問いかけにはっきりと答えず、濁して答える。
すると滉斗は俺の方に寄ってきて首筋に顔を埋めた。
滉斗の髪の先が肌に触れ、少しくすぐったさを感じる。
「…他の女の匂いする」
「はは、そう?」
否定も肯定もしない、含みのある言葉で滉斗を不安にさせる。
「っ、…」
あぁ、また泣きそうになっちゃって…♡
目に涙を浮かべ、俯いてしまった滉斗の頬を優しく撫でる。
「ベッド行こっか、」
そう言って、子犬のように縮こまってしまっている滉斗のことを抱き、寝室へ向かった。
寝室に着き、ベッドの上にゆっくりと滉斗を下ろす。
「俺風呂入ってくるけど、1人で大丈夫?」
「…うん、まってる」
「ん、良い子」
頭を撫でてやると、俺の手にすりすりと擦り寄ってくる。
そんなところも可愛くて。
わしゃわしゃと頭を撫でて俺は浴室へ向かった。
風呂から上がり軽くドライヤーをかけてから滉斗が待っている寝室へと向かう。
扉を開けると、ベッドの端にちょこんと体育座りで座っていた。
相変わらず滉斗の表情は曇ったままだ。
ベッドに腰掛け、おいで、と手招くとベッドを這って俺の腕の中にぽすっと収まる。
この瞬間が堪らなく好きだった。
玄関にいて冷え切っていた滉斗の身体を暖めるようにぎゅうっと抱き締めてやると、滉斗もぎゅっと抱き締め返してくれる。
滉斗は俺の胸に顔を埋めていたが、少しすると顔を上げ、何か言いたげな顔でこちらの様子を伺っている。
「どうしたの?」
優しく声をかけると、滉斗は絞り出すような声で俺に訴えかけてくる。
「他の女のとこ行かないでよっ…」
滉斗は、俺が他の女のところに行ってしまうのではないかと不安になっている。
俺に捨てられてしまうのではないかと不安になっている。
…そんなわけないのにね♡
「ふふ、可愛い」
滉斗からの必死の懇願には特に返事はせず、きゅっと結んでしまった唇をふにふにと触る。
まだ何か言いたげだったが、その言葉を飲み込むように口付けをする。
上手く息ができないのか、口を離そうとする滉斗の舌を絡めとり、口付けを深くしていく。
ちゅ、ちゅく、くちゅ♡
「んぅ…//ふぅっ、♡は、」
必死に息を吸おうと苦しそうにしている姿も堪んない。
まだ見ていたかったがそろそろ限界そうだったため、ぢゅっと舌を吸い上げた後にゆっくりと口を離す。
滉斗の頬は赤く火照って蕩けたような顔をしている。
「かーわい♡」
優しく腰を抱き寄せ、滉斗の服の中に手を這わせようとした。
その時
ブーブー
「…?」
突然、部屋にバイブ音が響く。
音の出所を確認しようと部屋を見渡すと、ベッドの横に置かれている机の上から響いていた。
どうやら俺のスマホへの着信らしい。
誰だよ、良いところで…
電話に出る気なんてさらさらなかった。
どうせさっきヤった女だろうし、どうだっていい。
今は滉斗に集中したい。
…そう思ってた。
うるさく振動しているスマホからふと滉斗に視線を移すと、滉斗は目に涙を浮かべて、俺の服の裾をきゅっと掴んでいた。
ゾクッ
全身に雷が走るような感覚に陥った。
赤くなった頬、潤んだ瞳、小さく震える手
その顔に、その仕草に興奮が収まらない。
笑う場面などではないのに自然と口角が上がってしまう。
…もっと意地悪をして泣かせたくなっちゃうじゃん。
その欲望がどうしても抑えられず、俺は滉斗の腰から手を離し、机の上のスマホを手に取った。
「…ごめん、電話出てくる」
「ぁっ、」
俺の手が離れ滉斗は小さく声を上げる。
口には出さないが、いかないでという滉斗の叫びが痛いほど瞳から伝わってくる。
そんな滉斗の気持ちには応えずに、扉の方へと歩いていき、寝室を後にした。
「…あれ、滉斗寝ちゃった?」
10分ほどして寝室に戻ると、滉斗は布団にくるまってスヤスヤと寝息をたてていた。
いつもなら大人しく待ってるのに、今日は待ちくたびれて寝てしまったらしい。
…やりすぎたかな?
ふと頭にそんなことがよぎるが、別にこんなの日常茶飯事なため、特に気にも留めずにゆっくりと滉斗が眠るベッドに向かう。
「おやすみ、滉斗」
寝ている滉斗の額にキスを落とし、ベッドに潜る。
「…俺だって」
眠りに落ちる直前、そんな滉斗の声が聞こえたような気がした。
すみません、あっちのストーリー途中なのに…
そして2人は付き合ってる設定なので名前呼びにしてます…
こちらも楽しんでいただけたら幸いです…!!
コメント
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やばーーーーーーーーーーーーい大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大好きですねこういう感じの作品っっっっ!!!!!もう好きすぎてフォローしちゃいました☆
若井(依存)→←←←←元貴(狂愛)みたいな関係図大好きです。ねねか様の作品は性癖ぶっ刺さり案件です。
久しぶりのS貴だーー😭